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いえづくりレシピ

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みゆう設計室のいえづくりについてまとめたマガジンです
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#心地良い暮らし

ヌックという居心地の良い小さな空間

「都会の小さな森の家」のダイニングには、ヌックという居心地の良い小さな空間を設けています。ヌックはスコットランドで生まれた言葉で、「心地よい小さな空間、隅っこ、少し隠れている場所」というような意味の空間のことを言います。 リビングとは別に設けた小さな居心地の良い空間。 夏は涼しげなタイルの床ですが、冬は朝の陽が差し込み床暖房が入ってぽかぽかとした空間で読書やカフェタイムを楽しめる場所です。 リラックス空間というとリビングを思い浮かべがちですが、家のいろんなところに居心地の

風呂フタはいらない。

お風呂に必要な機能って何ですか? 広い浴室でゆっくり足をのばして入りたいという方や、ほとんどシャワー使用なので掃除がしやすければ良いという方、テレビなどをつけてリラックスタイムを楽しみたい方といろいろ要望はあると思います。 中でも「掃除のしやすさ」を優先する方は多いですね。それだけ古いお風呂のお掃除は大変ですから。キッチンはこだわってそれなりにコストをかける人も多いですが、浴室はコストをあまりかけない人が比較的多いかも。 掃除がしやすいということで、シンプルなユニットバス

明るく風通し良いリビングダイニング

「フレンチナチュラルスタイルの家」のリビングダイニングはあかるく柔らかい雰囲気の広々空間です。 リノベーション前の家は湿気がたまりやすく、家族が過ごす空間があまり明るくありませんでした。そのため風通し良く明るいリビングダイニングをつくることが今回のリノベーションの目的のひとつでもありました。 しっかり風を通せる間取りにして、壁・天井を呼吸する自然素材、シラス壁にしています。 床には無垢のパイン床を張りました。 素材からも、間取りからも心地よさを生み出せたリビングダイニング

コックピットのような子ども部屋

梁下のパーティションで2室に分けられる子ども部屋。それぞれの部屋はコンパクトなので、広さを感じられるように勾配天井、低めのパーティションとしました。 隣の部屋の音や灯りは感じられますが、お子さんのご意見を聞いて決めました。シーリングファンを設け、エアコン1台で済むようにしています。そのためパーティションも低めなのです。 コンパクトな部屋ながら、収納もデスクも、ベッドスペースも確保できるように。「コックピットのような子ども部屋にしたい」をかたちにしています。無駄がなく、心地

個室を繋ぐ場だからこそ、明るい空間にしたい

廊下に差し込む天窓からのあかり。 暗くなりがちな中階段も明るくします。 個室を繋ぐ場だからこそ、明るい空間にしたい。 家事ラクで無駄のない間取りにするために、廊下の長さはできるだけ短くします。廊下は短くするか、意味のある空間にするか。「 都会の小さな森の家」の廊下は少し広めにして本棚を設けました。そんな空間だからこそ、天窓が活きるのです。

床にものを置かずに済む家

ものを床に置かずに済む家にしたい。 床にものを置いてしまうと掃除の時に動かすのが億劫になりますよね。「インナーテラスのある家」はできるだけモノをきちんと収納できるようにダイニングテーブルの周りに造り付けの家具を設けました。 座っていても手を伸ばせば届くところにある収納スペースです。 大きなものの収納としてはまとめて入れられるパントリーやクローゼットがあります。 そしてダイニングテーブル横の収納家具の足元はオープンになっていて、その足元にルンバの定位置があります。 床にモノ

家族の暮らしに合った家を、作るために。

家の一番心地よいところに「居場所」がある。 設計をする上で、とても大切にしていることです。 南側の日当たりの良いポカポカした窓際に、掘りごたつのように足をおろせるカウンターがあります。 小さいうちはお絵かきを。小学生になったら宿題を。お父さんはパソコンを使うかも。 床座は落ち着くけれど、畳だと掃除やメンテナンスが心配という人もいます。 畳の良さもありますが、床暖房の入った無垢床の上で過ごすのも良いですね。おもちゃを使って遊ぶのにも向いています。 暮らし方は人それぞれです

