夏来

 初夏を楽しむ気もない真夏日は、いったい誰の思惑だろう。あまりの眩しさに目を細める暇もない。暇もないのに細くなった私の目には現実も非現実も映らない。あるのは日差し、ただそれだけ。だから怖いものなんてなにもない。

吐くほどではない車酔いに人生を重ね合わせたって仕方がない。そんなことはわかっている。
言うまでもない冗談は明日の希望だ。なんて馬鹿げたことを言う。疲れたときにお疲れさまと言ってもらえる日なんてきっと来ないのに、想像してしまって死にたくなった。と、この場合の死にたいは、ただのちょっとした切ないだ。それでも死にたいものは死にたいのだ。だけどこんなことを言っていたって長生きはしたい。この先の見えない時代だからこそ。

明日の希望は日付変更線に溶けて見えなくなるらしい。そう聞いて安心した。それくらいでいいのだ。死にたいくらいでちょうどいいのだ。だってまだもうちょっと生きていたいとか、やっぱり今日も思っている。お疲れさま、また明日。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?