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歴史の最初と最後に

ドラマも観たので、昨日の大奥衣装展の話の続き。

混雑してたので引きの構図で撮影できず、先の記事ではトルソー一体ずつ写真を載せた。でも展示の位置にもいくつかの意図があったのだろうなと思う。そのあたり妄想してみた。

入り口から会場入って右側の襖の前には和宮を挟んで家光と家茂が左右にいる。

左から家茂・和宮・家光

家光と家茂の打掛がなんとなく似てる気がした。雰囲気は違うのに。

家光
家茂

あとで写真をよくみたら、紅葉まみれ〜と思っていた家光の打掛と、桜かわいい〜と思っていた家茂の打掛と、どちらにも桜&楓が描かれてた。

春の桜、秋の楓の両方を取り合わせた桜楓文、地の色味も同じだし、だからなんだか似てると感じたのかも。でもなぜ家光のほうが野暮ったい印象だったのだろう。

よくよく考えてみたらこの2人

3代家光
在位28年 1623年(元和9年) ~1651年(慶安4年)
14代家茂
在位8年 1858年(安政5年) ~1866年(慶応2年)

時代に2世紀以上の隔たりがある。

そりゃあ家光の装いのほうが家茂のに比べてうんと古いのだから模様もなにもかも洗練されていないのは至極当然で、これがしっかり衣装の差で表現されてたんじゃないかと。

(以下すこしストーリーのネタバレがあります)

よしながふみさん原作『大奥』は史実に基づいているけれどフィクション。この壮大な物語のなか、家光と家茂は”最初”と”最後”の女将軍てことになる。

桜楓文は春秋模様の代表、そういえば『春秋』って中国の編年体歴史書でもあるか。これは関係ないとは思うが、いわば女将軍誕生から200年以上にわたる治世を記した歴史書『大奥』の、始まりと終わりの2人が同じ春秋模様の衣装を着ているなんて…。

家光と家茂の真ん中にいる和宮からの正面、会場の中央にこの世界の大奥の象徴ともいえる流水紋を纏った瀧山、さらにその前方、会場左に瀧山と向かい合わせでまるで世を俯瞰するような位置に吉宗。

これも「没日録」を読み男女逆転の世の歴史を知った吉宗(打掛には桜)と、そして最後の女将軍の姿を見届け、女の成してきた足跡を踏みにじられまいとした和宮(袴の文様は閑院菊 かんいんぎく)という、春秋を見つめ立ち会った2人というふうに見えたりして…。

うーん、面白いぞ!!

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