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#25|「分離不安」は小っちゃい頭でいっぱい考えてる証拠!レジリエンスを育てるハグ⇒メッセージの順番。

「ママー!ママがいいのーー!!」
朝7時半。いつも通りに保育園に行き、いつも通りにバイバイするつもりの私にしがみついて号泣する娘、4歳。

おや?

入園当初は泣いたものの、入園2年半のあいだ一度も「保育園に行きたくない」旨を口にしたことがない娘。が。この日は違ったよう。

「はーい、行きますよー」
暴れる娘を先生が抱え、お部屋へ。久しぶりのその姿を見ながら、どうしたのかしらと思いめぐらす。

最近多いな、この感じ…?
脳の隅に「なにか」がひっかかる。


4歳だからこその「分離不安」がある

先日の「スイミングで不安を思い出して泣き出した」一件もそう。
寝る前、「ママとずっと一緒にいれる?」と泣きだすことがあったり。
エレベーターのような閉鎖空間に一人で先に乗り込むことを嫌がったり。

とにかく【私と離れる】ことに妙に不安を示すようになった気がする。


正直ね、面倒だとも思いますよ。

4歳、やっと少し手もかからなくなってきた。
その矢先にまた「ママー!!!」
後追いがやっと終わったと思ったんだけどな…。

まあ、突き放すのは簡単。
スルーするのも簡単。

でもどうしても思考の片隅にひっかかりがあり、調べてみることにした。


するとあった、ドンピシャの論文が!

『4歳児の不安ー将来の別離を恐れる女の子の事例からー』
 比治山大学 短期大学部幼児教育科 七木田 方美教授

PDFで18ページにわたる論文、興味のある方はぜひ。

✔ 要点はここ↓

4歳児の不安は、4歳児特有の認識、言葉、想像力と、本人の気質が相まって生じるものである。(中略)4歳になると語彙が1500を越えて非常に豊かになり、物語を頭の中で作れるようになります。その結果、よい方向にも悪い方向にも想像力がたくましくなります。ネガティブな気質のお子さんの場合、悲観的な想像力が強くなり、先々を不安視することがあります。

『4歳児の不安ー将来の別離を恐れる女の子の事例からー』
 比治山大学 短期大学部幼児教育科 七木田 方美教授

七木田先生に相談があった案件では、
・4歳の女の子
・先々、とくに「死による別離」に異常なほど不安を示す
・母親が対応に困っている


あ、これかも。
私にも思い当たること、ある。

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娘が分離不安を示すしばらく前に、
何気なく話したことがあった。


いつか親元を離れ、この家を出て、
自立し自分の力で生きていく日が来ること。

大学生になるときが、おそらく家を離れる
タイミングになるだろうこと。

私自身はそうだった、
実家を離れたのは18歳だった‥‥など。


私は世間話の延長で、本当に何の意図もなく話しただけだった。でもそういえばあの時も娘は「離れたくない!ずっとママのところにいる!」と大泣きしていたっけ。

もしかしたら、私の何気ない話に端を発しているのかもしれない。


4歳の別離不安の原因と具体的な症例

先ほどの七木田先生の論文によると、おおむね4歳はこんな時期だそう。

✔ 4歳は語彙が1500を超え、想像力もどんどん広がる。
✔ 現実に体験したことと、絵本などの想像の世界で見聞きしたことを重ね合わせて世界を理解していく。
✔ 大きな音や暗がり、お化けや夢、1人取り残されることへの不安などの
恐れの気持ちもわかるようになる。
✔ 曖昧ではあるが将来の見通しを持って行動する。

-保育所保育指針第2章「子どもの発達」の〈おおむね4歳〉より抜粋

想像力がぐんぐん広がり豊かさになる。
自己の内面が広がることで、これまでは理解できなかった「不安や恐れ」を知り、想像力によって増幅させるようになる。

4歳で「先々を想像して不安になる」ことがあるとは。


私が何気なく話した「あなたもいつかはね…」が、意図せず娘に不安の種を植えてしまったという推測は正しそうだ。

その不安が、娘のは「別行動を嫌がる」形で現れた。


他にはこんな例もあるそう。

【行動面】母親へのしがみつき、こわがり、登園しぶり、不登園、かんしゃく、緘黙、多動、集中困難、泣きやすい、よくすねる、乱暴(攻撃的行動)、暴言、活動性低下、など

【身体面】①痛みとして腹痛、四肢痛(特に下肢)②易感冒性、発熱、継続する微熱、風邪からの呼吸器の炎症 咳込み ③消化器系として、吐き気、食欲不振 ④泌尿器系として頻尿、おもらし、夜尿 ⑤感覚異常として、皮膚の過敏性、見えにくい、見えない、聞こえにくい、聞こえない⑥その他、チック、不眠、悪夢、疲労感、肩こり、など

【精神面】不穏感(落ち着かない)、焦燥感(イライラ)、現実感喪失、幻想、幻聴、など

不安を感じた4歳は、はじめに言語化して信頼できる大人に不安を伝えようとする。
でもまだ言葉の発達未熟な4歳。全てを正確に言葉に表現しきることはできない(大人だって難しい)。

伝えられない、伝わらないもどかしさを、心身さまざまに表現して伝えようとしているそう。


娘が保育園で泣いた朝。
出来事をスルーせず、頭のひっかかりから検索してみてよかった。この論文に辿り着いてよかった。

親の直感は当たるものだ。

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困難に打ち勝つ力「レジリエンス」の育て方

近年注目のワードでもある「レジリエンス」。

生きていれば直面する、さまざまな困難や不安にどうにか対処することで、心の自己治癒力を獲得し、それまでの心の構造とは異なるたくましい心の構造を持つようになる力のことを言う。

子どもの「レジリエンス」は、子どもが生まれ持った気質と育つ環境、そして多様な経験が複合的に重なり合い、育つ。

そう、幼少期のレジリエンスは発達途上で育つ。幼く弱い心がその構造を変え、しなやかでたくましいく生まれ変わっていく。

この力を育ててくれるのは、不安や困難に直面したときに支えてくれる基本的な信頼感がある身近な人の支え、そして自然と仲間との遊びだという。

だから、

分離不安かもと感じたら、
まず「温もり・柔らかさ・匂い」を十分に感じさせ、子どもを情緒的に安心させることが大切。

次に「大丈夫だよ」という安心メッセージを伝えたい。
ママはいつでもあなたのそばにいるよ、と。

これ、順番も大事です。
まず口で言って聞かせようとしても、心が不安な状態では聞き入れない。

先に心の安心を。
次に安心メッセージを。

この2段構えで見守ってあげると、
子どもは少しずつ「レジリエンス」を獲得していく。


うちの娘に2段構えの実践を続けて2週間ほど。
不安のピークは過ぎたようだ。
でもまだ時折不安げな表情が出る。


心の成長に結果を焦ってはいけない。

成長するのは娘自身。
私にできるのは、たくさんハグし「あなたのことが大事だよ」「大好きだよ」と伝えることだけ。

ゆっくり、待とう。


今日はそんなところです。




一緒に楽しみながら高め合える方と沢山繋がりたいと思っています!もしよろしければ感想をコメントしていただけると、とっても嬉しいです。それだけで十分です!コメントには必ずお返事します。