淋しい男
酒場で隣り合うてみた
男が俺に言うことにゃ
もう楽しみが無くなった
いかにも淋しそうに言う
どうしたのかと問うてみりゃ
秋葉原まで通い詰めた
メイドが店を辞めたうえ
行方知れずになったと言う
六十手前で歯も抜けて
性欲などは問題で
無いがとにかく淋しいと
しきりに俺に訴える
それもそうかという気もし
とにかく生きる楽しみを
見つけて欲しい気にもなり
気さくなバーを勧めてみる
しかし男はあくまでも
姪子のように安全に
無邪気に慕う女だけ
それ以外なら要らぬという
俺は応えに窮したが
会計をして男は言う
次はキャバクラに行くのだと
此奴楽しみに困らない
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