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女性アスリートが気にすべき「睡眠時間」の話。短時間睡眠が心身に与える影響

近年、眠りに関するさまざまな記事、動画がたくさん発信されています。特に注目されているのが「睡眠時間」です。かつては睡眠の質を高めて睡眠時間を短くする方法などを発信している人もいましたが、現在は「適切な睡眠時間はほとんど遺伝的要因で決まっている」「後天的にショートスリーパーになるのはほぼ無理」というのが一般的な考え方ではないでしょうか。

むしろ、6時間未満など睡眠時間が短いと、健康リスクがものすごく高いので気をつけて!という話のほうがメジャーだと思います。

今回は、そんな睡眠時間と女性アスリートとの関係性について、ある研究をピックアップして解説しようと思います。

女性アスリートの健康問題

睡眠は単に休息をとるだけでなく、体の成長や免疫機能の向上に重要な役割を果たしています。また、睡眠中に分泌されるメラトニンは、体内時計の調整に関わっているため、スポーツパフォーマンスにも大きな影響を与えると考えられています。

女性アスリートの健康問題として、世界的に注目されている問題が月経不順です。月経不順は「女性アスリートの三主徴」の一つとして知られており、エネルギー不足、急激な体重減少、体脂肪の減少などが原因として挙げられます。先行研究では、炭水化物やビタミンDの不足が女性アスリートの月経不順に関係していることが報告されています。

さらに、うつ病や不安などの心理的ストレスが月経不順の有病率を高めることが示唆されているのです。特にエリートアスリートは、一般人よりも心理的不安が高いことが知られています。先行研究では、224名のオーストラリアのエリートアスリートを対象とした調査で、46.4%が何らかのメンタルヘルスの問題を抱えていることが明らかになりました。

また、睡眠障害(睡眠時間の短縮や不眠症)が月経周期の変化や月経障害の発生に関与することが示唆されています。今回の研究は、トップレベルの女性アスリートにおける心理的不安、睡眠不足、エネルギー摂取量が月経機能に及ぼす影響を評価しました。

日本人の女性アスリートを対象に研究を実施

本研究は、15〜23歳までの女性アスリート128名(平均年齢19.2歳)を対象に、6ヶ月間にわたって実施されました。参加者は、大学の陸上競技部に所属する長距離ランナーと、ボート競技の日本代表チームに所属する選手です。全員が初経から1年以上経過しており、自然に月経周期が訪れる状態でした。なお、ホルモン治療を受けている選手は除外されました。

調査は以下の方法で行われました。

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