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ホエイプロテインとクレアチンは腎臓機能を悪化させる?30代男性の経過報告から考察

腎臓は、体内の栄養バランスの恒常性を保つのに重要な役割を果たしています。そして最近、ホエイプロテインを過剰摂取すると腎機能に悪影響があることが話題です。今回は、ある男性トレーニーの症例に関する報告をもとに、ホエイプロテイン摂取と腎臓機能との関係性について考えてみましょう。

ホエイプロテインと腎臓機能との関係

高タンパク質摂取(この研究では、1日1.2g/kg以上のタンパク質を摂取することを「高タンパク質摂取」としています)は、腎臓の血流と糸球体濾過量を増加させ、タンパク質由来の窒素老廃物の排泄効率を高めるとされています。糸球体は細い毛細血管が毛糸の球のように丸まっていることで形成される組織であり、腎臓に約100万個あるとされています。糸球体は腎臓の濾過機能を司る器官です。

また高タンパク質食は血清尿酸を上昇させる可能性があり、尿酸を処理する腎臓に負担をかけ慢性腎臓病のリスクを高める可能性があります。さらに、高タンパク質の摂取はタンパク尿を増加させ、腎臓結石症のリスク上昇につながるともされています。尿酸値のモニタリングは、潜在的な腎機能障害を早期に発見するために重要です。

クレアチンと腎臓機能との関係

クレアチンサプリメントの使用はアスリートやトレーニーの間でも広がっています。骨格筋はクレアチンとホスホクレアチンを分解し、クレアチニンを形成します。

クレアチニンは、クレアチンリン酸という筋肉が運動するための重要なエネルギーが代謝されたあとにできる老廃物です。クレアチニンは腎臓で濾過されて尿として排出されます。

筋肉量や食事摂取量、クレアチン・サプリメントの摂取、クレアチンを多く含む食品などは、血中・尿中のクレアチニン濃度を上昇させる要因です。クレアチニン濃度の上昇は腎臓機能に負担をかけることにもつながるため、これらの数値は腎臓機能を評価するうえで非常に重要です。

これらの事実を踏まえたうえで、研究で紹介された症例を見てみましょう。

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