（マンション総会の普通決議）無関心な区分所有者に労力と時間を使うな
管理会社を変更したいが、、都内のあるマンション理事長からのお便り
（2024年6月現在）
僕が共同経営するマンション管理会社（クローバーコミュニティ）に、「管理会社の変更を検討している」と、資料請求のお問い合わせを頂きました。
■理事長のコメント（以下、簡単に要約）
・日頃より積極的に理事を引き受けてくれる区分所有者の多くは、現在の管理会社に不満を持っています。
・しかしながら、そもそも管理組合の運営に無関心の区分所有者も多く、すぐに管理会社変更の合意形成が出来るかは不透明です。
・まずは頂いた資料を現理事会メンバーに共有し、（無関心な区分所有者へ）声掛けからのスタートです。
理事会役員を経験しない無関心層へ理解してもらうのは困難
■僕からの回答（以下、簡単に要約）
・お客様のマンションに限らず、ほぼ100％の管理組合が、課題意識を持つのは１名（理事長）～多くて数名で、ほとんどの区分所有者が管理に無関心である。
・理事会役員を経験しない無関心層へ、管理組合運営における課題を理解してもらうのは困難であり、時間と労力をかけるとあなたが疲弊してしまう。
・そこで、無関心層へ丁寧に時間をかけて働きかけるのではなく、
少数の（または一人の）課題意識を持つメンバー（または一人の理事長）が立ち上がり
メンバー間で新しい管理会社を内定した後
総会の普通決議（※後述）で過半数の賛成を取り付け
管理会社を変更してから、無関心な区分所有者にその効果を体感して頂く
という、スピード重視の進め方を提案したい。
こんな感じで回答しました。
マンション総会の「普通決議」の可決ハードルはとても低い
今回の相談内容は「管理会社の変更」です。管理会社の変更は、ほぼ100％のマンションで「総会の決議」が必要で、その要件は「普通決議」です。
普通決議の可決要件は、
・当日出席した方+書面で意思表示した方（委任状+議決権行使）が持っている議決権数（多くは一戸につき１票）の過半数（50％超）
です。例えば、総戸数100のマンションで総会を開催し、管理会社変更の提案を出したとします。当日出席者が20、欠席して委任（総会議長に委任）が30、欠席して議決権行使（議案に賛成か反対を示す）が30、合計80の票が集まったとします。
総戸数100から「何も意思表示しなかった20の票」を除外し、残りの80票に対しての過半数、つまり41以上が賛成すれば可決となります。
80票のうち、総会を欠席して委任状や議決権行使書を提出する60のうちの70%が「議長へ委任または議案に賛成」してくれれば、60✕70%＝42となり、この時点で『可決』なのです。
この「普通決議」は、管理会社変更のほか、毎年の通常総会で提起される「決算報告や予算案・管理会社の更新・来期役員の選任」そして大規模修繕工事の実施なども該当します。つまり、普通決議を可決させるためのハードルは非常に低いのです。
これまでのマンション管理業界人生において、管理会社の変更提案が票で否決されたことは一度もありません。
無関心な区分所有者へ時間をかけず、管理会社変更をスピーディに進め、その成果は結果で示せ
無関心層に関心を持ってもらうことに心を砕くより、課題意識の高い一部のメンバーでスピード感をもって見直しする。無関心層には委任状や議決権行使をしっかり出してもらい、総会の普通決議を数の上でクリアすれば十分、と割り切ったほうが課題の解決が早く確実です。
残酷な例えですが誤解を恐れずに言えば「選挙で候補者を［政策内容や公約の中身を吟味せず、有名人かイケメンかで］投票してしまう市民たちを上手に取り込み、まずは選挙に当選してから、正しい政策を実現して市民に喜んでもらうのと似ています。とにかく、まずは変更しないと一歩も前進しないのです。
逆に、無関心層へ熱心に働きかけ続けても徒労に終わり、課題意識を持つメンバーが却って疲弊し、やる気を無くして諦めてしまうことのほうが、どう見ても管理組合のためになりませんよね。
普通決議の乱用を許すな
もちろん、総会へ提案する内容が「管理組合全体の利益になっていること」は言うまでもありません。ナイフを「食べ物をきれいに切るために使うのか、人を刺し殺すために使うのか」と同じで、普通決議のハードルが低く、無関心な区分所有者が一定数いることを良いことに、理事会（理事長）のエゴを満たすような提案は絶対に許されません。
そういう悪い理事会や理事長をたくさん見てきました。そういう悪い理事長や理事会に困っていたら僕に相談して下さい。ナイフは使わずにバサッと退治します笑
※中間マージンを取らない管理会社：クローバーコミュニティはこちら
※なり手のいない理事長をプロにお任せ：メルすみごこち事務所はこちら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？