できるだけ長く住みたいと思う家

長く住み続け、次世代にも住み継いでいくことを目指す100年住宅、長期優良住宅。劣化や変化に対応でき、100年を越えても耐久性が維持できる強度の家。 「都会の小さな森の家」はその基準以上の耐震強度で計画をしていますが、設計でもっと大事にしたのは「できるだけ長く住みたいと思う家」であることです。 家がどんなに強くても、その家に住みたい人がいなければ家は廃れていきます。 「都会の小さな森の家」はこの家が大好き!!という気持ちが家の隅々まで染み渡っています。 間取りも素材もたく

木製窓が額縁のように森の風景を切り取るリビング

玄関からリビングに入ると、木製窓が額縁のように森の風景を切り取ります。どんな森の中だろう、というお住まいですが、住宅地の端部でインフラもしっかり整備された敷地です。 森を見て暮らしたい。そんな思いに対して、敷地のアドバイスから家づくりが始まりました。 リビングは森に対して大きな窓を設けるのではなく、敢えて腰掛けたときにちょうど森の風景を見られるような窓高さ、窓サイズにしています。 家のいろんな場所で森の風景を見られるのですが、それぞれ見え方が変わり、それぞれの空間に居場

いえづくりをするときの「モヤモヤ」を解消する。

いえづくりをするときの「モヤモヤ」。住宅設計「する上で、これが「スッキリ」になるまでアイディアを出したり対話を重ねたりします。 いえづくりの「モヤモヤ」は「シミ」のようなもの。消さずに置いておくと、365日気になって、何年も蓄積して深く大きなシミに変わることがあります。 そんな「シミ」を作りたくないので、早めにスッキリ解消させます。 例えば数ミリの段差、僅かの奥行不足、なんとなくイメージした色と違う!などなど。 設計者にとっては家は完成したら仕事としては終わりですが、建

トイレットペーパーの収納方法

トイレに収納しておきたいもの。トイレットペーパー、トイレ掃除用具、生理用品。あまり見せたくないから扉の中に収納しておきたいけれど、トイレットペーパーがなくなったら各自で交換してほしい。二連のペーパーホルダーでも家族がなかなかトイレットペーパーを補充してくれないという話を聞きます。 トイレはそれほど大きなスペースを確保しないことも多く、収納を吊戸棚に頼る家も多いでしょう。取り出しにくさから、作業の「めんどくさいポイント」が上がります。扉を開けることも一つの動作、めんどくさいポ

建築士が使いやすいキッチンを教えるのではない

新しいキッチンのご提案をする時は、使いやすさの基本と、そのご家族が料理をするシーンのイメージを持って、デザインを考えます。 私自身主婦であり料理をしますが、私がつくる料理とは異なる工夫をみなさんお持ちなのです。 私が使いやすいキッチンを教えるのではなく、建築主に使いやすいキッチンについて教えてもらいます。 些細なことですが、フライパンでの炒め物が多い家庭と煮物が多い家庭では油汚れも変わります。大皿料理が多ければ、大皿のスペースを。小鉢をたくさん使う料理が多ければ、小鉢の収

ちょっと特別な感じを、素材から。

玄関から廊下を通ってリビングに入るとき、そこには家族の暮らしや庭の風景がぼんやりと見える。 「昭和ガラスの家」はリノベーション前、一番印象に残っているのが玄関から見える庭の風景でした。とても良い家だけれども、うまく使えなくて困っていることもよく分かりました。収納スペース、使いやすいキッチンに水回り、明るい階段など、デザインや間取りで快適な家を作りました。でも、前の家のとても印象に残る風景は残す。これが私が設計に込めた思いです。 奥さまから「前の家も褒めて頂いたこと、好きだ

玄関前の手洗いから気づいたこと

先日書いたトイレの手洗い問題。色んなご意見頂きました。 トイレの手洗いでお湯が出た方が良いか気にするようになったきっかけは、この「キッチンを囲む家」の手洗いにあります。 この家の1階のトイレには内部に手洗いがあります。そのトイレ内の手洗いは水のみ。 さらにトイレの外に帰宅時や日常に使える手洗いを別に設けました。玄関の目の前でもあり、キッチンのすぐ裏手にもあたります。 洗面所が2階なのでよく使うだろうと思いお湯が出ることをお勧めしていたのですが、最終的にコスト調整もあり水だ