バーニングマン記録② 砂漠で何を提供できるか…行き着いた末の「たい焼き屋」
最初に言っておくと、何もここまで込み入って取り組まなくてもバーニングマンは楽しめる。バーニングマンに心から参加する気持ちと、自分自身で日々を生きるための準備があれば十分だ。誰かにあげる贈り物を用意したい場合は、ちょっとしたメッセージカードやお土産小物でもいい。バーニングマンでもらった物は小さな物でも特別な思い出になる。
ただ、私たちの場合は、行くと決めたときから何より頭を埋め尽くしていたのが創作物をどうするかということで…
砂漠で生きるための色々な用意については次回話すとして、まず今回は、たい焼き屋を作ることを決めた経緯と日本での準備のお話を。
アートを打ち出したい、コミュニケーションを創り出したい
バーニングマンでは、参加する世界中のアーティストが、小さなものから巨大ものまであらゆる作品を生み出している。Burning Man Artsのアーカイブが下記リンクにあるので、気になる方はぜひチェックを。特集に載っていない作品もたくさんあり、現地ですべてを見て回るのもなかなか難しいくらい。
一緒に行ったメンバーは皆、広告や建築の仕事をしているもので、こんな写真を見て何もせずにいられるわけがなく、ウズウズしてしまったというわけだ。
行くからには何か創りたい、砂漠でアートを生み出したい、自分たちならではの「ギフト」でコミュニケーションしたい…
というわけで、結果とんでもない大仕事になってしまうわけだが、まずは作戦会議からスタート。
砂漠で作れるものって何だ?
そう、バーニングマンの会場であるブラックロック砂漠は市街地からかなり離れており、一度会場入りするとイベント期間中に買い出しに行くことはできない。そもそもブラックロックシティでは自分たちに必要なものはすべて自分たちで用意しておく必要がある。
コミュニケーションを取りやすいギフトってやっぱり食べ物かなあという話になったものの、条件を整理していくと下記のように…
◆冷蔵する必要がなく高温でも悪くならないもの
→キャンピングカーに一応冷蔵庫はあるが小さいし、電源落とす場合もあり得る
◆できるだけゴミがでないもの
→バーニングマンではすべて自分たちで綺麗に片付けなきゃいけない
◆外で作れるもの
→屋台っぽくしてコミュニケーション取りたい
◆できるだけ日本っぽいものやアレンジできるもの
→プレゼントとして喜んでもらいたいし会話のネタにもできたら
◆アメリカで調達できる材料か日本から持ち込める材料で
→肉製品や乳製品が原材料に入ってると持ち込み厳しく制限されるとか
けっこう厳しい…… カップ麺の容器アレンジなんて考えたが、ゴミが出ちゃうし嵩張るし…ホットプレートで作る系がやりやすそうだが、だいたい卵など生もの類が必要だったり…
色々熟考するうちに、見た目的には「たい焼き」なんてキャッチーじゃないかと有力候補に挙がってきたのだが、そもそもたい焼きなんて誰も作ったことがない。
と困っていたところで現れた救世主!!
「家庭用たい焼き器」と「業務用たい焼き粉」
Amazonで見つけ、早速購入して試作。
おーー!!なんと!たい焼き粉と水と中身を用意するだけでできる!感動。中身はアメリカで調達すればいいし、ジャムでもありかもしれないし、これはいけるぞ、と作るものはたい焼きに確定し、粉もたくさん発注。
店構えも本気で考える
肝心なたい焼き屋さんの見た目について。初期段階のメンバー誰かのスケッチが残っていた。
とにかくドーンとスケールの大きいのも作りたいよね、とか、上に登れたら楽しそう、とか、灯りがたくさん欲しいなあ、とか、バーニングマン2018のテーマ「I, Robot」になぞらえて近未来的な雰囲気にしたい、なんて最初は皆で自由に議論。
ただ問題は、どうやってアメリカの砂漠に立てるかというところ。わりとギリギリのスケジュールで出発するし、バーニングマンの開場日時も決まっている。さらに借りる発電機の容量も限られている。
日本で用意したほうがいいものは持ち込んで、大きな資材はアメリカで調達する方向でどうにかやりくりを考える。
ちょっとずつ妥協しながらも、メンバーの1人がしっかり3Dでモデリング、さらに我らがアートディレクター2人がたい焼き屋のデザインを主導し、なんと素敵なイメージが完成。
いざ!日本でやっとくべきことから準備!ということで、当時の現場の写真を大公開。まさに手作業で、必要な布の量の計算から調達、裁縫、シルクスクリーンなど手分けして奔走。(もはや仕事だ)
なかなか過酷な労動だったが、どうにかこうにか、最低限出発前にやるべきことはギリギリ間に合い、大量の布を抱えてアメリカに行くことに。
と、これだけ用意すればいいわけではなく、そもそも自分たちの生活のために必要な物や砂漠にいる間のご飯など、まだまだ考えなければならないことがたくさん!
というわけで、アメリカの話に行く前に、次回は、バーニングマン生活のために普通に準備すべきものリストについてのお話を。
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