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イベントレポート ~雲仙市ワーケーション講演会・座談会~(2021/6/10開催)

お久しぶりです。溝口翔太です。

6/10 (木曜)13:30~16:40に開催された雲仙市ワーケーション講演会・座談会に参加させていただきましたので、その内容をレポートしたいと思います。

長崎県雲仙市主催のイベントです。6/9、10と2日間の開催で、現地とオンラインどちらでも参加できるハイブリッド形式でした。私はオンラインで6/10に参加させていただきました。

ワーケーションを企業内の制度として取り込もうとしている方、ジョブケーションを通じてワーケーション実施している方、居住系サービスを運営している方な視点からワーケーションについての取り組みやなどを話されていました。

今回の記事が参考になる方

●ワーケーション制度の導入を検討している企業の方(総務、人事系)
●複業を通じて本業以外で地方貢献したいという方
●ワーケーション事業への参入を検討されている方
●ワーケーションでの人の受け入れを検討している地方自治体の担当者

概要

■講演■
ワーケーションとは
(一般社団法人日本ワーケーション協会の古地 優菜さん)
[内容]
ワーケーションに関する基本的な知識やメリットの紹介に加え、2020年から広がり始めたワーケーションを今時点でどのようにとらえているのか。
和歌山県、長野県、新潟県妙高市、長崎県五島市などの先進事例の紹介。

企業誘致・連携を進めるためのワーケーション受入れについて
(株式会社シーエーシー 経営企画部 齋藤 学さん)
[内容]
コプロブレムソルビング型ワーケーションを実現する視点での講演。
従業員をワーケーションに送り出すという視点でのワーケーションの課題、企業誘致・連携を進めるためのポイントを紹介。
従業員をワーケーションに送り出すため企業のメリット、個人のメリットなどシーエーシーの取り組みからのインサイトを基に解説されていました。

場所にとらわれない働き方と暮らし方から考える地域の在り方について
(株式会社KabuK Stlyeの大瀬良 亮さん)
[内容]
HafHが5/21~30に石川県で開催したSlowワーケーションに関するデータや、HafHのサービスに関するデータを基に今後のワーケーション動向についての紹介。
またワーケーションで人を受け入れるときに、地域としてどのような構えが必要になるのかを説明。
世界的に増えているデジノマやコリビングなどの事例の紹介など。

地域における複業と
ワーケーションを重ねる新しい働き方「ジョブケーション」とは

(一般社団法人 Work Design Lab 代表理事 石川 貴志さん)
[内容]
ジョブケーションという形で家族をつれながらワーケーションする新しいライフスタイルの紹介。
ご自身のWork Design Labでの体験を中心に副業として地域に貢献しながら、ワーケーションするなかで感じたこと、考えたことについての紹介。

■座談会■
QA形式。現地(雲仙市)の事業者の方からの質問に対して、上記講演者4名が回答するというスタイル。
現地で宿泊施設を運営している方(旅館の女将さん)が積極的に質問しており、新しい取組にチャレンジしていこうという熱量を感じた。
長崎など主要都市から人を呼び込むような仕組みや、地方でワーケーションを進めていくうえでどのような取り組みをすると効果的に情報発信できるのか。
会いたくなる人を見つける、また人と会いたくなる仕組みについてなど、小浜市の取組を交えながら話が進んでいました。

ワーケーションとは
(一般社団法人日本ワーケーション協会の古地 優菜さん)

【概要】(再掲)
ワーケーションに関する基本的な知識やメリットの紹介に加え、2020年から広がり始めたワーケーションを今時点でどのようにとらえているのか。
和歌山県、長野県、新潟県妙高市、長崎県五島市などの先進事例の紹介。

【講演のポイント】

■ワーケーションとは多様なワークスタイル・ライフスタイルを実現するための手段

ワーケーションのイメージでアクティビティ(レジャー)をしながら働くというのが広く認知されているが、本当はもっと多様なワーケーションがあると思う。

work+vacationだとサラリーマン目線では働き方を圧迫するだけではないのかというイメージがある。
ワーケーションは必ずしもアクティビティを入れる必要はない。

Vacation[普段の生活からは得られないことを得るための手段]
豊かなワークスタイル・ライフスタイルを実現するための手段。

■ワーケーションの7分類

ワーケーションには分類があり、分類毎にアプローチが異なる。自治体としてどのような人に来てもらいたいかを考えながら準備を進める必要がある。

(7分類の詳細については以下に日本ワーケーション協会のサイトからご確認ください。)

