みゃこ

雑誌に文章を書く仕事をしていました。音楽、スポーツ(とくにサッカー)、読書、アート好き…

みゃこ

雑誌に文章を書く仕事をしていました。音楽、スポーツ(とくにサッカー)、読書、アート好き。心理学科卒でメンタルケアの話も少々。

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Profile

ここらへんでプロフィールなど。 みゃこ。女です。 音楽、サッカー、読書、アートが好きで、子供の頃から活字が好き、文章が好き、作文とか小論文とか書くのが好きでした。人見知りしない性格と、よくわからないけどとりあえずやってみよう精神のおかげか人様のご縁に助けられ、長年願っていた文章のお仕事もさせていただいていました。だからなんだということもないのですが、お休み期間を挟みつつ心理学を約10年学んできました。 以下、ちょっとした経歴。 ◯心理学科卒。卒論は犯罪心理学×教育心理

    • 眠れる細胞

      夜中に目が覚めて、なんとなく口寂しくなって、ベランダで一服。 手すりに寄り掛かり、白い煙が天高く昇っては空中分解する様を、ひとり静かに眺めていた。 窓の外は灯りひとつない、真っ暗闇。 そりゃそうだ、窓越しに部屋の中の時計を見たら、夜中の3時だもの。 あ。あれ、星かな。 遠くのほうで、ちっちゃくチカチカしてるやつ。 また白い煙を吐いたタイミングで、ふと、背後の窓がカラカラと開く音がした。 振り返ると、眠そうな目をした祐奈がそこに立っている。 「...何してるの?

      • 疑惑の判定 【#2000字のドラマ】

        「そろそろ行くね」 サキは鏡を覗き込んで、前髪を整えている。 それを横目で見ながら、俺も急いでTシャツとハーフパンツを纏った。 「下まで送ってくよ」 「いいよ。トシくんはまだ寝てて」 振り向いて女神のように微笑むサキに、それ以上踏み込むことはできなくて。 「えっと...じゃあ、また連絡する」 「うん。待ってるね」 今度は従順な子供みたいに、無垢な笑顔で頷いた。 ボールは常に俺に預けたまま、サキはいつ来るとも知らないパスをひたすらに待つだけだ。 「彼女が会えない日で

        • ミラクル・フォン 【#2000字のドラマ】

          あぁ、こんなことしたくない。 心とは裏腹に、受話器を握りしめて覚悟を決めた。 『...はい』 「あ、俺俺」 『俺?』 「うん。俺だよ、俺」 電話に出たのは女性だった。 誰が出ようと、俺の次の一手は既に決まっている。 この後の台詞はこうだ。 会社で使い込みがバレて300万円必要になった。すぐに払えなければ警察に突き出されてしまう。どうか助けてほしい。 乱雑に書き殴ったメモを前に、高まる緊張を鎮めようと深呼吸した、そのときだった。 『...イワイくん?』 「へ?」 『イ

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          フォロワー1人のインフルエンサー【#2000字のドラマ】

          「リンもそれがいい!」 小さな人差し指が、私の皿の上を指している。 載っているのは、食べかけの食パンだ。 「これママの分だよ。リンはもう食べたでしょ?」 「やだ。それ食べたい」 もう3回も同じやり取りを繰り返していて、私の朝食はどんどん欠けていく。 リンが2歳を過ぎてよく喋るようになってからというもの、私は自分の割当を、満足に消化したことがない。 「パパのをあげるよ」 「やだ。ママのがいい!」 ハルトが自分のパンをちぎって差し出したけれど、リンは見向きもせず、ますま

          フォロワー1人のインフルエンサー【#2000字のドラマ】

          都会のオーロラ 【#2000字のドラマ】

          「それって所詮、遊びだろ?」 ケイタの言うことは正しい。 私の気持ちに寄り添っているかどうかは別として、事象だけを見たら、誰でもそう言うと思う。 好きになったのも、その好きな人に彼女がいたのも、彼女と結婚することになったのも、誰にもどうにもならないこと。 所詮。そう、所詮、なのだ。 「アヤノは遊ばれてただけだろ?」 「まあ、そうだね」 「だったらもう忘れろよ」 地上37階、ガラス張りのレストラン、濃紺の空に散らばるビルの明かり。 こんなラグジュアリーな夜なのに、私の

          都会のオーロラ 【#2000字のドラマ】

          もうひとつのアオイハル。【#2000字のドラマ】

          聞こえてきたリズミカルな掛け声と足音は、ランニング中のサッカー部のものだった。 どうして自分だけが制服姿なのだろう。 彼らを眺めているとだんだん情けなくなってきて、渡り廊下を早足で渡り切った。 「タクミさん」 昇降口で俺を呼び止めたのは、リクだった。 「おー、お疲れ」 「もう帰るんすか?」 手にはミーティング用のノート。額に光る汗、それに泥だらけのスパイクが「サッカー少年」の見本のようで眩しかった。 「たまには練習、来てくださいよ」 「まあ、そのうちね」 悪気

          もうひとつのアオイハル。【#2000字のドラマ】

          ライオンのおやつ/小川糸

          余命宣告された主人公・雫が最後の地として選んだのはホスピス『ライオンの家』。 そこに集まった、同じく残りわずかな命を懸命に生きる人々との、穏やかで繊細な日々を綴った物語。 小川糸さんの優しい文章が心に沁みます。 以下、ネタバレを含みます。 主人公は33歳の女性、雫。幼い頃に両親を事故で亡くし、母親の弟を「お父さん」として育ちます。 そのお父さんが再婚することになり、それ以来一人暮らしをはじめ、病気のことは何も告げずに『ライオンの家』に入ります。 余命宣告された状態か

