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【#3】my rainy days/短編小説
一
向こうで君がホームランを打った音が聴こえて、カキーンと云うこだまを聴いていた。
「あ、いま赤星先生ホームラン打ったね」
と言った友達Aに対して僕は微笑って
「そうだね」
と相槌を打って伸びをした。
球技大会の日、僕達のクラスは初戦敗退して午前中からやることが無くなって欠伸を堪えていた。僕と友達AとBは校庭の鉄棒の前に屯って三角座りをしている二人を横目に、僕は地面に寝転んで頭の後
【#2】ホログラム/短編小説
君を見ると僕の世界に星が降る——。
僕は自分の世界に星を降らしてくれる人に憧れていた。だから僕も誰かの世界に星を降らせられる人になりたいと思って、誰かの視界でキラキラ輝きたいと思って、『ホログラムのメイク』をしている。
ホログラムのメイクと云うのは、涙袋と瞼の真ん中にホログラムのアイシャドゥのグリッターを乗せるメイクのことで、僕は強烈なゴールドを中心にグリーン・ブルーと六角形の星のかけらが
【#1】ブルームーン/短編小説
夕方六時頃に精神科のクリニックでの診察を終えた僕は、エレベーターを待っている間、このビルの五階から見える京都の退勤ラッシュの人混みを見下ろしていた。
そうして僕の頭に浮かんだのは、ナチスドイツのことだった。きっとあの時代あの場所に生まれていたら、T4作戦によって真っ先に殺されていただろうなと云う思考だった。狭いエレベーターから降りると、その足で目の前にあるブックオフに寄った。松本人志の「