ミヤコ

いろんな芸術が好きです。 2024年最初に観た映画は『パーフェクト・デイズ』 とてもよ…

ミヤコ

いろんな芸術が好きです。 2024年最初に観た映画は『パーフェクト・デイズ』 とてもよかったけど次に観た『枯れ葉』が特に好きでした。 (写真)実家に昔いた猫ちゃんはおひなさまを飾ると間に入ります。

最近の記事

携えず外に出よう

「書を捨てよ、街へ出よう」とは寺山修司である。 大学が入校禁止になって、春休みの終わりから夏の間私はずっと富山の実家で暮らしていた。 実家では赤ちゃんみたいなおじいちゃん猫も一緒なので、彼のご飯に合わせて朝は決まって日が登り出す時間に起きていた。 帰った頃はまだ冬が残る季節で、分厚いトレーナーを新しく買うほどに寒かった。そんなときは太陽ももちろんゆっくりと顔をみせるので余計にベッドから出るのが困難である。 だけど、季節が進むと太陽もだんだん早い時間に街を明るくしてくれ、夏は5

    • 朝の電車

      目黒線 今日は残り1枚のマスクのことを考えながら電車に乗った。外出する度に消費される紙のマスクの在庫が切れたら洗えるマスクを買おうと考えていたが、もうその日が来ているとは。ここ最近では珍しく、急がずに駅に向かって歩いたらあっという間に時刻に近づいていて人でいっぱいのエスカレーターを一瞥して階段を一段飛ばしで駆け上った。カツカツとローファーが階段に響く音を抑えようとしながら走るのはなかなかに難しいものだ。 最後尾の車両に移動してふぅとひと息ついて、世の人はどんなマスクをしている

      • 明日早起きしなくていい人が多い日曜日

        4連休2日目の日曜日。 もう既に夜中の1時半を回っているが、私は録画した半沢直樹を見て興奮気味だ。 ツイッター上ではどんな言葉が繰り広げられているのか知りたくて、アカウントがないのにSafariでわざわざ調べて眺めては笑っていた。 外からも男女の楽しそうな声がゆっくりと通り過ぎた。向かいのアパートの最上階のお家もまだ電気がついている。 だってきっと、明日は早起きする必要がないからね。 学生の私はようやく明日から授業が始まるけれど、 みんながゆっくり休める日があるのがなん

        • 江戸川乱歩『人間椅子』

          NHKで30分間、朗読と映像による狂気的な作品が放送された。 開始10分ほど経って観たのだが、タイトルの奇妙さと狂気的な内容にどんどん惹き込まれ息をするのも忘れるほどだった。 人間椅子、その名の通り人間が椅子の中に入り様々な人間と布一枚を通して肉体だけで繋がっているというもの。しかしそれはあくまで一方的なものである。 その中に入っているのは男であり、姿の見えぬ布の向こうの人間をやはり肉体のみで判断することができる。 その男の狂った興奮に性的な共感を一瞬覚えるも、 行き

        携えず外に出よう

          パリの公園にて

          今から数年前、ひとりでパリに遊びに行っていた。 公園のベンチでひと休みしながら、私はいつものようにノートにペンを走らせていた。 足癖が悪いので恥ずかしいが、小さなノートを支えるために片足のくるぶしにある骨をもう一方の膝上に乗せがちである。 そのときも決してかわいくない姿勢で私はノートに目をやり文章を書いていた。 すると突然目の前に人影を感じたのでそちらの方に顔を向けると、にっこりとおじいさんがこちらを向いて立っていた。 手元を見るとおじいさんも私と同じようにノートにペンを

          パリの公園にて

          スクリャービンの夜

          今夜はペルセウス座流星群が降るらしい。 東京の夜は見えるのかしら、視力測定の1番大きなCしか見えない私には届かないかもしれないなぁ。 それでも、スクリャービンのソナタはとても美しい。 有名な黒と白それぞれのミサが大好きだけど、 ピアノソナタ第4番も軽快なテンポが心地よく全く違う印象を受ける。その人のいろんな顔を見られるのってたまらなくいいよなぁと思う。 2020年8月の夜

          スクリャービンの夜

          夜風を吸い込む

          今日も暑い1日だった。 それなのに夜には涼しいくらいの風が部屋に入り込んでくる。 暦の上ではまだ夏は始まったばかりじゃないのか。 日が沈んで外が静まり返る頃、その心地よさに惹かれて猫は外へ出る。小一時間ほどすると用を足しに部屋に戻りまたいつもの穴蔵へ休みに行く。 窓よりもうんと低い位置にベッドを置いている。 夜風が私をふわりと撫でては戻ってゆく。寄せては返す波のように、歩いて5分の距離にある海の香りはしない。夏は夏の匂いがする。今夜は少し冷たい。

          夜風を吸い込む

          東京の駅

          大岡山駅 水曜 よく晴れた午前中 春の陽気 イヤホンをしてその音楽にのりながら身体を思い切り動かして踊っている男子高校生。1号車ぶんの距離を往復しながら踊る。近くのご婦人は目もくれず。隣りのホームからもわかる楽しそうな時間。 三田駅に向かう、喫茶店やラーメン屋、郵便局に人が集まる昼頃、粒の小さくて、柔らかい小雨と、たばこ屋のおばちゃんの表情がすごく良いバランスをとっていた。渋い駅前であった。 目黒の駅から、朝一番に帰る。車窓の奥に流れる濃い青をぼんやり眺め、鼻は朝まで過ご

          東京の駅

          列車に揺られ

          2017/9/2 ハワイの1週間の旅、倉敷の1泊の旅、夏の旅はこれで終わりだ。 私は違う土地に訪れるたび、自分に相応しいような、腰を据えられるような、そんな場所はあるのだろうかと問いかけては少し切なくなる。どこに行っても私には合わないのではないかと感じてしまうのだ。旅とは人間の本質であるのに、それがあまり心地よく感じられない自分は、蚊帳の外に放り出されている気持ちだ。 だけど帰省の車中、もう梅雨が明けた日本は19時を過ぎるとようやく日が落ちて暗くなる。静かな夜を迎える準備が

          列車に揺られ

          雑記

          一度肌を通したものは、独特の暖かさと柔らかさがあって、私はその柔らかさがすきみたいだ。特に、足なんか、よろこんでいる。(2018/5/13) 蛇口をひねったのと同時に、外から鳥たちの鳴き声が聞こえ始めるので、水の流れる音が変わったのかと思った。(2019/9/11) 昨日の朝、起きたくないのに、やけに大きな声で鳴く鳥によっていやいやながらにベッドから出た。 久しぶりに鳥の鳴き声で目覚めたが、さえずりではなく叫び声のようなものだった。二度寝なんてしてられないと、不満が顔に浮

          アイスを食べる赤ちゃん

          うちの猫はアイスを食べる。 夏は暑いから、猫は毛皮を着て生きているから、涼をとるためにも冷たくて甘いものを食べなくちゃ。 腎臓や肝臓の調子が良くなくなってから久しいが、 生まれて15年目を迎えた今年、好きなものを食べてもらいたくアイスをあげている。 猫は自分の気持ちに正直に生きている。 その姿を日々見ていると、動物たちの偉大さを肌で感じる。 猫のかたちをした生き物、とても愛しい。

          アイスを食べる赤ちゃん

          水の飲み方

          水の飲み方