水希

はじめまして! SNS初心者の水希です。 『公務員ライター』を目指すべく、映画の脚本と…

水希

はじめまして! SNS初心者の水希です。 『公務員ライター』を目指すべく、映画の脚本と小説を日々書いています。 マイクロノベル(百字小説)を毎日更新予定ですので、ぜひお立ち寄りください。

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はじめまして

(一度、この記事を誤って削除をしてしまったので、再送です) いま、私の手が震えています。 『2026年3月31日以内に、必ず公務員ライターになる!』 (ああ……書いてしまった。これで後戻りはできないぞ) どうもはじめまして。私の名前は…… あ、ちょっと待ってくださいね。手汗を拭かせてください。 よし、大丈夫。改めまして…… SNSでの投稿が初めてで冷や汗をかいている『水希(みずき)』と申します。(地球規模の通信網を通じて、今も不特定多数の方がご覧になっているのですよ

    • 焼き鳥と缶ビール。 それを深夜のコンビニの自動精算機に置くと、画面に『3万円』と表示された。その直後、機械から「やべっ」という声が漏れて、正しい数字に変わった。 珍しいこともあるものだ。 「あまり無理しないで下さいね」 と、私は機械の中にいる店員に労いの言葉をかけ、店を後にした。

      • その髪は違和感だらけだった。 でも凝視してはいけない。総務部長の自尊心を傷つけることになるから。 だから私たちは部長と話すとき、目以外に視線をやらない。しかし今日は、 「君、見たまえ」と彼は自分の頭を指した。 「は、はい」 「新調してね。生え際に、とれんどカラーを入れてみたんだ」

        • 彼女が信じられない事を言った。 それは休日の昼下がりのこと。洗濯物を畳んでいた手を止めて、不気味なほど暗い声音でつぶやいたのだ。 俺はソファから急いで身を起こす。それを見て彼女は、 「おやつ代もバカにならないの。だからゴメンね、今日は無し」 俺は「クー」と低く鳴いて、身を伏せた。

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        はじめまして

        • 焼き鳥と缶ビール。 それを深夜のコンビニの自動精算機に置くと、画面に『3万円』と表示された。その直後、機械から「やべっ」という声が漏れて、正しい数字に変わった。 珍しいこともあるものだ。 「あまり無理しないで下さいね」 と、私は機械の中にいる店員に労いの言葉をかけ、店を後にした。

        • その髪は違和感だらけだった。 でも凝視してはいけない。総務部長の自尊心を傷つけることになるから。 だから私たちは部長と話すとき、目以外に視線をやらない。しかし今日は、 「君、見たまえ」と彼は自分の頭を指した。 「は、はい」 「新調してね。生え際に、とれんどカラーを入れてみたんだ」

        • 彼女が信じられない事を言った。 それは休日の昼下がりのこと。洗濯物を畳んでいた手を止めて、不気味なほど暗い声音でつぶやいたのだ。 俺はソファから急いで身を起こす。それを見て彼女は、 「おやつ代もバカにならないの。だからゴメンね、今日は無し」 俺は「クー」と低く鳴いて、身を伏せた。

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        記事

          「人でなし」「死んじゃえばいいんだ、父さんなんて」 入船検査中に家族からそう言われた。 チケットを忘れただけで、どうしてこんなにも罵倒されるのか。 「失礼ながら、わたくしも同感です」添乗員までそんなことを言う。 「はあ……次からは気をつけるよ」 地球に隕石が落ちるまであと30分。

          「人でなし」「死んじゃえばいいんだ、父さんなんて」 入船検査中に家族からそう言われた。 チケットを忘れただけで、どうしてこんなにも罵倒されるのか。 「失礼ながら、わたくしも同感です」添乗員までそんなことを言う。 「はあ……次からは気をつけるよ」 地球に隕石が落ちるまであと30分。

