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【水鳥の歌と生活】2023年10月8日日曜〜10月14日土曜

 十月八日日曜

 朝、radikoで「オードリーのオールナイトニッポン」を聴く。
 仕事のBGMは大滝詠一『NIAGARA CALENDAR ‘78』にする。バラエティに富んだ曲で楽しいアルバム。これまでのアルバムを聴いてきて、さまざまな音楽への造詣が深くアイデアが豊富な人だったんだなと思う。その表現の仕方が細野晴臣よりも徹底的にポップだ。今のところエレクトロニックミュージックへの接近は見られないが、それが入ってきた時にどうなるか、この後のアルバムを聴いていくうえで楽しみなところだ。
 noteに日記を投稿する。
 夜はツルヤで買い物をして家で晩酌をする。刺身(鮪、烏賊)、冷奴、切り干し大根の煮物を食べて、七笑を二合飲む。

  もう夏は秋を攫って消えたから、布団二枚と湯たんぽが要る。
  風向きの所為だろう、徒歩十五分離れた駅の音が聞こえる。
  そういえば虫も蛙ももう鳴かない。二重の窓を閉めてもいるし。

 十月九日月曜

 朝、Podcastで「髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオ」「トムブラウンのニッポン放送圧縮計画」を聴く。
 仕事のBGMは大滝詠一『DEBUT』にする。ソロデビューからNIAGARAシリーズまでのベスト盤。アメリカンポップスに音頭を混ぜ合わせたような独特な音楽だ。耳馴染みがいい。
 noteの旧アカウントに投稿していた記事「当事者が語る坂口安吾ライスカレー百人前事件」を手直しして投稿する。
 夜はツルヤで買い物をして家で晩酌をする。刺身(鮪、鯛)と鯛刺身の胡麻漬け、冷奴、芋の煮っ転がしを食べて、七笑を二合飲む。

 十月十日火曜

 朝、radikoで「伊集院光 深夜の馬鹿力」を聴く。
 仕事のBGMは大滝詠一『A LONG VACATION』にする。大滝詠一についてほとんど知らなかった私でもこのジャケットは何度も見たことがあるというほど有名なアルバム。流石に名盤と呼ばれるだけあって、これまでの作品から泥臭さが抜けて洗練されたポップソングになっている。それまでの作品には独特の良さがあるが、普遍的な人気を得るためにはこの作品のように洗練されるべきだったんだろうと思う。シティポップ的な洒脱さはもちろん、空間系エフェクトを強めにかけてドリーミーな音像にしているところなどもこだわりを感じる。時代を問わない美しさだ。
 夜はコインランドリーへ。待ち時間にセブンイレブンでホットドッグとKAGOMEの野菜ジュースを買い車で食べる。車内でradikoで「空気階段の踊り場」を聴く。
 乾燥機を使おうとしたら突然プリペイドカードを読み込まなくなってしまい、壁に貼られた連絡先に電話をかけると、しばらくして担当者の人がやって来る。チャージはいくら残っていましたかと聞かれ、最後に見た表示から金額を答えると、その金額を現金で払ってくれた。カードが読み込めなくなってしまった以上仕方ないと言えば仕方ないが、言い値を払ってくれるなんて純粋な人だなと思った。実際より大きな金額を言う人もいるかもしれないのに。

 十月十一日水曜

 朝、radikoで「爆笑問題カーボーイ」を聴く。
 仕事のBGMは大滝詠一『NIAGARA CALENDAR ‘81』にする。七十八年版のリミックスだが、そもそも七十八年版は端子の差し間違えで音が左右逆にミックスされているらしい。しかしそのことに気づいたのはもっと先のことで、このリミックスの目的ではないとのこと。差し間違えたのが出力の端子なので気づくのが遅れたということだが、あまり自分の作品は聴き返さないタイプだったのだろうか。
 noteの旧アカウントに投稿していた記事「檀一雄『小説 太宰治』に登場する音楽まとめ」を手直しして投稿する。
 夜は新幹線で東京へ。八月に会社員時代の先輩が誕生日祝いをしてくれると言っていたのが、コロナウイルス感染があって延びてしまい十月になってしまった。

  少し高い新幹線のホームから見れば故郷も旅先になる。
  大人だからトランヴェールを読みながら心静かに運ばれていく。
  稜線も家並みも無く灯りだけ散らばっている風景を見る。
  不慣れでも乗り継ぎをして首都を目指す。奢りの寿司が待っているから。

 新宿駅で先輩と合流し、寿司屋に入る。寿司はまぐろ、中とろ、羽太(はた)、のどぐろ、きんめだい、関あじ、こはだ、みる貝、あわび、ぼたんえび(生)、車えび(蒸し)、海水雲丹、いくら、子持ち昆布、芽ねぎ、しゃこ、とろたく巻を食べ、一品料理では帆立貝柱磯部焼き、穴子白焼を食べる。酒は生ビールと、銘柄は忘れたが日本酒を何種類か、四合ほど飲んだだろうか。
 四時間くらい居て、先輩が眠ってしまったので一旦ホテルで仮眠をとる。二時間くらい寝て外に出るが空いている店が少なく、人もあまり歩いていない。地下のワインバーでチーズの盛り合わせを食べながら二杯だけワインを飲み、帰りにコンビニで水と酒を買ってホテルで飲む。

