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何ひとつ上手に喋れなくて情けなくなった。だけど何もかも上手に話せるようになってしまった…
寂しくて仕方がない。失うということには、多分それくらいの深さがあるからだ。それは、得ら…
言えないことだらけだったのに、あなたに一本ずつ棘を抜かれて丸くなっていく。このままいつ…
空の色を曖昧な表現に溶かす。あの雲の形は、などと語ったって、結局は遠いままで近づいたっ…
夏を探して歩いたら、夏に追い越された。仕方がないから、日焼け止めのスプレーをその辺に撒…
寄生生物に心を乗っ取られて死んでみたい。そう思ったのは、寄生生物のみせる病変という言葉…
この街には私がいる。行き交う誰の目にも映っていない私は、誰かの誰かになれないままだ。だけど確かに私はいる。それを証明するために、住民税が徴収される。私はこの街で生きている。いてもいなくても別にいいのに。 明日は雨が降ると聞いて、不穏な昨夜を過ごした。100%と書かれていた降水確率もいつの間にか天引きされて低くなっていた。降らない雨もなお悲しい。魔を殺して乗り越えた夜の先にも、あるのは寂しさだから救われない。明日も息をするだけだ。つまらなくて愛おしくて嫌い。
あの子が随分と前にくれた言葉を、食べかけのままにしていることを思い出した。賞味期限は切…
眠れそうだと思った夜ほど、上手くは眠れないものだ。許せないことはいっぱいあるほうが一緒…
初夏を楽しむ気もない真夏日は、いったい誰の思惑だろう。あまりの眩しさに目を細める暇もな…
あまりにも窮屈な世界で、祈りはただの紙切れになった。風が吹けば飛んでいける。でも、温い…
立つたびに立ちくらみがしてふわふわふわふわ。このまま空でも飛べたらいいのになって、空を…
私は、自分で自分を愛することができるし、自分で自分を嫌うことさえできる。自立した生活と…
携帯端末から流れる音楽は、相変わらず失ってから気付いて勝手に傷付いて終わっていく。デジタル化が進んだこの時代に、自分の肉体が不用意に露わになることを妙に恥ずかしく思う。何故か同時に空いた両足靴下の穴は、私を嵌める罠のように見える。だけどこの穴に他人が気が付いたところで、ただ気が付くだけで終わりだ。私が勝手に傷付く必要もない。 下の下の身の上話は、やっぱりどこにでもある話で、私にとっては切実でも、他人にとっては戯言だ。分かっていながらも口を開いたのは、君が耳を傾けていたか