令和の避難所と35年前の地方の高校の歓迎会の共通点は?(前編)

今朝も震度5強の地震が能登地方にありました。心配です。この地震がきっかけで、いつ公開するか迷っていた記事を公開することにしました。
「男性が作り上げた社会システムを女性が不便な思いをしながら使っている」ことについての記事です。

人間=男性の図式であること、社会が男性仕様にできていること、家事や育児・介護が女性の無料労働を基本として設計図が作られていること、女性が無自覚に男性を支えていること、などを意味します。

では。

2024年1月頃、長期間にわたる炊き出しの積み重なった疲労で、『「男性にも炊き出しに参加してほしい」という要望が出始めた』とネットニュースを見て、思い出しました。

35年程前の平成のはじめ、長野県の進学校の歓迎会(出身中学主催)で似たようなことがありました。高校の背景は高校説明編にありますので、ここではざっくりと。

そもそも旧制中学(男子校)から始まった学校で、共学になってから約40年、在学当時はバンカラの流れが残るころ入学しました。進学校といっても東大への進学者が浪人生で数人という世界です。現役にはいないと思ってい下さい。

ばん‐カラ【蛮カラ】読み方:ばんから

[名・形動身なり言葉行動粗野荒々しいこと。わざと粗野装うこと。また、そのような人や、そのさま。「ハイカラ」に対す造語。「—な学生」「—を気取る

Weblio辞書より

入学前にはオリエンテーションと歓迎会というものがあります。

オリエンテーションは高校主催です。
記憶にあるのは、列になって歩いたことです。体育館か講堂では芸術の選択科目を選んだ気もします。私たちのオリエンテーションの時は雨で、登竜門の石畳みを雨が流れていました。

歓迎会は、高校主催と出身中学別で行われます。高校がするものはお菓子の袋が飛んできたりしますが、比較的問題ないです。

問題は出身中学別です。郷友会と言います。
個別の郷友会を指すときは、郷友会の前に町名や中学校名をつけます。たとえば信州町立信州中学校出身だと<信州郷友会>と言います。
わたしが所属する(昭和なので自動入会です)ことになった郷友会の名前は秘密にしてもらうとして、ここでは某・郷友会と呼びます。

この某・郷友会がひどかった。歓迎会と文化祭に出す灯篭つくりがいい例なので順に説明します。まず歓迎会。

某・郷友会の歓迎会は午後1時頃の集合でした。
当時は町なので、地区の公民館(?)で行います。町立の公民館と呼ぶ場合は当時1億かけたといううわさの体育館と図書館つきの方を指します。
歓迎会の中身は、お茶会、ではありません。(お茶会のところや歓迎会自体ない郷友会もあるとか。)

わたし「面倒だわ~。でも、ご飯が出るなら行こうか」
くらいの軽い気持ちで行きました。

覚えているスケジュールはこんな感じです。
13時。到着後テスト開始。
    二時間後?、テスト回収。
夕食ができるまで一年の女子は女子の先輩と談話。
一年の男子は不明だけど、たぶん同じ。

17時くらい 夕食。一年生の男女は食器を洗わない。
       なぜなら他の学年の女子がするから。男子は?

18時くらい テストについて女子から品評開始。
20時。女子終了。男子の品評開始。終了時間不明。

テストの中身です。
35年前の某・郷友会では、一部は中学生向けですが、大部分は高校生レベルの問題のテストを、なぜか解かされます。

テストの品評会は、部屋の真ん中に空間をあけ、周りに長机を並べます。周りの机に上級生が陣取り、何もない空間に新入生がひとりひとり順に呼び出され、テストを返され、あれこれ言われます。新入生に机はありません。

帰宅時間の関係で女子からはじまります。女子の最後の人が夜8時くらいに終わるようにします。
実際、帰りは暗くなり、同じ方面の他の女子と一緒に上級生の送ってくれました。
男子は女子全員が終わった後に始まるので、12時近くの帰宅になる人もあるそうです。

それくらい遅くなるので、1年生がテストを受けている間、2年生の女子が夕食にカレーをつくります。3年の女子は何をしていたのか知りません。

2年男子と3年の男子はぼーっと待っています。噂によると問題文を作るのはこの2年と3年の男子だそうです。

この歓迎会は参加したのは一度きりです。
そもそも「100点を出さないためのテスト、別名(私が名付けました)中学校で成績自慢をくじくためのテスト」なので時間があまり、無性に腹が立ったのでテストの裏に抗議文を書きました。

と言っても、かなり正解した女子もあり、その人はテスト用紙に自分が作った問題を書いたみたいです。
1年生男子がどんな扱いを受けたのか、先に帰されたので全く知りません。

テストの品評会、私の番、もめました。
まずは「裏に意見をかいてあるね。説明してもらっていい?」とか穏当に始まりましたけど、わたしの意見は歓迎会のテストを批判したものだったので、説明すると微妙な空気になりました。

上級生女子A「将来が心配」
上級生女子B「危険だね」

あまり覚えていませんが、ほかのやりとりは

上級生男子「年功序列についてどう思う」
わたし「今すぐじゃなくても、いずれ崩壊すると思う」
上級生男子「なんで?」
わたし「椅子がなくなるから」
上級生男子「?」

