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20年の追跡研究が示す“長期×複合運動”の力|女性クライアントの心血管リスクを下げる秘訣

クライアントのトレーニング指導において、健康増進を目的に「心血管疾患リスクの低減」にどう貢献するかはとても大切なポイントです。運動プログラムはとても重要です。

とりわけ女性の場合、妊娠・出産、更年期によるホルモン変化など、ライフステージごとに体調管理が難しくなることがあり、その過程で生活習慣病や心血管疾患のリスクが高まるケースも少なくありません。

そこで今回は、長期スパンで運動の効果を検証した研究をもとに、運動継続の重要性とどのような運動方法が有効なのかを考えていきたいと思います。

20年という長期にわたり健康状態を調査

今回紹介する研究の最大の特徴は、20年という長期にわたって追跡を行っている点です。一般的に、介入研究などは数カ月から数年単位で結果を評価することが多く、20年というのは非常に長い期間になります。

この研究は、ギリシャのアッティカ地域で実施された「ATTICA研究」と呼ばれる疫学的コホート研究です。対象は合計3042名の成人(ベースライン時平均年齢45歳程度)で、ベースライン調査から5年後、10年後、そして20年後(最終は2022年時点)まで追跡が続けられました。

調査では、参加者の身体活動レベルを国際身体活動質問票(IPAQ)を用いて詳しく把握しています。IPAQは、週あたりの運動量を強度と時間で算出し、以下のように分類します。

  • Inactive(不活発):ほぼ運動習慣がない、あるいは非常に低い活動量

  • Minimally Active(最小限の活動):ある程度の運動はしているものの、推奨基準を満たすほどではない

  • HEPA(Health-Enhancing Physical Activity):心肺機能や健康を増進するのに十分な中強度〜高強度の運動を週合計で一定量行っている

さらに、運動の種類として有酸素運動・レジスタンス運動(筋力トレーニング)・両者を組み合わせたものの3パターンに分け、それぞれの継続状況をチェック。20年の間にアテローム性心血管疾患(ASCVD)がどの程度発症したかを比較したわけです。

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