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分断がますます進んでいるので、2020年の『高齢者とスマホ』から考えてみた

一般の方から大手の会社さんまで、どうやら「高齢者とスマホ」の事情について思われていることと、少しだけ実態が違っているので、まとめたいと思います!

取り上げる高齢者の定義

高齢者:60代後半〜80代中盤のいわゆる「アクティブシニア」

”これまでの”高齢者

一般的に思われている「高齢者」についての特徴。

・地味な服(グレーとか濃い紫)
・近所をうろうろしてる一日
・煮物とか食べながらこたつにいる
・スマホどころか、パソコンとかわからない
・SNSとかなんのことか知らない
・ネットは基本怖い
・ネットは嘘ばっかり

偏見も入ってますが、多分若い人中心に普段から高齢者と接する機会のない人や、核家族で祖父母と離れて暮らしていた人なんかはこんなふうに思っていてもおかしくないと思います。

書こうと思った理由は「分断」

改めてこういった記事を書こうと思った理由は、社会が「高齢者と若者」に分断していき、さらにその分断が加速しているように思ったからです。

みなさんは、高齢者が普段どんな生活で、どんなことを考えていて、どんなことをしたいのか、知っていますか?
上記に並べたような”特徴”を今だに思っている人は、「高齢者のことをかなり知らない」と思った方がいいです。

なぜ、知る必要はあるかというと、「日本人のほとんどは高齢者」だからです。

<総務省統計局データより引用>

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2018年、つまり今から約2年前の段階ですでに30%弱が高齢者なんです。

これが35%、40%となるのは時間の問題とみられています。

さらに、生産年齢(15歳〜64歳)が59%(2020年2月度政府人口統計より引用)になっています。
”大学全入時代”を前提に見れば、生産人口は良くて45%程度(労働力人口:働く能力と意思がある人。※但し、65歳以上の労働力人口は増加傾向にあるとの推計もあります。)です。

つまり、「日本人のほとんどは高齢者」ということになります。

そのような世界でもほんの少しだけ先に変化を始めた日本社会において、「高齢者がほとんどである」という前提を無視したまま生活や仕事をしていくのはほとんど無理に等しいはずなんです。

しかし、現在の社会構造や急速な情報化の波により、高齢者はいつしか社会から置いてけぼりにされるようになっていきました。

そして、

2020年1月末。

”悪魔”のようなウイルスによって、その分断が浮き彫りになりました。

「感染はするけど、若者はほとんど重度化しないよね〜」という情報の元、マスクを着用せず都市部に繰り出す若者。

「マスク!マスク!」ととにかく確保を目指す中高年層。

「高齢になればなるほど重度化と致死率が急上昇する」という不安に苛まれる高齢者。

今日本は急速に分断が進み、それが目に見える形で浮き彫りになってきています。

だからこそ、まずは、難しい話を抜きにして、「今の高齢者」を伝えたいと思いました。

「介護現場」「地域活動」「シニア向けスマホ教室」など、様々なセグメントの高齢者を接する僕だからこそ、伝えられることがあるのではないかと思います。


それでは、「高齢者とスマホ」について書いていきます!

LINEはほぼ使っていて、少し怖い

「SNS」の利用について、いわゆる
・Twitter
・Facebook
・Instagram
などは、よっぽど、
・社会活動をしている
・地域に関わる活動をしている
・現役バリバリ
でない限り、ほとんどの方がされていません。

しかし、「LINE」についてはかなりの利用者数がいます。

60代で50%以上、70代以上になれば少し数字は鈍化するものの、感覚的には「アクティブシニアの3分の1〜半分」が使っていると思われます。

理由として、実際の現場から見れば、
・メインの機能が「オープン」ではないこと
・電話帳からメールする感覚で、「ホーム」→「トーク」と単純なUIで使いやすいこと
・グループ機能を「自治会の掲示板」のようにも使えること

が挙げられると思います。

キャッシュレス決済は怖い、でも使いたい

昨年夏〜今年にかけて、やはり注目度ナンバーワンだったのが「キャッシュレス決済」です。
PayPayを始め、テレビのCMを早くから打ち出していたサービスがやはり知名度としては高い印象です。

