見出し画像

朝の電車

目黒線
今日は残り1枚のマスクのことを考えながら電車に乗った。外出する度に消費される紙のマスクの在庫が切れたら洗えるマスクを買おうと考えていたが、もうその日が来ているとは。ここ最近では珍しく、急がずに駅に向かって歩いたらあっという間に時刻に近づいていて人でいっぱいのエスカレーターを一瞥して階段を一段飛ばしで駆け上った。カツカツとローファーが階段に響く音を抑えようとしながら走るのはなかなかに難しいものだ。
最後尾の車両に移動してふぅとひと息ついて、世の人はどんなマスクをしているかしらと眺めて視界に入ったのは、柔らかな前髪をふわりと横にピンで留めている可憐な女性だった。彼女の柔和な眉と髪にぴったりの服装をしていて、私は気づかれないのをいいことにじっと眺めていた。


すると今度は、彼女の近くにヒールでぴんと背筋を伸ばして立っている美しい女性に目が入った。さらりと流れるストレートの黒髪を下ろし、鮮やかな濃い目のグリーンのパンツを履いていた。大きめの鞄はロゴ入りのGUCCIで、トップスとヒールの黒でスマートにしめていた。なにより立ち姿と横から見る睫毛が魅力的で美しさにまたまじまじと見入っていた。
その後もマスクをする女性を目で追っていると、なぜだか今日は美しい人可憐な人が多いように思った。男性も素敵な服装をしている人が多いように見受けられ、朝の早い時間にも楽しい時間があるんだとうれしい気持ちになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?