このドロっとした、どうしようもない

 言えないことだらけだったのに、あなたに一本ずつ棘を抜かれて丸くなっていく。このままいつの間にかじっくりコトコト煮込まれてパッケージされて、缶のコーンポタージュにでもなってしまったらどうしたものだろうか。

少年は冬に小遣いで買ったそれの粒の、最後の2つまでは手に出して食べたけれど、最後の1粒に気が付かずに、あの丸い穴の空いたゴミ箱に捨ててしまった。ああ、缶が収集されて処理されるまでのどのタイミングで私は、最後の1粒は、この缶から自立することができるのだろうか。少年の胃まで辿り着けなかったことを悔やみながら惨めな姿で、或いはしゃんとその足で立って、私は結局どうなってしまうのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?