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憂鬱な話を聞いている時は白玉あんみつのことを考えている

ここ一ヶ月ほど、
ある男性のことで、少々悩んでいました。

その男性というのは職場の先輩。
直接の上司ではないけれど、最近仕事でお付き合いするようになった方です。

悩んでいるのは、彼のお喋りについて。

毎日午後三時頃になると、彼はふらふらとわたしのデスクにやってきます。
それとなくパーティションに肘をつき、いつも同じようなことを嬉しそうに話すのです。

「部長がこの人のこと仕事できないって」
「部長ってこの人と仲良いんだよ、先週ゴルフに行ってたんだって」
「週末何してたの?どこか行ったの?」

最初はしずかに聞いていたのですが
だんだんと、頭の中を「自慢」とか「権力」とか、いやな言葉が埋め尽くすようになってきました。

でも、立場上直接伝える勇気もなく。
日を追うごとに、まるでわたしはどんどん小さく、彼はどんどん大きくなっていくように感じられました。

直接言えないのなら、せめて自分の心を守ろう。

そう思ったわたしは、
彼の話を聞くときに、「頭の中につやつやの白玉あんみつを思い浮かべる」と言う作戦を
試すことにしました。

ちょうど、上野みはしさんの白玉クリームあんみつが気になっていたのです。

あんみつを精緻に頭の中に描き出すと、
頭は「みはし」のお店の中へ…。
こんな感じでトリップしていきます。

八月の暑い日。
薄いリネンのワンピースと日除けの帽子を身につけて訪れたのは、京成上野駅からほど近いレトロな喫茶店「みはし」。

ショーケースには、色とりどりのかき氷やあんみつから、ところてんやお雑煮までが並んでいる。

でも、頼むものはもう決めている。
なんといっても、白玉クリームあんみつ。
ホームページにはこんな文句が書いてあるのだから、頼まないわけにはいかない。

もちもち白玉で気分も弾む...と気持ちも楽しく。 いつも明るく笑顔でいると幸せがやって来るそうです。

出てきたのは、ベーシックで伝統あるクリームあんみつ。つやつやの白玉とソフトクリーム、あんことみかん、それから寒天が上品に盛り付けられている。

さっぱりしたソフトクリームが
あんこに溶けたらどんな味がするんだろう。

みかんの酸っぱさと、あまいあんこが
合うんだろうな。

なんといっても、白玉。つるつるもちもちで、
嫌なこともさっぱり忘れられるんだろうなあ。

それぐらいまでイメージを膨らませると、
彼が「じゃ、また明日ね」というところで「はっ」と現実世界に帰ってこれます。

そんなふうにして心をシャットアウトすることで、彼から逃げているのです。

もちろん彼に対しては失礼なことだと思います。
こんなことをしなくても、冗談みたいに
「もう!話長すぎて紅の間奏かと思っちゃいましたよ〜」とか言えたら、どんなに双方のためになるだろうか。

でも、まだそんな勇気は持てないのです。

それでも、嫌なことがあった時に、
ずーんと当てられるだけ、被害者になるだけ、というのは、そろそろ卒業したい。

なにか面白いことでも言って乗り切れるような自分になりたいな、と思うのです。

そんなことを考えて、最近はこんな取り組みをひっそりと試しています。
彼がくる度に、夏の白玉あんみつに対する想いは着々と強くなっていく🍧

今年は上野にあんみつ、
食べに行けるといいなあ。

みや


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