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肩・首の痛みを「反射」で和らげる。痛い部位にアプローチしない対処法とメカニズムを解説。

慢性的に首や肩が痛くて、なかなか仕事に集中できない。ちょっとした痛みが怖くて、なかなかトレーニングに集中できない。こうした状況を抱えているとき、治療院などでケアを受けるのが一番いいのですが、すぐになんとかしたいという状況も多いと思います。

そんな人に試してほしいのが、今回の「反射」を使ったアプローチ方法です。メカニズムについて解説しつつ、オフィスや自宅で簡単にできる方法を解説したいと思います。

左右の脳機能のおさらい

皆さんもご存じのとおり、脳は左右の半球に分かれており、それぞれが異なる役割を担っています。右脳は主に左半身を、左脳は主に右半身を制御しています。この現象は「交叉性支配」や「対側支配」と呼ばれ、大脳皮質の錐体路によって生じます。錐体路は延髄で交差し(錐体交叉)、反対側の体を支配します。

例えば、左半身で触られたり、携帯電話のバイブレーションを感じたりすると、その情報は主に右脳で処理されるという感じです。逆に、右半身を動かすと主に左脳が活性化されます。

しかし、これらの処理には、両半球間の情報交換も関与しています。脳は脳梁を介した半球間連合により、両半球間でも情報交換が行われているからです。

そのため、「右脳は左半身」「左脳は右半身」と担当部位が完全に分かれているだけでなく、それぞれの半球が両側の体に関与しています。実際に、一部の機能では「同側性支配」も見られます。

反射で痛みを和らげる方法

今回は、この脳が持つ「対側支配」のメカニズムを活用したアプローチを考えていきます。そこで重要となるのが、「反射」というメカニズムです。

反射ってそもそもなに?

反射は、刺激に対して無意識に起こる体の自動的な応答を指します。反射は、感覚受容器から脊髄を経由して効果器(筋肉や腺)に至る神経経路によって制御されます。この神経経路は、脳幹にある網様体脊髄路や前庭脊髄路なども関与しています。

代表的な反射には、姿勢反射(平衡反射)があります。姿勢反射とは、体のバランスを維持するための無意識の反射的な動作を指します。姿勢反射は、前庭感覚、体性感覚、視覚からの情報を脳幹が統合し、適切な筋肉の動きを引き起こすことで機能します。

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