見出し画像

脳が肥満を作っている?「セットポイント」を戻して痩せるための方法

ダイエット中、失敗の原因として多いのが「停滞期」での対処です。カロリー制限の食事に身体が危険を覚え、ホメオスタシスが働くことで体重が落ちにくい時期が発生します。一般的なダイエットでは、ここにチートデイを挟むなどして対処しますよね。

それとは少し違う観点で、「そもそも、脳には急激な体重の変動を抑えるメカニズムがある」とされています。それがセットポイントです。このメカニズムを知ることで、太りにくい身体づくりを目指してみましょう。

セットポイントとは?

そもそも、セットポイントとは医療の場においては体温調節の仕組みで使用される言葉です。具体的には、「体温調節中枢がセットする体の設定温度」を意味すると言われています。間脳の視床下部にある「体温調節中枢」が担っている機能です。

例えば、私たちの平熱は基本的に37℃前後でキープされています。最近では低体温気味の方も多いので、36℃前後の方も少なくありませんね。これが、平常時における私たちの「平熱のセットポイント」です。

仮に私たちが感染症や病気になった場合、このセットポイントが37℃前後から39℃前後に変わります。この際、私たちの体内では血管の収縮(放熱を防ぐ)、骨格筋の収縮(シバリング)による熱産生などが起こります。これにより、免疫機能を高め身体を回復させようとするわけですね。

発熱に至った病気の原因が取り除かれると、セットポイントは平熱の37℃に戻ります。その際、血管が拡張したり発汗作用が促されたりすることで、放熱作用が働きます。骨格筋の緊張もおさまり、熱産生が抑えられるのです。

実は体重にもセットポイントが関係している

ダイエットにおいても、この「セットポイント」という言葉が用いられるシーンが多いです。この場合のセットポイントというのは、おそらく視床下部によってコントロールをされている、身体の設定「体重」と言うことができるでしょう。

体組成が安定するためには、基本的に「摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがいい状態」が必要です。しかも、1週間とか2週間といった短期間ではなく数十年単位の長期期間で、です。ある研究では、さまざまな動物実験を実施することで、体脂肪量の増加に応じて血漿内の変化が生じ、中枢神経系に働きかけて、満腹感を促したという結果が得られたそうです。

ここから先は

2,175字
月に3本記事更新いたします。 実際に現場でご利用いただけるよう脳について初心者向けから応用編へと少しずつ難易度を挙げていきます。 数年間購読し続けることで体の機能を高めるために必要な脳への知識が身に付きます。

Brain Special Magazine

¥1,980 / 月 初月無料

運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?