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パラオ入国には誓約を。環境のために1億円の罰金を設けて守る 【PR研究所080】

概要

 パラオは大自然に囲まれた、数少ないユネスコの世界複合遺産登録35カ国のうちの1つです。海や植物などの美しい景観に、毎年たくさんの観光客が訪れていました。

 しかし、同時に観光客による自然環境の汚染もみられるようになってきました。このままではパラオの豊かな自然環境が破壊されてしまいます。

 そこで、パラオ政府はパスポートに「自然を汚さない」ことを誓約するスタンプを導入。入国するときに押させるスタンプで、パスポートが誓約書に早変わりするのです。もし守れなかった場合は約1億円の罰金が課されます。

課題・背景

①パラオは世界有数の観光大国。豊かな自然が観光客によって破壊されてしまっている。

②主要産業が観光業である(外務省より)ため、このままだと国益を損なってしまう。

ターゲット

パラオへやってくる観光客

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(実際のスタンプ。動画よりスクショ)

目的

①パラオの豊かな自然を守る必要がある。観光客に対してなにかしらの制限を設ける。

②国益のメインとなっている観光業が盛り下がってしまわないような取り組みが必要。

施策

 パラオ政府はパスポートに「自然を汚さない」ことを誓約するスタンプを導入。入国するときに押させるスタンプで、パスポートが誓約書に早変わりします。もし守れなかった場合は約1億円の罰金が課されるようにしました。スタンプはさまざまな言語で作られました。

 これにより、観光客に対して自然環境を守るような制限をつくりつつも、パラオの観光業が下火になってしまうことを避けることができます。

 また、誓約に合わせて「環境税」を取り入れました。航空チケットを購入するときに合わせて払ってもらうことで環境保全の効果を強めます。パラオ大統領のレメンゲサウ氏は、nippon.comの取材で説明しています。

結果

17億のメディアインプレッション
200万人以上の観光客がサイン

PRの事例として注目すべき点

 PRの事例として注目すべき点は主に2つあります。
 1つ目は、豊かな自然環境を観にもっとたくさん来てほしいけど、たくさんくると環境は破壊されてしまうというジレンマを上手に乗り越えている点です。

 この「誓約」や「環境税」を設けるにあたって、パラオ政府は慎重に制限をつくったかと思われます。大統領も話すように、細かいリサーチと着眼点の鋭さが光ります。

 2つ目は、スタンプで「誓約」を結ぶアクションは汎用性が高いという点です。今回はパラオが自然環境を守るためのものでしたが、他にも使い道がありそうです。

 例えば北極なら密猟しません〜とか、島国ならプラスチックを海に捨てません〜とか。政府がなにかの誓約をつくるために応用できそうです。

参考


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