燃えカス

 ひとりで完結する世界で生きていけたならよかった。一緒が芽生えたせいでこんなことになるなら。そうやって皮肉みたいに自慢するのがやるせなさじゃなくて幸せだったらよかったのに。

 人生なんてただの終身刑だ。どこかのバンドマンが死にそうになりながら歌っていたとおり。例えパラレルな世界の私が輝いていたとしても、みられないんじゃあ知ったことではない。寧ろその世界の私は、こっちの情けないこれとの均衡でそうなり得ているのかもしれない。

 心臓が体を叩く。その音や速度も気分や日によって変わる。私じゃない誰かの臓器の鼓動が耳元で鳴り響いて目覚めるときだってある。分けてくれなんて頼んでいないのに裾を分かつ人々の思考は存分にわかって、心象は永遠に得て取れないから、私はいつまでも形のない怪物みたい。どうせならもっと、世紀の死神みたいな見た目ならよかったのに。ただのちょっとしたブサイクが鏡の前で吐き続ける溜め息に、少女から買ってやったマッチ棒。火を付けて落としてからが本当の物語のはじまり、らしいよ。

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