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拒否をするなら金をくれ!(理事会活動協力金)1

「理事への選任を拒否する区分所有者から徴収」理事会活動協力金とは?

理事会活動協力金は、理事会役員を拒否する区分所有者に対して、拒否の対価として徴収する金銭のことを言います。これは、理事会役員としての負担を分担するための手段として、ここ10年位で徐々に広がってきたマンション内ルールです。ルール改定(管理規約の改定や細則の制定)により実現することが可能です。

一般的に、多くのマンションにおいて、理事会役員の任期は1~2年であり、役員の選任方法は輪番制を採っています。総会が近づくと来期の理事会役員候補者である区分所有者へ役員受任の打診を行いますが「高齢・病気がちでとても役員が勤まらない」「仕事・子育てが・親の介護が忙しい」などさまざまな理由を用いて役員を拒否する区分所有者が一定数おり、高齢化社会や夫婦共働き・単身者の増加とともに役員を拒否する区分所有者はますます増えているのが現状です。

管理規約により「役員を引き受けるのは義務」と書かれていても具体的な罰則はありませんし、選任されても理事会の会合に参加してくれない方を無理やり役員に選任しても理事会が形骸化するだけですから「拒否されても仕方がない」と諦めて、次の区分所有者へ役員を打診し、定数が集まるまで声がけを続ける、といった運用がなされてきました。

しかし「ボランティアの理事会役員を引き受ける区分所有者に対するインセンティブがない」「役員を拒否する区分所有者に対するペナルティもない」状態では、単に役員を引き受ける正直者が馬鹿を見るのと同義です。

この「理事会役員を引き受ける・拒否する」区分所有者間の不均衡を、お金で改善しようと試みるのが「理事会活動協力金」です。

理事会活動協力金の目的とは?

  • 区分所有者間における負担の公平化: 理事会役員の負担を公平に分担し、役員を引き受けない区分所有者に一定の金銭的責任を担ってもらいます。

  • 役員の動機付け: 理事会役員を拒否することに金銭的痛みを伴うことで、役員を引き受ける動機につながる可能性が高まります。(無理やり役員を引き受けさせることで実質的な理事会運営の強化につながるとは思えません)

  • 管理組合の財政強化: 副次的効果として、協力金を徴収することで管理組合運営のための収入を増やすことができます。

理事会活動協力金制度を設定するメリット

  • 公平性の確保: 役員を引き受けない所有者に金銭的負担を求めることで、全体の公平性を改善できます。

  • 拒否者の心理的負担の軽減: 協力金制度は、ポジティブな側面として「お金で理事会の活動に貢献する」ということであり、本人の事情で仕方なく役員を断わざるを得ない区分所有者にとっては「引き受けないことに対する後ろめたさ」が減少します。

  • 役員報酬・手当の財源に: 協力金を「役員を受任する区分所有者」への報酬・手当に分配すれば、役員を引き受けるモチベーションにつながりやすく、役員のなり手不足がいくらか改善する可能性があります。

理事会活動協力金制度のリスクや課題

  • 区分所有者の反発: 役員を拒否することによる金銭的負担が発生することによる反発が発生する可能性があります。特に「徴収金額をいくらにするか」は非常にデリケートな問題です。
    また、外部に居住する「理事会活動の関心の高い区分所有者」にとっては、役員の義務として「理事会会合へのリアル出席」が設定されるとほぼ100%無理となり、半ば強制的に協力金徴収対象者となるため、納得が得られにくいといえます。

  • ルール未整備なまま徴収するリスク: 理事会活動協力金の制度を総会で説明せず、また管理規約や細則に明記しないで徴収を開始した場合、区分所有者から徴収の根拠を求め訴えられる法的リスクがあります。

  • 協力金制度がネガティブに捉えられることのリスク: 理事会役員を拒否する区分所有者に対して徴収することを「ペナルティ」的な立ち位置で提案すると、役員を受任する者と拒否する者とで心理的なハードルが発生し、徴収にまつわるクレームやトラブルが継続していく可能性が高くなります。

理事会活動協力金はとても良い制度だと思っており、僕が経営するマンション管理士や管理会社の支援先マンションの多くでこの制度を提案し実現させています。
次回のコラムでは、理事会活動協力金制度について、上述の「リスクや課題」を上手に消しながら導入するポイントを書こうと思います。

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