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「One for All, All for One」が伝わらなかったこと (番外編その2)

今回は、私の失敗談です。
自分では自分の考えを伝えたつもりが、相手には正しく伝わっていないことがよく起こります。

私の以前の投稿「伝わったことが伝えたこと(vol 018)」のようなことが海外では日常茶飯事だという覚悟が必要だろうと思います。とてもシンプル、自分では「当たり前」と思っていること、すら伝わらないことがあります。

「One for All, All for One」 この言葉を知っている方は多いと思います。「一人ひとりがチームのことを考え、また、チームの全員が一人(あるいは一つの目的)のことを大切にする」という意味は、いわば常識のようなもの、と、日本人の私は考えていました。チームワークの重要性を伝えたいときに、実際にこの言葉をよく使っています。

タイの駐在時のことです。
マネジャーやスタッフにチームワークの重要性の話をするつもりで、例によって、「One for All, All for One」を使いました。当時のスタッフには初めてのフレーズだったようです。

この話をした後、どうも、スタッフの様子がおかしいのです。ギクシャクとした雰囲気、私と距離を置こうとするような、変な雰囲気が事務所内に漂いました。

どうにもこうにも訳が分からず、当時、親しくして頂いていたコーチング会社の方(日本人)と、タイ人のコーチの方に状況を話したところ、タイ人コーチの方から
  『社長がみんなのことを考える、だから、みんなも社長のために働け』
   ということですか?
と受け止めた内容を教えてもらいました。

私にしてみれば「ハッ!??」ってなもんです。
 「One for All, All for One」
チームワークどころか、独裁者の命令として伝わり、受け止められたことを知りました。

慌てて、もう一度スタッフのみんなを集めて話をし、誤解を解いたのは言うまでもありません。
幸い誤解が解けたことで大きな問題にはならずに済みました。もし、「これを知らないままタイの社長を続けていたら」と思うと、ゾッとします。

後になって考えると、タイでは日本ほどにはラグビーが一般的ではなかったと思います。また、国王と国民といった関係性が深く浸透しているので、
  Oneは国王、Allは国民と直感的に理解されるのかもしれません。
その単語を使って社長の私が発言したものだから、Oneを社長に、Allを自分たち社員に置き換えて捉えたのではないか、と誤解の背景を理解しました。

何気なく使っている言葉が、思わぬ形で伝わってしまう。文化背景や、相手の状態をしっかり理解して「伝える」ということをしないと、思わぬ失敗を招いてしまう。「伝わったこと」が思わぬ方向に行ってしまう。

私と同じような失敗を皆さんが経験しなくて済むように、心から願っています。

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失敗談を最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
少しでもお役に立てれば嬉しいです。

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