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水の空の物語 第2章 第1話

第二章 空の上に湧く泉



 終業のチャイムが響き渡った。

 教師が出て行くと、教室内が急に騒がしくなる。

 待ちわびた放課後に、風花の中にわくわくが込みあげてくる。外はよく晴れて、雲がきらきら輝いている。風花の気持ちにぴったりの天気だ。

 荷物を鞄に押し込み、風花はドアにダッシュした。
 本当は窓から飛び出して、直接正門に行きたい気分だ。

 ……早く、夏澄くんたちのところに行きたい。

 昨日、夏澄は風花の記憶は消さず、しかも夏澄の故郷を元にもどす方法探しを、手伝って欲しいといってくれた。

 なんて、夢みたいなんだろうっ。
 うれしすぎて、風花は目まいを覚える。

 あの、きらきらした水の精霊さんの、手伝いができる。

 また逢えるのだ。

 精霊がいるきれいな世界に、また触れることができる。
 想い出すと、うれしくてうれしくて顔がわらってしまう。

 夏澄は仁愛の精霊だという。優しく生まれた精霊なのだ。そんなところも、彼はきれいすぎる。

「待ってよー、風ちゃんー」

 駆け出した風花を呼び止める声がした。親友の、ひろあと香夜乃かやのだった。

「一緒に帰ろうよ。あわててどうしたの?」
「え? ひろあと香夜乃こそ今日は暇なの?」

 二人は中学のときからの親友だ。だが、高校に入学すると、香夜乃は習い事を始め、ひろあには彼氏ができた。

 登校は一緒でも、下校は別々になっていた。

「うん、今日はなにもなし。一緒にのんびりしようー」

 ひろあは中学のときのままの、かわいいソプラノの声をしている。逆に香夜乃は大人びてきていた。

 夏澄たちに早く逢いたいが、香夜乃たちとも久しぶりだ。

  風花は深呼吸して、逸る心を抑えた。



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