こんな風にごちゃごちゃしていると、
別の上級生「後がつかえてからそれくらいで」
タイムオーバーにより退出を許可されました。

上級生男子は言葉通りではなく、「先輩を尊重しろ」と言いたかったんでしょう。それならそういえばよかったのに。まあ、当時から気が強かったので

「なぜですか。こんな歓迎会はうれしくないから尊重できません。尊重しろというなら尊重できるような行動をお願いします。」
言い返したでしょうけど。

ともかく15歳のわたしは言葉通りに受け取って、
『年長者がえらいのは権力を持っているから。

権力は椅子取りゲームと同じで、
参加する人数が増えれば、座れる椅子が減る。

年功序列は、上にいるものが少ない時に成り立つ。
上が多すぎて、下にとって理不尽であれば下は逃げ出す。下がいなくなればもはや、上一列しかない。どんぐりの背比べになるだけで、<序列>は成立しない。

一方、椅子(役職)は無限に作り出すことができないから、
第一次ベビーブーム世代がいつまでも社会にいて、そこに第二次ベビーブーム世代(私たち)が社会にでれば当然競争は苛烈になるし、椅子に座れない人がたくさんでる。その人たちはいつまでも我慢しないだろう。』と考え、

それまでの社会の建前の
「年功序列は崩壊する。」と答えたのです。

実際はバブルがはじけて思ったより早く年功序列が崩れ始めたわけです。かく言うわたしも入社の椅子取りゲームに負けて、ここでノートを書いています。

というわけで、避難所と35年前の高校の歓迎会の共通点は「カレー」です。
2年のときは事前に「行かない。あんな行事に加担したくない」と行きませんでした。
他の女子も軒並み不参加で、参加した2年生の女子はたった一人だったそうです。で、その一人は(軽く数えて)二十人ほどのカレーを一人で作る羽目になったのです。

出席した女子「みんな来なかったら大変だったんだよ?」
わたし「行かないって言ったのに。どうして行ったの?」
女子「それは。。。ともかく、大変だったんだよ」

わたし「だれも手伝ってくれなかったの?」
女子「(テストが)早く終わった一年生が手伝ってくれたけど」

わたし「よかったじゃん。ぼーっとしてる2年生の男子はたくさんいたでしょ。手伝わせればよかったのに」

女子「〇君(学年不明)がじゃがいもの皮を向いてくれたけど、、」
わたし「それは助かったね」
(はっきり覚えていないけど、もう一人くらいいたかな?)

こんな感じのやり取りでした。
わたしたちの時代は家庭科は小学校までで、中学校からは男子が技術、女子が家庭科と分かれていました。とうわけで小学校での家庭科でカレーくらい作れるはずです。

3年のときは歓迎会の連絡が自体なかったです。
「3年の女子はもともと呼ばれない」のか、「2年生の時に来なかったから呼ばれなかった」のかは分かりません。
令和になって、この郷友会での活動を母校の校長が高校ブログに取り上げましたが、社会=男性だったので、「女子の存在はどこ?」と手紙を送りました。後編にあります。

中編

後編

高校説明編


前編の見出し画像が<東大>のなのかは「東大では東大女子の入部を認めていないサークルがあり、学校も黙認してる」という記事読んで、
「母校と同じ発想だわ」
と思ったからです。これはホモソーシャルと呼べるかもしれません。

ホモソーシャル ( 英: homosocial )とは、 女性 及び 同性愛 (ホモセクシュアル)を排除することによって成立する、 男性 間の緊密な結びつきや関係性を意味する 社会学 の用語。.

ウィキペディア

東大に蔓延する女性差別の伝統“東大女子お断り”サークルの実態…優位なジェンダー秩序を維持するための「他大女子への”バカいじり”」

ヤフーニュース2024 4/4(木) 11:03配信 


おまけ
少数派が30%を超えるとき、全体に不都合が起こり始め、全体を維持するために改革が行われるそうです。ただそのためには少数派は「不便」と声を上げる必要があります。

発災から1カ月が経過した2回目の訪問の際には、状況がより過酷になっていたという。2次避難先に移動したり、仕事を再開したりして、避難所の女性の働き手が少なくなり、残された人の中で、役割の固定化が鮮明になっていた。

「ちょうど避難所に新しく、洗濯機や簡易シャワー設備が入ったところだったが、女性たちは歓迎しつつも『この管理も私たちがすることになる。人が少ない中、できるのか』と心配していた」と小山内さんは振り返る。

断水が続く中、避難所で過ごす人のために3食用意するのは重労働だ。

小山内さんは「女性らは『それが自分の役目』と一生懸命、料理をしていたが、一人ずつ、じっくり話を聞いていくと、『男性にカレーでもいいからつくってほしい』という本音を支援のメンバーに打ち明けてくれた」と語る。

第三者が調整役を

避難所運営が一部の被災者に偏らないようにするには、どうすればいいのか。

小山内さんは多様な要望を客観的に聞き取り、意見を調整して合意形成に導く「ファシリテーター」の存在が必要だと話す。

「避難所で生活する被災者の誰かがリーダーシップをとり、ファシリテーターになるのもいいが、特に地方だと人間関係が近く、軋轢(あつれき)も生じやすい。第三者の立場から避難所に関わり、聞き取った要望を行政や企業につなぎ、避難所内の役割分担の調整ができる人材の育成が求められるのではないか。もちろん、そこにも女性の視点が必要だ」(篠原那美)

 一部抜粋 2024.2.20産経新聞

参考文献
「存在しない女たち 男性優位のせかいにひそむ見せかけのファクトを暴く」 キャロライン・クリアド=ぺレス著 神崎朗子訳 河出書房新社 2700円

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