 十月十二日木曜

 十二時にホテルをチェックアウトし、新宿西口で昼間から酒が飲める店を探す。定食メニューを作って昼から営業している居酒屋がたくさんあり、そのなかから九州料理の店に入る。明太子(柚子漬け、昆布〆、超辛)、酢もつ、藁焼きかつお刺身、豊後さば刺身、博多鉄板餃子を食べて、生ビール、白ホッピー、芋焼酎ロック(不二才)を飲む。明るいうちから、スーツで仕事中の人たちが定食を食べる中で酒を飲むのは自由を感じて良い。

  夜明けまで飲んで寝てまた昼酒を飲む。青春だった頃のように。

 もう一軒、今度は焼肉屋に入る。和牛上ハラミ、上タン塩、イチボ、コムタンスープを食べて、生ビール、マッコリ、マッコリビール、オヨプチュを飲む。驚くことに昨日の寿司からここまで、ずっと先輩が支払いをしてくれる。それはもう会社員時代からだが、何故ここまでしてくれるのだろう。本当は私が私の後輩にこの恩を繋げていければ美しいのだが、私は会社を辞めてしまい、今では一人で仕事をしている。この恩にはどのように応えていったらいいだろうか。会うたびにそれを考える。会えばただ酒を飲み馬鹿みたいな話をし続けるだけなのだが、この人に助けられたことは本当に多い。私もどこかで何かこの人の助けになれたらと思っているものの、今でも私はこの人の世話になってばかりだ。
 先輩と別れて新幹線で長野に帰る。お腹は全然空いていないが、最後に駅構内でかき揚げそばを食べる。長野県は蕎麦処だと言われるものの、それゆえに手軽に食べられる立ち食いそば、駅そばの類が無い。私は東京で会社員をしていた頃にはそれらが好きでよく食べていたので、上京してきた時に食べたいものの一つなのだ。当時から、だいたい頼むのはかき揚げそばだ。かき揚げを少しずつ箸でちぎりながら蕎麦と一緒に食べていくと、だんだんつゆを吸ったかき揚げの食感と味が変わってきてとても美味しい。美味しさよりも提供のスムーズさを重視した茹で置きの蕎麦と揚げ置きのかき揚げだが、それにはそれの美味しさと良さがある。美味しいものをたくさん食べて最後に駅そばを食べるというのも、日常に戻るという感じがして良い。

  美味しいと言われるための調理などしていないのに美味い駅蕎麦。
  都内では持て余していたジャケットでまだ肌寒い故郷の駅。
  正午から夕方までのアルコールを夜には水で薄めようとする。
  十月の夜の冷気はこんなものだったか。十日前とは違う。

 十月十三日金曜

 朝、radikoで「おぎやはぎのメガネびいき」を聴く。
 仕事のBGMは大滝詠一『EACH TIME』にする。『A LONG VACATION』と同じ路線で、ウェルメイドなポップスという感じ。良いのだが、NIAGARA時代の趣味性の高いアルバムの方が好ましい。完全に好みの問題だが。
 仕事の合間に書いた新しい記事「太宰治と棟方志功--『善蔵を思う』に書かれた衝突」をnoteに投稿する。
 夜はセブンイレブンで買い物をして家で晩酌をする。麻婆豆腐、ピリ辛砂肝ポン酢、キャンディーチーズ、ベーコンエッグ、いわしせんべいを食べて、マルエフビール500ml缶一本と芋焼酎ロックを二合弱飲む。
 飲みながら、ツイキャスで有料配信「ISHIYA『Laugh Til You Die』刊行記念トーク」を見る。ジャパニースハードコアについての貴重な証言が次々に飛び出すとても興味深く、かつ笑いに溢れたおもしろい配信だった。本では名前を伏せたあのバンドと人についての話や、当時のライフスタイルの話、海外ツアーの話、コメントで質問をした、殺害塩化ビニールをどう見ていたかという話から、ナゴムレコード、特に人生の話、メジャーデビュー後のあぶらだこの話。有料配信なのでここに内容は書かないが、どれもおもしろく貴重な話だった。全てがアーカイブに残るかどうかはわからないが、またアーカイブでも見たい。

 十月十四日土曜

 朝、radikoで「バナナマンのバナナムーンGold」を聴く。
 仕事のBGMは大滝詠一『B-EACH TIME L-ONG』にする。『A LONG VACATION』から『EACH TIME』までのベストアルバム。歌い方が山下達郎に似ているが、山下達郎を見出したのは大滝詠一なので、山下達郎が大滝詠一に似ているんだろう。
 夜はツルヤで買い物をして家で晩酌をする。鮪刺身、鯛刺身、鯛刺身の胡麻漬け、金平牛蒡、かいわれ大根を乗せた冷奴、ベーコンを食べて、七笑を二合飲む。
 飲みながら、ツイキャスで有料配信「ISHIYA『Laugh Til You Die』刊行記念トーク」のアーカイブを見る。驚くことに全ての話が削除されずに残っている。ライブの打ち上げに紛れ込んで聞いているような楽しさで、酒が進む。

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