■ワーケーションと観光との違い

ポイントは関係人口増
[ファン形成の視点]
観光よりもワーケーションの方が長く深く滞在することで地域の魅力に触れる機会が増えるという点。
移住定住、2拠点居住、第二の家族形成などにつながる。
[パートナー形成の視点]
地域課題や新価値創造を通してwin-winとなる事業者とつながることで、地域課題解決、企業誘致・雇用創出につながる。

松下教授のワーケーション2.0の事例を基に紹介されていました。

■地方自治体のワーケーション事例の紹介

ワーケーションの聖地和歌山県白浜ではリーダー研修×地域事業の課題解決、親子でワーケーションに特化してワーケーションを進め成功している。

長野県では地域毎に特色の異なるワーケーションを提供しており、交流のハブとなる人材創出に力を入れている。

新潟県妙高市はラーニングワーケーション(企業研修)に特化して進めている。

長崎県五島市はワーケーション効果で2020年転入者が増加につながった。ワーケーションを活用して地域移住を増やすという視点で活動を進めている好事例。

企業誘致・連携を進めるためのワーケーション受入れについて
(株式会社シーエーシー 経営企画部 齋藤 学さん)

[概要](再掲)
コプロブレムソルビング型ワーケーションを実現する視点での講演。
従業員をワーケーションに送り出すという視点でのワーケーションの課題、企業誘致・連携を進めるためのポイントを紹介。
従業員をワーケーションに送り出すため企業のメリット、個人のメリットなどシーエーシーの取り組みからのインサイトを基に解説されていました。

【講演のポイント】

■会社員がワーケーションすることの影響

フリーランサーに比べると会社員がワーケーションするのはハードルが高い。
但し母数はあるので、市場規模の面で会社員のワーケーションを取り込んでいくというのは大事(経済的な影響が大きい)。

■会社員が実施しやすいワーケーションとは

働く場所(ロケーション)が変わるだけという点でバケーションアズワークが一番実施しやすく、ワークインバケーションは勤怠管理などの面から実施しずらい。

バケーションアズワーク ⇒ すぐにできる
ブレジャー ⇒ バケーションアズワークの次にやりやすい
ワークインバケーション ⇒ 会社員はすぐには難しい

ワーケーションの分類については以下を参照ください。

■企業目線でワーケーション制度を導入するメリット

従業員のモチベーションアップ
戦略的な福利厚生
人材育成(副業を通して従業員の成長)
地域と協働してのイノベーション創出など

色々考えられるが、どのような目的をもって導入するかが重要になる。単に旅行の補助という考え導入するだけでは長続きしない。

場所にとらわれない働き方と暮らし方から考える地域の在り方について
(株式会社KabuK Stlyeの大瀬良 亮さん)


[概要](再掲)
HafHが5/21~30に石川県で開催したSlowワーケーションに関するデータや、HafHのサービスに関するデータを基に今後のワーケーション動向についての紹介。
またワーケーションで人を受け入れるときに、地域としてどのような構えが必要になるのかを説明。
世界的に増えているデジノマやコリビングなどの事例の紹介など。

【講演のポイント】

■アフターコロナでテレワーク、ワーケーションは増加していく

コロナ禍でありながらHafHの会員登録数は右肩上がりで、最近では会社員のユーザが増えてきており、ワーケーションのポテンシャルを感じる。

HafHの動向については以下を参照ください。

■ワーケーション市場動向

平日利用が65%
利用施設(東京31.42%、長崎12.97、福岡県8.34%)
と平日に、自宅周辺でワーケーションのする事例が多い。(マイクロツーリズムと同じような動き)

■ニーズを見たいしていないワーケーションプログラムが多い

よくあるワーケーションプログラムだと平日昼間にプログラムがあるなどミスマッチ。
平日の昼間は仕事に集中するために、最高のワークスペースを提供し、平日の朝夕(仕事始まり、仕事終わり)に地域に興味を持ってもらえるかが大事。
休日は存分に地域を堪能してもらう。

■コロナ後のワーケーション需要について(世界の視点から)

世界ではデジノマと呼ばれる人が増えており、コリビングというコワーキングに宿泊施設がついたもの世界的に広がっている。

バリ島のdojo baliというコリビングでは現在でも毎日200人の人が訪れており、需要の高さを感じさせる。

一方外国の人が日本にワーケーションするかというとしない。日本はうるさく、物価が高くデジノマには不向きというイメージがあるため。そのイメージを払拭すれば日本にも海外からワーケーション客が訪れるようになる。

■観光との違い(いいところを見せるのではなく、課題を共有する街へ)

