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あの頃の記憶の答え合わせ.

時は遡ること小学3年生の時。
私は勉強ができるわけでも無いし、
友達付き合いも女の子達のあの独特の空気感も
とても苦手でよく、男の子の集団に紛れて
運動場で遊ぶか、
図書室の簡易な鍵を
こそっと開けて図書室に駆け込んで
こまったさんシリーズや、
かいけつゾロリなど定番の児童書を
図書室の椅子には座らず、いつも本棚を
背中に引っ付けて
地べたに座り込んで、本を読んでいた。

私はキラキラしている綺麗な物や、
猫や魔法が出てくるような
おとぎ話の様な本が大好きでした。

こっそり図書室に通っていたら
もうその本が私の目に入った時には、
すぐに駆け寄って手に取ったのを
書きながらあの時のことを思い出している。

その時に手に取った本の表紙が
まっくろ色で、キラキラしたホログラムの
猫のマークが入っている本で
わたしにとって、そんな綺麗に光るような
本は見たことがなかったので、
今まで経験したことのない感覚に心が躍り
中身も見ずに図書カードに
名前とクラス、番号、日付を書いて
図書室のぐるぐる回る
木のカード入れに押し込んだ後、
いつもの場所に戻って地べたに座り込んで
ゆっくりとページを捲り、可愛い挿絵に
心躍らされ、幼い私はドキドキしながら
おうちに帰っても、いつも寝る前に
読む読書の時間を楽しみに
毎日を過ごしていました。
そして、その本がお気に入りになって
私は返さずに枕の下に隠していた。
それも束の間、ママに見つかってちゃんと
返却しなさいと怒られながら渋々
図書室に返却した。

この大切な思い出をわたしは
すっかりと忘れていたのだ。

うーんと時間がたった後
私はまた本を読むようになった。
本屋さんに行くようになり、
何かいい本は面白い本はないかな?と
思うたびにきっとあの図書室での
心踊る経験に似たものを探していたのかなと
今になっては思うのだ。

あの本の存在を思い出して
もう一度読みたいと思ったのが
高校2年生の秋。
だけど、タイトルもわからないまま
本屋さんや、町の図書館で児童書に
詳しい人が居ないか?色々なところに
行くたびにいつも、
「あの、ホログラムの猫がついた表紙の本は
ないですか?黒猫と魔法のお話なんです。」
と聞いていた。

探し始めて6年が経って、
いつも行っていた本屋さんが
開いていないことによって、
いつもとは違う本屋さんへ行く事になり
そこの本屋さんには児童書のコーナーが
あったので、恐る恐るエスカレーターを上がり
本棚へ近づいてみた。

その時視界に入ったが
1冊のピンク色の本でした。
その本を見た瞬間なぜか私は小学生の時に見た
まっくろ色の表紙じゃ無いのにも関わらず
とてもドキドキしていた。

何故か思わず手に取り、
タイトルを見てみると
【魔女のこねこゴブリーノ】
魔法ではないが、あの時の記憶の
魔法と猫のワードはなんとなく一致している。

そして、わたしはブックカバーを外し
ホログラムの猫のマークが付いているのを
見た時に、あまりにも突然で
でもタイトルも作者も分からず
小学3年生の時の特別な思い出だけを頼りに
探してた本が手元に帰ってきた事に
本当に驚きと嬉しさが一気に
込み上げてきて、後は見つける事を
楽しみにしていたはずなのに
宝探しが終わってしまうような
寂しさがあった。

あの時の記憶の答え合わせを、
寝る前の特別な時間に再び体験したいと思う。
小学3年生の時の自分と今の自分を
照らし合わせながら。

人生の中で、出会う本達が私の記憶を
カラフルにそして大切なものに
変えてくれる。

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