          きっとその噂を誰よりも信じているのは僕だろう。 国道沿いにある区立図書館にお婆さんの霊が出るらしい。その老婆と目が合った者は3日以内に死ぬという。 クラスメイトは面白半分で話している。 僕は窓の外を見た。さて、残りの時間をどう過ごそう。 ガラス越しに、廊下に立つ老婆の姿が見えた。

          きっとその噂を誰よりも信じているのは僕だろう。 国道沿いにある区立図書館にお婆さんの霊が出るらしい。その老婆と目が合った者は3日以内に死ぬという。 クラスメイトは面白半分で話している。 僕は窓の外を見た。さて、残りの時間をどう過ごそう。 ガラス越しに、廊下に立つ老婆の姿が見えた。

          まるで悪魔だ。 あくびをするように嘘をつき、まばたきするように誰かを傷つけ、呼吸するように他の生命を食す。 ほら今もーー街中に、家のなかに、あなたの隣に、それは存在している。

          まるで悪魔だ。 あくびをするように嘘をつき、まばたきするように誰かを傷つけ、呼吸するように他の生命を食す。 ほら今もーー街中に、家のなかに、あなたの隣に、それは存在している。

          帰宅したら、家の中はくるぶしの高さまで水が溜まっていた。 女房は呆れて言った「これでもう3回目よ」 「ああ、改修工事を頼むか」 俺はため息をつく。やはり、急ごしらえの安普請だとこうなる。 明日から昼飯は食パン1枚か…… 窓の外から見える煌びやかな竜宮城を見て、経済格差を実感した。

          帰宅したら、家の中はくるぶしの高さまで水が溜まっていた。 女房は呆れて言った「これでもう3回目よ」 「ああ、改修工事を頼むか」 俺はため息をつく。やはり、急ごしらえの安普請だとこうなる。 明日から昼飯は食パン1枚か…… 窓の外から見える煌びやかな竜宮城を見て、経済格差を実感した。

          『雛』と書かれた行灯が見えた。 通りにある潜り戸の先は、竹垣に挟まれた長い隘路が続く。 足元には白玉砂利と飛び石が敷かれ、ぽつぽつと置かれた行灯が、客を奥へ奥へと誘う。しばらく歩き、突き当りの引き戸を開けると、活気のある空気が流れ出た。 女将もお客も全員子供のここは、大人お断り。

          『雛』と書かれた行灯が見えた。 通りにある潜り戸の先は、竹垣に挟まれた長い隘路が続く。 足元には白玉砂利と飛び石が敷かれ、ぽつぽつと置かれた行灯が、客を奥へ奥へと誘う。しばらく歩き、突き当りの引き戸を開けると、活気のある空気が流れ出た。 女将もお客も全員子供のここは、大人お断り。

          ZOOMで黄泉の国とつながった。 元旦那は若返っていた。あっちの世界では老人の身体で生まれて、歳をとればとるほど若返るらしい。現役の総理大臣は10歳だという。 「そこで死ぬとどうなるの」 「赤ん坊に戻って現世に帰るのさ」 「全員?」 「いや、大人の頃にやり残したことがある人だけ」

          ZOOMで黄泉の国とつながった。 元旦那は若返っていた。あっちの世界では老人の身体で生まれて、歳をとればとるほど若返るらしい。現役の総理大臣は10歳だという。 「そこで死ぬとどうなるの」 「赤ん坊に戻って現世に帰るのさ」 「全員?」 「いや、大人の頃にやり残したことがある人だけ」

          今日の妻は仏頂面だ。 帰りに買ったケーキで機嫌が直ればいいが。「昨日はごめんよ」 彼女は無言でそれを受け取り、中身を一瞥して「ふうん」と鼻を鳴らす。 良かった。一度へそを曲げると、しばらく口をきいてくれないから。 俺は言い足した「今後はシャツに返り血をつけないよう気をつけます」

          今日の妻は仏頂面だ。 帰りに買ったケーキで機嫌が直ればいいが。「昨日はごめんよ」 彼女は無言でそれを受け取り、中身を一瞥して「ふうん」と鼻を鳴らす。 良かった。一度へそを曲げると、しばらく口をきいてくれないから。 俺は言い足した「今後はシャツに返り血をつけないよう気をつけます」