          ライオンのおやつ/小川糸

          チーズケーキと不良品 【#2000字のドラマ】

          カフェテリアの誘惑に後ろ髪を引かれながら図書館に足を踏み入れると、しん、とした静の空気に包まれた。 独特の制約が体を縛ってきて、居心地は良くない。背の高い本棚の間をゆっくりと行き来する人の動きが、まるでコマ送りみたいだと思った。 「チーズケーキ、食べたかったのに」 フロアの真ん中のソファー席に陣取って、待ち合わせの場所とした。リュックを低いテーブルに投げ出して言うと、俺の対面に座ったチカは俺を見て、子供を窘める母親のように優しく微笑んだ。 「後で食べに行こうよ。ヒロト

          チーズケーキと不良品 【#2000字のドラマ】

          洗いたての漫画本

          洗うことで続きが読める漫画本がある。 洗えば最新話に更新されるので、店頭で発売されるのを待つこともなく、買いに行く手間も省け、常に清潔で気持ちがいい。 ただ、乾くまで読めない。 うまく乾かせないとページ同士がくっついてしまうし、何十巻にもなる大作となると、紙の耐久性の問題で最終回まで辿り着けない可能性がある。 続きが楽しみだけど、楽しみな作品ほど、あんまり長く続かないでほしい...と、ちょっと願う。 .......... 『物語の発想法を学ぶ』というオンライン講座

          洗いたての漫画本

          奇跡の脳/ジル・ボルト・テイラー

          脳科学者である「わたし」の脳が壊れてしまった。ハーバード大学で脳神経学の専門家として活躍していた彼女は、37歳のある日、脳卒中に襲われる。幸い一命は取りとめたが脳の機能は著しく損傷、言語中枢や運動機能にも大きな影響が...。 著者が「わたし、脳卒中になった!」と気づいた朝から、復活までの8年間を綴った記録です。 以下、ネタバレを含みます。 専門の学者さんの書かれたものだけあって内容は難しいけれど、かなりの良書だと思います。 左脳と右脳の役割の違いに始まり、人間はどのよ

          奇跡の脳/ジル・ボルト・テイラー

          映画『ミッドナイトスワン』を観た。

          タイトルの通りですが、とうとう観ました。Amazon Prime Video様々です。 映画館には都合が悪くてどうしても観に行くことができず、レンタルが始まったらすぐにでも!と心に決めていたので、先行レンタル開始の知らせを見てから、もう楽しみで楽しみで。 以下、ネタバレを含みます。 映画館に行けなかったかわりに、先にノベライズを読んでいて、すべてを把握してからの視聴だったので、映画の中のストーリーに驚きは特にありませんでした。ただ、やっぱり、映像で観るのは本当に大事です

          映画『ミッドナイトスワン』を観た。

          Magic Touch/King&Prince

          King&Princeの7thシングル『Magic Touch/Beating Hearts』が5/19にリリースされました。 以前、Sexy Zoneの『Right Next To You』にめちゃくちゃハマって記事を投稿しましたが、 そちらでも書きましたが、私は音楽に関しては雑食で、J-popも洋楽もロックもR&Bも、そしてジャニーズも、良いと思ったら何でも気にせずに聴いています。 中でも、ジャニーズでいえばキンプリさんは特に好きなほうです。デビュー曲『シンデレラガ

          Magic Touch/King&Prince

          52ヘルツのクジラたち/町田そのこ

          今年の『本屋大賞』を受賞した作品です。 250頁強という長編でしたが、するっと3日ほどで読んでしまい、まったく長さを感じさせない作品でした。 ざっくりとあらすじ。親に虐待されて育った主人公キナコは、すべてを失って(捨てて)、亡くなった祖母の所縁のある田舎町へと引っ越す。そこで同じく虐待されている少年と偶然出会い、過去を辿りながら心通わせていく、というお話です。 以下、ネタバレを含みます。 心理学界隈の人が読んだらわかると思うのですが、主人公のキナコは、こう育ったらこう

          52ヘルツのクジラたち/町田そのこ

          金曜の夜は何をしよう?

          前回の投稿でFriday Night Plansさんのことをほんの少し書きましたが、今すごくハマっていて、何をするときでも部屋でかけっぱなしにしていることが多いです。 Friday Night Plans(以下FNP)は、Masumiさんという女性ボーカリストを主体とした音楽プロジェクトです。この方の声がとにかくすごーくすごーく魅力的で、耳馴染みが良くて、気づけば何度も何度もリピートしてしまうのです。 前回の記事に書いた、HONDAさんのCM曲のフルが、こちら。 これ以

          金曜の夜は何をしよう?

          HONDAさんのCMって、

          最近、HONDA VEZELの新しいCMが始まって、藤井風さんのGood Grooveな新曲をよく耳にするようになりました。 本田技研工業さんのYouTubeでVEZEL版MV(と言っていいかな?)が公開されていて、これまたすごい再生回数です。出演されている方の顔ぶれを見ると本当に多種多様で、見ただけで作り手さんのメッセージが伝わる仕上がりになっていますよね。 このMVの中で私が特に好きなところは、芸人のアントニーさんが押す使い切りカメラのシャッター音を、音楽の一部のよう

          HONDAさんのCMって、