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感覚情報の大事な通り道「脊髄」の機能を取り戻す〜カンタン自宅エクササイズを紹介〜

体性感覚などは、皮膚で感じたさまざまな感覚や、関節の動きといった情報を受け取ります。それらの情報は神経をたどり脳へと送られ、脳は情報に対する「解釈」を行います。その解釈をもとに、「こういうふうに身体を動かしなさい」という命令がくだされて、命令内容に基づいた運動が行われるわけです。

手足などの末端から脳に送られる信号、脳から末端などに送られる信号の、大元ともいえる通り道が「脊髄」です。脊髄は脊椎動物の中枢神経系の一部であり、脊柱管というトンネルの中を通っていて、脳と体の各部位をつなぐ大通りのような役割があります。脊髄の主な役割は次の3つです。

  1. 情報の伝達: 脊髄は感覚神経からの情報を脳に送り、脳からの運動神経を使って筋肉に指令を送ります。これにより、身体の各部分での感覚や動作が制御されます。

  2. 反射の調整: 脊髄は反射を制御する役割も担っています。たとえば、手が熱い物に触れたときに手を引っ込める反射動作は、脊髄を通して行われることがあります。

  3. 自律神経系の調整: 脊髄は自律神経系の一部を制御し、自動的な生体機能(例: 心拍数、呼吸、消化)を調整します。

長時間のデスクワークなどずっと同じ姿勢をしていると、脊髄の柔軟性が失われたり、脊柱管に癒着してしまったりします。そうすると、「動きなさい」という脳からの司令や、脳に送られるはずだった感覚情報がスムーズにやり取りできなくなり、パフォーマンス低下や痛みなどにつながってしまうのです。

今回は、自宅でもできるカンタンエクササイズで、脊髄(脊椎)の可動性を改善して感覚情報のやり取りを正常化させる方法を紹介します。

準備

今回ターゲットとするのは「腰椎」と「胸椎」です。とはいうもの、やることはほぼ同じです。まず準備として、自宅の壁の前に立ちましょう。極力凸凹がない壁を見つけて、そこによりかかります。

壁からの距離としては、かかとが壁に近すぎると前のめりになってしまうし、あまりに離れると壁に思い切り体重を預ける形になってしまいます。軽く膝を曲げ、優しく身体を預けられる程度を目安にしてください。

ちなみに、壁にもたれかかる前に自分にとって問題のある動作のチェックをしてください。肩であれば肩、腕であれば腕など、どの部位でも構いません。関節可動域や痛みの度合いなどをチェックしておいて、エクササイズ後にその問題が改善されたのかを確かめられるようにしましょう。

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