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【フレスコボールマガジン RALLY & PEACE】 杉村秀樹[1]

それぞれのフレスコボールに対する想いを語っていただく、フレスコボールマガジン「RALLY & PEACE」。第4弾は、フレスコボール以外にもベンチャースポーツの普及に精力的に励む杉村秀樹選手です。杉村選手の行動力・発信力の根底にあった、熱い想いを聞きました。

すぎちゃん@フレスコボール

杉村秀樹、大学4年生。SNSを活かし、フレスコボールの情報発信のみならず、多くのスポーツパーソンと交流をしたり、たくさんの学生スポーツ団体に所属したりと、まさに現代のベンチャースポーツの申し子である。この記事を読んでくださっている方のなかには、彼と会ったことや、SNSでの交流をしたことがある方もいるかもしれない。

「勝つため」のスポーツ

「多くの人にスポーツを楽しんでほしい」。杉村のSNSでよく見かける言葉。スポーツに対して、「勝つこと」よりも「楽しさ・豊かさ」を大事にしている印象を持たれることが多い杉村だが、かつては「勝つこと」にこだわり抜いていた。

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大阪府、関西大学北陽高校の野球部出身。あの有名な履正社高校・大阪桐蔭高校などを倒すべく奮闘している私立高校のひとつである。2年生の時に私学大会3位、3年生の春季大会では大阪府で第3位の成績を飾った強豪。仲間にも指導者にも恵まれ、「勝つため」に闘うことはもちろん苦でもなく、それに疑いもなかった。

関西大学に進学後も関西1部リーグの体育会・ソフトボール部に所属。1年生のときに全国3位も経験し、これからも当たり前のように、「勝つため」に頑張っていくと思っていた。

転機

そんな杉村の転機となったのは、全国3位に導いてくれた4年生の引退だった。一緒にプレーした時間こそ短かったが、杉村にとって人間的にも尊敬してやまない人たちだった。4年生がいなくなったことで、想像以上に心にぽっかりと穴が空いていた。彼らがいたからこそ、彼らを人間的にも尊敬していたからこそ、あんなに楽しく「勝つため」の練習ができていたのかもしれない。

「勝つため」は大切なことだが、「勝つためだけ」ではないのかもしれないーー。

そのことがずっと心に引っかかっていた。スポーツは勝ってなんぼだと思っていた。「自分はなんのためにソフトボールをしているのだろう?」はじめて自分のなかに生まれた問い。勝つための練習を続ける新チームのなかで、しばらく自問自答を繰り返しながらプレーを続けた。

1年後の秋季大会を終え、休部。大きな決断だった。1ヶ月ほど、スポーツそのものを離れた。高校・大学とずっと、「勝ち」というひとつの価値に向かって駆け抜けてきた杉村にとって、初めてスポーツを離れた期間だった。スポーツの「勝ち」以外の価値と、向き合ってみたかった。

すぐに体を動かしたくなったが、野球やソフトボールをまた別の団体で始めるのではなく、なにか違うことがしたかった。どうせなら、自分がいままで触れたこともなかったような、世の中にあるいろいろなスポーツを、もっと知りたかった。

「勝ち」以外の価値

早速、「マイナースポーツ」「ベンチャースポーツ」「スポーツトレーナー」などのキーワードで検索を始めた杉村。そこで、スポーツ系・医療系の学生が意見交換等をする場「share fes」を知る。

集まった学生達の想い、スポーツに対する価値はそれぞれだった。「海外で活躍したい」「プロスポーツチームでトレーナーになりたい」「ベンチャースポーツを広めたい」…。とてつもない熱量とともに、「勝ち」以外の価値がそこには溢れていた。

「人見知りだったけど、その日は不思議と自分の想いを恥じることなく話せたんです。自分と同じような“動き出したい”という熱い想いがある人たちがたくさんいました。ここにいる仲間が手を組んだらすごいことになる。何かが始まる気がしました」。

「share fes」での手応えからさらに能動的に情報収集を続けていた杉村は、「ソクスポ」というスポーツコミュニティにも出会う。2019年2月に「ソクスポ」主催のイベントに参加し、セパタクローモルックなど、多くのベンチャースポーツを体験。その中の一つにフレスコボールがあった。この日が、杉村とフレスコボールとの出会いであった。

「自分で動いたり、発信することで自分の望んでいた環境が出来てきたり、人間関係が広がって仲間が増えていったりするのと比例して、“何でも出来る”っていう気持ちが強くなりました。今まで経験したことのなかった世界観を知ることが出来て、毎日楽しかったです!」

勇気を出して自ら行動して運命を切り拓いていた当時を、そう振り返る杉村。休部する時に向き合っていくと決めた「勝ち」以外の価値を、いくつも見出しはじめていた。

運命を動かす

さらに運命が動いた、いや、自ら運命を動かしたのはその約1ヶ月後。SNSを通じて出会ったスポーツ業界の方が主催するイベントに参加するため、杉村は東京にいた。

時間とお金をかけて足を運ぶ東京。イベント前の時間も、有意義に使いたいと思っていた。当日に参加できるスポーツがないか検索し、そこで目に飛び込んできたのが、Twitterでフォローしていたフレスコボール日本代表の小澤彩香選手のツイート。その日まさにペアの落合真彩選手と都内で練習をするという内容だった。

迷う余地はなかった。すぐに連絡をとった。そう、杉村はフレスコボールのプレー2日目にして、女子日本代表選手とラリーをすることが出来たのだ。

「フレスコボールの凄いところだと思います。勇気を出してお願いすれば、日本代表の選手が快く一緒に打ってくれるんですよ。この、初心者とトッププレーヤーの距離の近さも大きな魅力だと思います」。

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「お二人がどんなボールも打ちやすい所に返してくれて。もちろんソクスポでプレーしたときも楽しかったですけど、“フレスコボールって、こんなに楽しかったっけ!?”と一気にハマりました」。

杉村が関西在住と知ったふたりは「フレスコボール関西Grêmio VENTO(GVK)」の存在を教えてくれた。

“フレスコボール界に新しい風(VENTO)をーー。” 検索して出てきたGVKのホームページに、そう書いてあった。

何事も恐れず自ら一歩を踏み出してきた杉村の周りに、さらに新しい風が吹き始めていた。

[2]に続きます。


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