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小説

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自筆の小説(散文)
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2019年8月の記事一覧

染色セカイ

目に見えるものすべてが黄緑色に見えた。それは突然私に降りかかった悲劇。周りに話しても信…

相川 実
5年前

君、風景

君があの子を見ているときの顔。私には見せない表情。私はそれを見るのが好きだった。そんな…

相川 実
5年前
2

抒情少女

夜をじっとずっと見ていた。すると頼りない雲の隙間からすっと、朝が顔を出した。こちらの様…

相川 実
5年前
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虎穴泡水

穴が空くほど見つめてる。本当に、穴が空いて私が入り込めたらいいのに。そうしたら否が応で…

相川 実
5年前
2

シロップ

君の名前を呼びたい。君が、僕を呼んでくれたように。でもなんの責任も取れないから、今日も…

相川 実
5年前
1

揺籃

どうしてもなにも思いつかないときのための下書き。書いたときから下心でしかなかったはずな…

相川 実
5年前
1

ストッキング

網タイツが伝線すると穴が広がると教えてくれたのも彼女だった。彼女の体温は普段はうんと低いのに、生理前の朝だけは異常に温かかった。 別れた女のことを思い出すのは珍しい。今横に裸で寝ている女も別に悪くはない。悪くはないけど何か違うと思うのは、この女に彼女を探してしまっているからだ。体の相性も良いし料理も上手い。不満はないのに名前を呼べないのは、僕が何かに縋っているからだった。 ねぇ、今、何考えてたの?っていつも聞かれる。そんなに僕は上の空なのだろうか。まぁ別にいいけど。

燃えカス

ひとりで完結する世界で生きていけたならよかった。一緒が芽生えたせいでこんなことになるな…

相川 実
5年前

ナツのアカハナ

最近本当に体力がない。自分が体から遊離していくほどに。他人の不幸を哀れむくらいに。チラ…

相川 実
5年前

ねこじゃら

声をかけるとこちらを見やって頷いた。彼女なのか彼なのか私は知らないが、私たちは写真を撮…

相川 実
5年前
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煩い

もう書けない。と君が言ったから、それじゃあもう歌えない。というと、君は泣いた。こんなの…

相川 実
5年前
1

これはとある我が国の話

 国を作った。100人ばかりの小さな国。私は王だから、皆私の言うことを聞く。だって逆らうと…

相川 実
5年前
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生粋

耳を澄ましたら聞こえたの。それなのに見回してもなにもないから、もしかして自分の声だった…

相川 実
5年前

You see?

和真は嘘をつくのが苦手だ。ついたら、無意識のうちに笑う。それは許してもらおうと必死な顔にみえる。なのに彼はバレていないと思っている。そんな姿が可愛いから、私はいつだって許してしまう。 「加奈子は僕のお嫁さんになるんだよ」 そう言って笑う。このいつものやりとりだけ、いつも嘘か本当かわからない。というか、本当と信じていたいと私はきっと思っている。 「うん、和真は私のお婿さんになるんだよ」 そう返すと、和真は考えるような表情になった。そうして片目だけ閉じて頷いた。閉じた目