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消去法で考える腰痛。脊柱管狭窄症、ヘルニア、坐骨神経痛。3つの原因から1つを絞るアプローチ考えてみる【解剖学の活用】

腰痛という言葉は、特段その症状を特定した言葉ではありません。トレーナーは腰痛の「中身」を特定して、適切なアプローチを考える必要があります。場合によっては、医療機関での診察を勧めるべきケースも出てくるでしょう。これまでにも、腰痛のアプローチはいくつか紹介してきました。今回のテーマは、「椎間関節由来の腰痛」「椎間板由来の腰痛」「仙腸関節由来の腰痛」というパターンに対する評価を、主に解説していきます。

王道の判断材料

この3パターンの腰痛は、それぞれ「こういう時に起きやすい」という王道パターンが存在しています。

①椎間関節由来の腰痛

軽くおさらいですが、椎間関節は、脊椎を形成する椎骨と椎骨の間にある関節のことです。脊椎全体の連動性は、この椎間関節があることで成り立っています。そして、椎間関節由来の腰痛は、椎間関節自体が狭窄することによって起こるというのが一般的なパターンです。椎間関節の狭窄が発生するのは「脊柱の伸展」とされています。

この伸展というのは、まっすぐ後方に腰を反る動作よりも、左右に側屈した上で腰を反ると、より狭窄が強まり腰痛も発生しやすくなります。あえて左側の椎間関節を狭窄させたいのなら、左側屈+脊椎の伸展をするといい(いいというと語弊がありますが)わけです。

狭窄が起こるもう一つの動作には「回旋」があります。ただ、この回旋動作はちょっとややこしいです。腰椎はカップリングモーションといい、倒れた側とは反対側に椎体が回旋しているのです。仮に左回旋したら、椎体は右回旋しているというわけですね。つまり、腰椎の伸展ならびに側屈は、同側の椎間関節が狭窄していて、回旋時には対側の椎間関節が狭窄しているということです。

もしも左側の椎間関節を最大限狭窄するのであれば、伸展+左側屈+右回旋という動作を行うことになります。

②椎間板由来の腰痛

椎間板は、椎体と椎体の間にある組織です。椎間板内部はゼラチン状の髄核があり、この髄核の一部が突出した状態が「椎間板ヘルニア」です。そして、椎間板由来の腰痛が起こりやすい動作が「脊柱の屈曲」と言われています。屈曲動作の際、椎間板は後方に押し出されやすくなり(後方の椎間板内圧が高まる)、動作を繰り返すうちに神経を圧迫してしまいます。

脊柱はS字カーブを描いていますが、もともと後弯気味の胸椎でヘルニアが発生することはほぼありません。もともと前弯している腰椎が後弯するという、普段と違う状態になることで椎間板に負担がかかります。腰椎のなかでも、特にL4で発生しやすいと言われています。

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