          仕事で秋葉原にきた老夫婦は、シューティングゲームに興じていた。 「みぞうち、喉仏、金的、どこを撃っても立ちあがりますねぇ」 「これがゾンビという奴か」 と、屈強な男たちを伴って小太りの男が便所に入った。 「お爺さん、お仕事ですよ」「ああ」 2人は黒の手袋をはめて、彼らの後に続く。

          仕事で秋葉原にきた老夫婦は、シューティングゲームに興じていた。 「みぞうち、喉仏、金的、どこを撃っても立ちあがりますねぇ」 「これがゾンビという奴か」 と、屈強な男たちを伴って小太りの男が便所に入った。 「お爺さん、お仕事ですよ」「ああ」 2人は黒の手袋をはめて、彼らの後に続く。

          ホチキスがなかなか取れない。 爪を立てて外そうとするが、焦りからか上手くいかなかった。 早くこの資料をシュレッダーにかけないと、私はクビになる。 いや、それ以上の事態に陥ってしまう。 「手を止めなさい、専務」と、誰かが私の腕をつかむ。 段ボールを抱えた税務職員が部屋に踏み入った。

          ホチキスがなかなか取れない。 爪を立てて外そうとするが、焦りからか上手くいかなかった。 早くこの資料をシュレッダーにかけないと、私はクビになる。 いや、それ以上の事態に陥ってしまう。 「手を止めなさい、専務」と、誰かが私の腕をつかむ。 段ボールを抱えた税務職員が部屋に踏み入った。

          休日の電車内。前に座る子どもがこちらをじっと見ている。 あたしが笑顔を向けると、その子は母親らしき人の腕にすがった。 うーん、大人の対応をしたのに。 あたしの隣に座るお爺さんが「まあ見てなさい」と、むくっと立ち上がり、コマネチをした。子どもは無邪気に笑った。 大人への道は険しい。

          休日の電車内。前に座る子どもがこちらをじっと見ている。 あたしが笑顔を向けると、その子は母親らしき人の腕にすがった。 うーん、大人の対応をしたのに。 あたしの隣に座るお爺さんが「まあ見てなさい」と、むくっと立ち上がり、コマネチをした。子どもは無邪気に笑った。 大人への道は険しい。

          月旅行中に遭難してしまい、夫が隕石に当たって死んだ。 デバイスも緊急装置も故障している。 真っ黒い海のような宇宙空間で途方に暮れていたら、遠くから救助隊が駆けつけるのが見えた。目頭が熱くなる。 やっとだ。やっと自由になれた。 どうしよう。涙がとまらない。 ああ、全部うまくいった。

          月旅行中に遭難してしまい、夫が隕石に当たって死んだ。 デバイスも緊急装置も故障している。 真っ黒い海のような宇宙空間で途方に暮れていたら、遠くから救助隊が駆けつけるのが見えた。目頭が熱くなる。 やっとだ。やっと自由になれた。 どうしよう。涙がとまらない。 ああ、全部うまくいった。

          カラフルな鉢植えが彩る白壁に挟まれた石畳の坂を登りながら、吸い込まれそうな青空を見あげた。登り終えると、中央に小さな噴水のある円形広場に出る。すると「遅刻だぞ」とボスが怒鳴った。俺は頭と尻尾を下げて反省を示す。親分が咳払いをして言った「今日の議題は、旧市街にある魚屋の財政事情だ」

          カラフルな鉢植えが彩る白壁に挟まれた石畳の坂を登りながら、吸い込まれそうな青空を見あげた。登り終えると、中央に小さな噴水のある円形広場に出る。すると「遅刻だぞ」とボスが怒鳴った。俺は頭と尻尾を下げて反省を示す。親分が咳払いをして言った「今日の議題は、旧市街にある魚屋の財政事情だ」