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大規模マンションの総会:出席者の議決権を3倍に(1)

「総会に出ても意味がない」という空気を壊したい

※2024年6月現在の記事です
東京都八王子市にある「アクシア八王子ピュアマークス管理組合法人」。
実需型、約350戸、築15年目。ハード面・ソフト面ともに充実のマンションです。
築1年目に当時の理事会からマンション管理士としてコンサル依頼があり、2年目から3年半のあいだ顧問契約を結んで様々な改善を行ったうえで、円満に契約終了しました。
※当時の記事「アクシア八王子ピュアマークスに万歳」はこちら

あれから7年。当時の理事長から「顧問として戻ってきてほしい」と相談があり、理事会を経て臨時総会へ出席。
僕も7年経って一人のマンション管理士から企業の経営者としてマネジメントや仕組みづくりへと仕事が移り変わっていましたが、僕指名でかつ、ちょうど新人マンション管理士を自ら育てたいタイミングもあり、再びマンション管理士として活動することに。

で、マンション管理士を採用する臨時総会に出席してびっくり。
予算4億円程度の大規模修繕工事を実施する議案がメインでしたが、総会出席者が、主催者側である理事会役員を除くと15名ほどしかおらず、「もう欠席者による議長委任と議決権行使で過半数の賛成が集まっている」ことが主催者側から伝わってくるような雰囲気で管理会社のフロント担当者が粛々と進めていきます。
数少ない出席者からは議案の内容に関する質問や総会資料ミスへの指摘、説明内容不足、議案に対する反対意見など様々な声があがりましたが、当然ながら出席者も欠席者も意思表示されすれば一人一票ですから、採決すれば全議案が可決承認。

ただ、僕が最初の3年半コンサルしていたときとは、明らかに空気が変容していました。もちろん総会は適法ではあるけれど「すでに総会前に賛成多数で決まっていること」の雰囲気満載の、形式的な儀式のようになっていたのです。

で、当社採用を含む全議案が可決され総会が終わるタイミングで、一人の出席者が叫んだのが

少人数の熱心な総会参加者と冷静な理事会+管理会社はマンション総会の風物詩?

「理事会や管理会社は、結局票が集まれば良いのか。これだけ内容に間違いや説明不足があっても、出席者が様々な提案をしても、全部受け流して可決させるのか。これじゃ総会に出ても意味がないじゃないか!」

でした。他の出席者からも同調の熱気が増します。
しかし理事会と管理会社からは「いくら総会に出て意見をしても『15/350』と数字で判断するしかない」みたいな空気を感じます。

なるほどね。この「空気」、まるで日本の現役世代(特に若者)に蔓延する「どうせ政治家に何を言っても、選挙に行っても意味ないよね」という空気と同じ。
こうやって管理組合から「もっと住み良くしたい」「資産価値を守り高めたい」という意欲や機運を失わせるんだなと。
まさに停滞そのものを見ている気がしました。

で、まだ総会で採用が決議されたばかりで契約も結んでいない僕が、何の権限もないのにしゃしゃり出ます。

「総会出席者がより報われる環境を作り出せば、出席者が増えて総会が活性化しますよね。例えば、わざわざ総会に出席してくれた区分所有者の票を3倍とか5倍にしたら、総会に出て来たくなりませんかね?」

あまりに唐突な提案だったため空気がフリーズしてました(笑)が、僕が勝手に「では総会が活性化するような仕組みを考えますね」とさっそく仕事を作ったのでした。

この1年後、総会に出席する組合員(理事会役員を除く)の議決権を3倍にする提案を本当に実現し現在進行系で運用しているのですが、次のコラムでは提案の背景、目的、詳細、効果について、整理して解説します。

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