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星野源の『蘇える変態』を読んでみた

今をときめく星野源さん。
ファンの人には申し訳ないが、私には「aikoの元カレ」という古いゴシップくらいしか情報がない人だ。

「逃げ恥」も真面目にみてない私が彼に興味を持ったのは、朝ドラ「半分青い」の主題歌「アイデア」を聴いてからだ。(ちなみにこの曲と「恋」以外知らない。)

「アイデア」は朝ドラで流れる1番と打って変わって、「おはよう、真夜中」から始まる2番の歌詞は少し暗い。暗いというか苦しい。

“生きてただ生きていて
踏まれ潰れた花のように
にこやかに 中指を”
(「アイデア」より一部抜粋)

胸が痛い。そして優しい。
ちゃんとひりひりしてる人なんだな。
残酷で不条理な「生」にちゃんと傷つき、生きる痛みを形に出来る表現者なんだ。
変なダンスで王道ポップスを楽しそうに歌ってるaikoの元カレ、からのギャップにノックアウトされた私は、彼のエッセイを読んでみることにした。

どんなステキな文章に出会えるのかしら。

淡い恋心を抱きつつ雑誌『GINZA』に連載されていた「銀座鉄道の夜」を元に加筆・訂正したというその本を開くと…

おやおや様子がおかしいぞ。

冒頭から「おっぱい揉みたい」話である。
死にたくなったら「おっぱい揉みたい」と声に出して言ってみると全てどうでもよくなり気持ちが楽になるんだとか。
命を救える「おっぱい揉みたい」、魔法の呪文。
そこの瀕死の男子諸君、もしまだなら今すぐ試してみて。

他にも随所に「!?」な下ネタが散りばめられているこのエッセイ。
そういや本のタイトルも「蘇える変態」だった。

中盤ついには、

“ここはひとつエロについて一緒に考えてみないか。うしろめたさなんか微塵もない。人はエロい事をするから生まれてくるのだ” とストレートに提案されてしまう。
「んもう~しょうがないわね、源さんたら」
まんざらでもない私。

そしたらなんてことない星野源のAVの嗜好と、「男子のAV鑑賞は女子の化粧と一緒!だから女子は、男子のAV鑑賞を許容してあげなさい」、という分かるような分からないような主張だった。下らなくて笑える。

参考までに星野源の好んで鑑賞するAVは、

・暴力的じゃない
・女優が楽しそうである
・男優が過剰にしゃしゃり出てない
・演技上等。素人的な反応より、プロの仕事を見たい。
(「蘇える変態」より一部抜粋)

とのこと。
表向きのコメントかもしれないけど、紳士的で安心しました。
というかアブノーマルな性癖、ここでカミングアウトされても困る。

この原稿も、彼のオールナイトニッポンの過去放送を聞きながら書いているのだが、なるほど随分と積極的にエロを発信しては、男子大学生、いや中学生のようにはしゃいでいる。おそらく福山雅治を起源とするモテミュージシャンのエロトークはもはやオールナイトニッポンの伝統芸となっている模様だ。

最後になってしまったが、この「蘇える変態」には、エロだけでなく、多忙な仕事振り、幼少期の星野少年、くも膜下出血で倒れた時の闘病生活、人々とのかかわり等々軽妙な筆致で綴られており、そこかしこに繊細な感性、苦悩と努力に裏打ちされたマルチな才能等色々な星野源が垣間見えることも記しておかねばならない。

そして読み終えたら前よりもっと星野源が好きになっていたことも。

編集:ほんさち



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