深山 州(マンション管理士事務所&マンション管理会社経営)

■メルすみごこち事務所 代表(マンション管理士・理事長代行(プロ理事長。外部管理者)・…

深山 州(マンション管理士事務所&マンション管理会社経営)

■メルすみごこち事務所 代表(マンション管理士・理事長代行(プロ理事長。外部管理者)・防火管理者委託) ■クローバーコミュニティ 代表(分譲マンション管理会社) ■1974年東京生まれ、横浜居住 クローズアップ現代、ガイアの夜明け、日経新聞など等に専門家として出演

最近の記事

危険な区分所有者が理事長へ立候補したらどうする?

前回・前々回のコラムでは、相談者が「マンションを良くしたい」という共通の目標を持ち、彼らが理事会への貢献を意識している事例を取り上げました。 ※前回コラム「区分所有者の理事会への立候補を拒否するマンション管理会社(2)」はこちら しかし、現実には、理事会(特に理事長)への立候補者の中には、管理組合を混乱させたり、運営を停滞させたりするケースが少なからず存在します。 例えば、何度も管理組合や管理会社を訴えたり、管理会社にモラハラを繰り返すような「モンスター区分所有者」、過

    • 区分所有者の理事会への立候補を拒否するマンション管理会社(2)

      前回のコラムでは、マンションの理事会役員への立候補が管理会社に拒否された、神奈川県のマンション管理組合(Aさん)の事例を述べました。 この事例を通じて、管理規約の解釈や理事会の権限、管理会社の対応の問題点を論じました。 今回は、理事会への立候補を管理会社に拒否・妨害された場合に、立候補せず理事会役員になることができたBさん・Cさんの事例を話します。 ※前回コラム「区分所有者の理事会への立候補を拒否するマンション管理会社(1)」はこちら Bさんの事例(東京都のとあるマンショ

      • 区分所有者の理事会への立候補を拒否するマンション管理会社(1)

        マンションの理事会役員への立候補が管理会社に拒否されることについて、問題意識の高い区分所有者は疑問を感じると思います。 特に「マンションのルールブック」である管理規約に明記されていない理由で立候補が拒否される場合、その不透明さに不満が増大するのではないでしょうか。 このコラムでは、あるマンションで区分所有者が管理会社に理事会への立候補を拒否された具体的な事例を紹介しながら、どうしたら良いかについて2回に分けて話します。 具体的な事例(神奈川県のとあるマンション管理組合)神奈

        • 大規模マンションの総会:出席者の議決権を3倍に(3)

          ■前回コラムのあらすじ アクシア八王子ピュアマークス管理組合法人の理事会(カイゼン委員会)は、過去の総会では出席者が減少し、審議事項は欠席者の票で可決される状況で活性化しない現状を改善するために「総会の場に出席する区分所有者には、当日欠席して書面で意思表示する方の『3倍』の議決権を与える」という提案を行います。これは、理事会が主体的に活動し、総会で真剣な議論が行われるようにするための仕組みです。この提案は、次の総会で多くの賛成を得て可決された、、、という話でした。 ※前回コ

        危険な区分所有者が理事長へ立候補したらどうする?

          マンションの専有部分をグループホーム(障害者施設)として使用する

          大阪のマンション管理組合における裁判事例から思うこと首都圏でも今後出てくる可能性がある『マンションの専有部分の使途』の解釈を巡る判例を、なるべくわかりやすくまとめました。マンション管理士としても管理会社の立場としても考えさせられる内容でした。 以下、あなたのマンションで同様のことが起こったと想像しながら読んでください。 ① 大阪地裁判決(2022年1月)まとめ ■事案の概要 大阪市内にあるマンションが舞台です。このマンションでは、管理規約によって「1階は店舗、2階以上は住

          マンションの専有部分をグループホーム(障害者施設)として使用する

          大規模マンションの総会:出席者の議決権を3倍に(2)

          ■前回コラムのあらすじ: 東京都八王子市にある「アクシア八王子ピュアマークス管理組合法人」の総会に出席したところ、予算4億円程度の大規模修繕工事に関する議案が含まれるにもかかわらず、出席者は理事会役員を除くと15名。 審議前すでに欠席者による議長委任と議決権行使で過半数の賛成が確保されている中、欠席票ですべての議案が可決されてしまい課題意識の高い出席者の声が全く考慮されないような雰囲気。 これは日本の現役世代、特に若者に蔓延する「どうせ政治家に何を言っても意味がない」「声を上

          大規模マンションの総会:出席者の議決権を3倍に(2)

          大規模マンションの総会:出席者の議決権を3倍に(1)

          「総会に出ても意味がない」という空気を壊したい※2024年6月現在の記事です 東京都八王子市にある「アクシア八王子ピュアマークス管理組合法人」。 実需型、約350戸、築15年目。ハード面・ソフト面ともに充実のマンションです。 築1年目に当時の理事会からマンション管理士としてコンサル依頼があり、2年目から3年半のあいだ顧問契約を結んで様々な改善を行ったうえで、円満に契約終了しました。 ※当時の記事「アクシア八王子ピュアマークスに万歳」はこちら あれから7年。当時の理事長から「

          大規模マンションの総会:出席者の議決権を3倍に(1)