高齢者の中には「クレジットカードが怖い」とおっしゃる方も少なくありませんが、クレジットと違い、
・「カジュアル」なプロモーション
・決済方法の多彩さ
・割引還元

が特に注目を集めた要因になっています。

それでも、クレジットカード同様に「恐怖感」を感じる方も多いですが、「使ってみたい!」と利用に踏み切る方も増えています。

おそらく日本全体での高齢者の利用率は低いと思われますが、今回の「キャッシュレスブーム」が巻き起こした効果は、別のところにあると思っています。

今回のブームを契機に、
「やっぱり若い人はもう何年も現金から離れてるのね〜」
と、時代の流れを感じるいい機会になったと思います。

実際に、今回のブーム以前は若い世代でも、キャッシュレスにしている人は少なかったと思います。
あるのはクレジットカードくらいなもので、後の決済は「ペイパル」や「アリペイ」など外資系の一部の決済のみだったと思います。
それがこのブームを皮切りに若い世代が「やっぱキャッシュレスいいんだ!」と一気に使い始めたことで、高齢者は「若い人はずっと前から使っていた」とある種の勘違いをしていたように思います。
しかし逆に言えば、それが高齢者にとっては安心材料の一つになったと思います。
「長く使われているもの」「広く使われているもの」は「いいもの」なんです。

揶揄しているわけではなく、これまで「集団行動」を強みとしてきた日本ならではの広がり方だったのではないかと感じました。

写真とか動画は仲間内で共有しあっている

スマホでバンバン写真を撮るし、動画も撮るし、
それを「グループLINE」や「グーグルフォト」で共有したりアルバムを作ったりしています。
あるいは、「やりたいけどやり方がわからない」という方が多くいらっしゃり、スマホ教室でも連日このカリキュラムが人気になっています。

スマホで1つ〜複数のニュースアプリを使ってニュースをチェックしている

「テレビのニュースは大げさに言ってて、何が本当のことなのかわかりづらいのよ」

こう言っていたのは、80代間近の女性でした。

今やリテラシーの高いアクティブシニアは「スマホでニュースをチェック」しています。
中には複数のキュレーションアプリをインストールしていて、見比べてチェックしている方もちらほら。

財テクをスマホでやりたいって少しだけ思ってる

高齢者の特徴を一般論として語ると、
・時間がある
・お金がある
・家族皆独立していて安心

これらに当てはまる「次の行動」は、スバリ「財テク」です。

別に投資家や”一発当ててやろう!”とかではなく、「余裕のある範囲でゆったりと株や債券を買って楽しんでいる」とういう感じです。

実際スマホ教室の利用者の中にも多くいらっしゃり、内緒で教えていただくこともあります。
「今はパソコンでぽちぽちやってるんだけど、スマホでもできるんでしょ?」というお声も増えてきています。
高齢者にとって「パソコン」よりもハードルの低い「スマホ」での財テクもブームになるかも!?

使えるんだけど、「始めること」に不安が大きい

もちろん高齢者の中には「スマホを持っていない」という人もまだまだ多いです。

この動画の中でも言っていますが、「所有していること」と「使用している」ことは違います。

持っていない方はまだ過半数だと思ってもいいんじゃないでしょうか。

しかし、実際にスマホ教室をやっていて感じるのは、「きちんと、ゆっくりと、楽しく勉強すれば、覚えられる」ということです。
ショップに行って、店員さんに勧められるがまま購入して、ほったらかしになっている方も多くいます。
そして、そんな話を知り合いから聞けば、「やっぱりスマホは怖い。若い人のものだ」とかつての「パソコン」のような扱いになりかねません。

言葉を選ばずに言えば、多少認知機能に衰えがあっても、「通話、メール、LINE、写真撮影・送信、ネット検索、乗り換え検索」くらいはほとんどの方ができます。

できるはずなのに、心の不安を取り除く術が、インフラが、十分に整っていない現状を変えたいと思います。


「生産人口の定義」を変化させ、テクノロジーを使い、”皆んなで”成長できる!

冒頭に書いた「生産人口」ですが、本当に〜64歳なのでしょうか?
「労働力人口」を考えればさらに年齢幅は広がってきます。

しかし、僕はまだまだ可能性が大いにあると思っています。
80代90代になって、身体が上手く動かなくなっても、現役世代と同じように生産することだって可能だと思っています。

例えば、オンラインのカウンセリングや、簡単な動画作成、高齢者が高齢者にスマホを教えることだってできます。
手作りの一点ものの商品をネット販売して、田舎にいながら東京で売上を上げることだって全然可能です。

僕がなぜ今回「高齢者とスマホ」を書こうかと思ったかというと、
「高齢者の価値に若者が気づく」きっかけを作りたかったからです。

僕たちよりも何十年も長く、激動の時代を生き抜き、衣食住すら満足になかった時代から、AIの時代まで、全てを体感しています。
「人類稀に見る経験値」を持っている方々です。
「老害」と揶揄されることもありますが、それは一部の方々だけです。
一般論と変わった視点をお持ちの人は年を取ろうが若かろうがいるはずです。

外に、地域に、出てみてください。

高齢者・・・いや、地域のおじいちゃんおばあちゃんは、思っているよりも「あったかい」ですよ。

テクノロジーの発展によって、生活が豊かに、楽しく、充実したものになるのは、もしかすれば我々若者ではなく、”おじいちゃんやおばあちゃん”なのかもしれません。


<終わり>


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