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無題8_許して、殺して

電車に揺られてる。
地下鉄、
この人工的な明かりと地下の薄暗さがなんとも言えない雰囲気を醸し出しているなんとも不可思議な場所。
人間のための場所。
この揺らぎを感じているとなんだか精神までもが揺れるような感覚に陥る。
あの人は死にたいかな、それとも死にたいなんてことを馬鹿らしいと思うのかな、これから待つ日々に期待で胸をいっぱいにしているのかな、人生全てが輝いて見えているのかな、くすんで見えるのかな、淡々とした毎日に絶望しているかな、そうとさえ思っていないのかな、
…これから死にに行ったりするのかな。
人々の顔を見てそうやって考えていくと、なんだかぐるぐるとした円環のような思考回路に嵌ってしまう。
 しにたいな
そう、無表情で思う。
イヤホンを手で抑える。全ての音を遮断したかった。
ボクだけに聞こえるメロディー。
ずっと聞き続けて馴染みのある音。不変。
優しい音。
目を閉じる。
家に帰りたくないなぁ、と電車の揺らぎに覚える妙な心地よさに反してそう思った。
別に、私の両親は普通の人だと思う。
普通の人間。
ボクが苦手としている性格なだけであって。
両親がクラスにいたら必要以上に話したくない性格なだけで。
父親は優しい。と思う。
でも時折発するボクを否定する言葉、ボクの意思を決めつける言葉、棘が、ボクに刺さるような感覚。
死にたくなる。
「くらげが弱いから」
「くらげが悪いから」
うん。
違いないと思う。
「くらげは人のことを考えられない」
そう、違いないよ、
僕はそういうやつだ、ずっと。
「お母さんに迷惑かけて」
「お母さんを悲しませて」
知ってる。
父親はボクに対して人並み程度には愛情をもってくれている。
ボクがこういう言葉だけを抜粋しただけで。
暴力だって、あまりないし
でも、それ以上に父親は母親のことが好きなんだなぁ、と思う。
母親が優先。
いつも事情も聞かずに母親の味方をする、
ボクが我慢すれば解決と言う。
弱いからそうなんだ、強くなれば良いという
その程度のこと、後になれば良い思い出になると言う。
そうなのかな、母親が悲しんでる時はそんな事言わないのに。
人生経験って、人それぞれじゃないの?
母親、愛しているの良いと思うよ。
でも、
と思って、まぁ、いいか、と思う。
人には色々な個性があるから、考え方は自由だと思うし、ね。
母親は明るく、優しい。
でも、ボクがちゃんとしてないことを嫌う。
一般的でないことを嫌う。
ボクの感性と相容れないらしい。
だからって否定しなくても、って思うけど、
親だから仕方がないのかな。
腕を掴んでくるのが、
怖い。
夜中なんとなく意識が眠りから戻ると母親がボクの傷跡を見ていた。
触っていた。
わざわざ服を脱がして。
嫌だ、と思った。
怖かった。
あの人は娘を愛している。
私のこと愛している。
だから、仕方ないのかなって思う。
母親がボクの悩みをつまらないと一蹴した時、勝手に失望した。
そんなボクにどうこう言える権利なんてない。
わかりあえなかった、
それだけのこと。
母親がボクが腕を切ってること、病んでること、死にたいことを誰かに相談して、面白半分でいとこから質問された時、死にたくなった。
勝手に。
なんで、と思った。
母親に、勝手に、わかったように語らないでと言いたかった。
親族にボクが病んでいること、広まっていって。
怖いとおもった。
でも、あの人は私のこと愛しているから。
って、納得、しようとした。
ただ、わかりあえなかっただけだった。
だから、僕は辛くない。
辛くないって。
あの人たちに傷つけられたことなんて一回もないんだって。
私はそう思う。
そう思う。

ある時
死のうとした。
消えようとした。
あのまま行けば死ねた。
でも私は生きている。

死のうとする。
そのたびにおもう。
ぼくがしんだら、親はどうするかな
って。
悲しんでくれる、とか、そういうことは思いつくけど別にボクが死ぬことには悲しまないだろうなって、
でもそんなことどうでもよくて。
あの子は辛いと言っていたけれど、そんなことで自殺する子じゃない
って。
言われるのが怖かった。
ボクが消されて。
あの人たちの理想が独り歩きするのが怖かった。
ありもしないことが死ぬ原因になることが怖かった。
心底馬鹿らしいと思う。
意味がわからない。
でもそうやってボクは躊躇った。

最近思う。
勿論死にたい理由は家族が原因じゃない。
なんで死ななかったのかなって。
あの人たちの為に、自分のプライドのために生きて。
こんなに苦しいのに。
出口が見えないのになんで死ななかったのかなって。
ボクは許されないから。
私は、不足ない家庭に生きてると思います。
だから、
私は苦しむべきじゃない
死にたいなんて思っちゃいけない。
でも、
吐き出したいときだってある。
被害妄想だ、とか、自分で思うけど、
ボクは。

うまれてきたのが私みたいなやつでごめんねって、そう思うだけ。
ごめんなさい。
ごめんなさい、
殺して。

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