          マンション管理組合の答えはAIに聞け

          ※2024年6月現在の記事です コラム再開「小さな4つの理由」正直、忙しいです。長く続いた体調不良は改善し、意欲も回復。遅れている仕事の処理をしつつ、2社の代表として、サービス開発、新規事業の仕組みづくり、営業サポートと、やることが満載です。 それでも、メンバーと仕組みのお陰で心に余裕が生まれてきたこのタイミングで、僕はコラムを再開することにしました。 その理由は以下の通りです。 年齢的に、業界関係者に少しでも参考になればという思い。 もちろん2社(マンション管理士・マ

          (マンション総会の普通決議)無関心な区分所有者に労力と時間を使うな

          管理会社を変更したいが、、都内のあるマンション理事長からのお便り(2024年6月現在) 僕が共同経営するマンション管理会社(クローバーコミュニティ)に、「管理会社の変更を検討している」と、資料請求のお問い合わせを頂きました。 ■理事長のコメント(以下、簡単に要約) ・日頃より積極的に理事を引き受けてくれる区分所有者の多くは、現在の管理会社に不満を持っています。 ・しかしながら、そもそも管理組合の運営に無関心の区分所有者も多く、すぐに管理会社変更の合意形成が出来るかは不透明で

          (マンション総会の普通決議)無関心な区分所有者に労力と時間を使うな

          拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)3

          前回のまとめ・あらすじ理事会活動協力金制度を作る際に、以下に記した重要なポイントを踏まえることが重要であることを書きました。 透明な説明と合意形成(総会での承認を得るため、制度の目的や必要性を丁寧に説明し、区分所有者の理解と合意を得ることが重要) 適切な徴収金額の設定(徴収金額を適切に設定することが重要) 辞退理由を問わず徴収(役員を拒否する理由を問わず、協力金を徴収することで公平性を確保する) 柔軟な理事会出席方法の検討(特に外部区分所有者による協力金制度への反対を

          拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)3

          拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)2

          前回のまとめ・あらすじ 理事会活動協力金は、理事会役員を拒否する区分所有者から金銭を徴収する制度であり、理事会の負担を公平に分担し、役員を引き受ける動機付けとするものです。導入には公平性の確保、役員報酬・手当の財源確保などのメリットがありますが、区分所有者の反発や法的リスクなどの課題も存在します。 今回のコラムでは、これらのリスクや課題を上手に解決する導入のポイントについて解説します。 理事会活動協力金制度を作る際の重要なポイント 透明な説明と合意形成: 理事会活動協

          拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)2

          拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)1

          「理事への選任を拒否する区分所有者から徴収」理事会活動協力金とは? 理事会活動協力金は、理事会役員を拒否する区分所有者に対して、拒否の対価として徴収する金銭のことを言います。これは、理事会役員としての負担を分担するための手段として、ここ10年位で徐々に広がってきたマンション内ルールです。ルール改定(管理規約の改定や細則の制定)により実現することが可能です。 一般的に、多くのマンションにおいて、理事会役員の任期は1~2年であり、役員の選任方法は輪番制を採っています。総会が近

          拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)1

          理事長に質問攻めできないマンション管理士はいらない

          ※2024年5月更新 [コラムの要約]理事長がマンション管理士へ具体的なオファーを出した場合、それが『相談』ではなく『注文』であることが多いということを書いています。 マンション管理士は、理事長が注文したことに対して言葉通りに反応することよりも注文の裏に潜む背景や真意を掴み、問題を解決することが重要であり、まず理事長がなぜそのオファーを出したのかを理解することが重要であり、そのために質問攻めをする必要がある、、という内容のコラムです。 1.理事長からのオファーを「注文」と受

          理事長に質問攻めできないマンション管理士はいらない

          [管理会社]都心から日常清掃員が消えた(2)

          前回コラム[都心から日常清掃員が消えた(1)]では、マンション管理業界に共通の課題としての「シニア世代が担ってきた『日常清掃員』のなり手不足問題」について、 世の中の企業における定年年齢の引き上げ 収入が少ない短時間勤務の不人気 偏った需要(平日午前に清掃員需要が集中) と言った背景があることを書きました。実は管理会社(クローバーコミュニティ)だけでなく、マンション管理士(メルすみごこち事務所)がプロ理事長(理事長代行。外部管理者方式)を務める自主管理マンションでも、

          [管理会社]都心から日常清掃員が消えた(2)

          [管理会社]都心から日常清掃員が消えた(1)

          僕はマンション管理士事務所(メルすみごこち事務所)とは別に、マンション管理会社(クローバーコミュニティ)も経営しています。お陰様で他の管理会社からのリプレイスで、東京・神奈川を中心に受託が増え、創業会社であるクローバー管理(福岡)とグループで「200管理組合・1万戸」の受託が近づいています。 さて、管理会社経営の目線で最近の悩みを。マンション管理業界で大きな悩みになっていることのひとつに「シニア世代が担っている日常清掃員のなり手不足問題」があります。 その背景は次の通りで

          [管理会社]都心から日常清掃員が消えた(1)

          [意外]マンションの理事会を廃止したい管理組合がジワリ増加

          区分所有者のほとんどが「管理組合の理事はできればやりたくない」でしょうから、その気持ちを拡大すれば必然的に「マンションの理事会を廃止できるならしたい」という願望に至ってもおかしくありません。 もともと「うちのマンション、理事のなり手がいない」「理事会役員の定数が埋まらない」「理事長だけは誰もやりたがらない」「理事の頭数は揃うが理事会活動を行うモチベーションがない人ばかり」と言った管理組合の悩みはずっと前から潜在的にありました。 ところが「マンションの理事会を廃止したい!」と

          [意外]マンションの理事会を廃止したい管理組合がジワリ増加