観光だと綺麗な場所や、観光用の場所に来てもらい楽しんでもらうのが一般的だが、ワーケーションでは日常を体験してもらうことが重要。
例えば五島市では朝のビーチのゴミ拾いに参加してもらうなど、地域のリアルを感じてもらうことで、地域とワーケーションに来た人とのつながり深くなり、また来たいと思ってもらえるようになる。

HafHの石川の事例でも朝の散歩などいつもの日常の入ってもらった。(地域は特別な準備はいらない)

地域における複業と
ワーケーションを重ねる新しい働き方「ジョブケーション」とは
(一般社団法人 Work Design Lab 代表理事 石川 貴志さん)

[概要](再掲)
ジョブケーションという形で家族をつれながらワーケーションする新しいライフスタイルの紹介。
ご自身のWork Design Labでの体験を中心に副業として地域に貢献しながら、ワーケーションするなかで感じたこと、考えたことについての紹介。

【講演のポイント】

■ジョブケーションとは?

ワーケーション+複業という新しい働き方のこと。ここでいう複業はお金がもらえるかどうかは関わらず、本業以外でなにかしら貢献する活動のことを指しています。
自分のもっているノウハウを地域貢献のために活用するというジョブケーションになります。

■ジョブケーションで大切なこと

副業なので土日が主な活動期間になりますが、毎週土日親がいないというのは家族から不満がでるので、私は複業先に家族を連れてジョブケーションしています。
そんな中で重要なのは家族単位で地域のファンにすることが大事です。

また来たいと思ってもらえると、家族旅行として来てもらえたり、その後の広がりが大きくなります。

■ジョブケーションのメリット

子供の教育面でも、日常では経験することができないことが体験できるので、家族でのジョブケーションは家族としてみてもとてもいいです。
地方企業を手伝うと、家族旅行が返ってくるプロジェクトととらえることもできます。

地域で家族と関わることで、そこが第2、第3の故郷になるというのもいいですね。

■家族でワーケーションの課題は教育

デュアルスクールなどの制度はあるが、ワーケーションを主体にしていないため、教育をどうするかの問題があります。

■ジョブケーションのコツは適切なコーディネータを経由すること

いきなり地元の以外の人から話をされると怪しまれるため、work desing labでは入り口として財務局に当たることが多いです。地元での影響力のある方につないでもらうことで円滑に話を進めることができます。

座談会

【概要】(再掲)
QA形式。現地(雲仙市)の事業者の方からの質問に対して、上記講演者4名が回答するというスタイル。
現地で宿泊施設を運営している方(旅館の女将さん)が積極的に質問しており、新しい取組にチャレンジしていこうという熱量を感じた。

【座談会のポイント】

【質問】
長崎市に来た人を呼び込むような仕組みいれていく場合、地元の人は何をしたらいいのか?
【大瀬良さん】
コンシェルジュのような方がいて、誰に聞けばいいのかがわかるようになっていることが大事。
広島の場合、ガイドするのではなく、
誰が何をやっているのかがわかる観光ブックがあってよかった。
(情報がオープンになると人は移動しやすくなる。)

長崎の事例になるが、HafHではLINEのオープンチャット機能の活用し、地元民、HafH利用者が情報交流できるような仕組みを用意した。そこでは「今日ご飯食べたいけど」などのつぶやきができる。

【質問】
小浜でもmeet map作ったけど、どのように発信するかがわかっていない。どのように発信していけばいいのか?

【石川さん】
いきなりコミュニケーションをとるのは難しい。
東京側(ワーケーション元)とワーケーション先のつなぎ役がいて、そこが窓口になると人は流動し始めると思う。

----以下対談で出た内容----

【大瀬良さん】
一週間旅館のご飯だと飽きる。
なので基本素泊まりで止まって一食は旅館で頂くけど、残りは自炊したりできると楽しい

集まる場所としてキッチンは大事。
施設を作る際にキッチンを部屋の真ん中に置いた。

おわりに

原体験からくる話はどれも説得力があり参考になった。
ワーケーションを関係人口、移住とつなげていくには、会いたくなる人との出会いをどのように演出するかが大事だと感じた。

また、誰のどういうニーズに対して何を提供していくのかを、デザインシンキング的に検討していくことがこれからワーケーションを差別化していくうえで重要になると感じた。

五島市のイベントと同様に需要と供給をマッチングするようなパラレルコミュニティコーディネーターのような方は分散化が進む社会の中では重要になってくるのではないかと感じました。


以上、溝口翔太がレポートさせていただきました。


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