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何のために働きたいか

今、“働く”ということについて改めて真剣に考えたいと思った。学生の頃、「将来は何になりたいか」「何をしていたいか」「何が好きなのか」という問いを周りの大人たちに何度も問いかけられた。

別に。仕事にできるような好きなものはないし。そこそこ稼げて楽しく過ごせれば何でもいい。それくらいにしか考えていなかった。多くの選択肢がある中からやりたいことではなくやりたくないものを省き、「これならやってもいいか」と思えたのがエステだった。

人と話すことが好きで、知らない世界の話は面白くて、色んな価値観を吸収したかった。だから直接対面して人と話せる接客業が好きだった。

大人ってすごい!かっこいい!どんなことにも答えやヒントをくれ、人生の楽しみ方を知っている!

アルバイト時代も働きだしてからも、出会う大人たちは本当にたくさんのことを私に話してくれた。その会話は盛り上がる内容から悩みまで様々。色んな考え方があるんだと心の底から楽しかった。

その中でも、私はある女性の話し方が好きだった。「あのね、この間会社でくそーって思うことがあったとね。だけどそう思っても感情のままに言ったら角が立つとよ。その場ではグッと堪えたとよね〜。あはは。」熊本の柔らかい表現なのか。いやその方が様々な経験の中で柔らかさを大切にしてきたんだと思う。会話の中で”角”を意識したのはこれが初めてだった。その女性と話をする度私は癒された。

自分の人生を振り返り、多くの方と出会わせていただいた。
20代前半まで、“自分”というものが曖昧で、人の意見が良く見えて、”気を遣う性格”という理由をつけて私はいつも周りに流されていた。良くも悪くも純粋で影響を受けやすく、振り回されやすかった。典型的なYesマン。

徐々に、自然と流されるのではなく、意思を持って流されるようになった。「流された先で学びたい」そう思うようになった。

私は過去にエステ、保険会社、病院、訪問看護と仕事をいくつか変えている。人によってはバラバラな職業。との印象のようだが、私はそうは思わない。全て”人の生活”に直接関わるもの。あらゆる健康レベルの方々に出逢わせていただいた職業たち。その中で共通して思うことが徐々に明確になっていった。

エステ。健康レベルは”高い”。どんな方々が来るんだろう。どんな生活をし、どのようなことに気をつけながら過ごしているんだろう。どんな娯楽を楽しみ、どんな悩みを抱えているんだろう。身体的に健康であっても精神的な悩みを抱える人もいる。内容によっては人に相談できないこともあるだろう。そんな時はどう対処しているのだろうか。

保険会社。少し健康に不安を抱えていたり、意識の高い方が多い。健康レベルは”普通以上”と表現しておこう。入院や手術を経験している方もいる。どのようなことに後悔をし、今後どのような自分でいたいのか。今後に対する楽しみと不安はどの程度の比率だろう。現状の維持・向上のためにどのようなことをしているのだろう。

病院の一般病棟。健康レベルは”頑張れば何かを調整して日常生活に戻れる”。どんな理由で治療を受けているんだろう。”患者さん”と言われることでの気持ちの変化はどのようなものだろう。本人の今までの生活から今後、何が変わるんだろう。本人や家族の心境、仕事、娯楽、金銭面等、どのような考え方の変化があるだろう。

ICU病棟。健康レベルは”多くの調整を必要とし、かなりの努力を長期的にすることで自宅での生活が目指せる”という印象。本人は麻酔から目覚めたらどのような印象を自分に抱くのだろう。どのような回復過程を辿れるのだろう。どのような楽しみを実現していけるのだろう。家族はどのように生活を変えていかなければいけないのだろう。

訪問看護。健康レベルは幅広い。サポートを受けながら自力で生活できる人もいればもう在宅の域を超えている人もいる。「自宅で生活したい」という本人たちの強い希望と、それをサポートする優れたサポーターがいることで成り立つ。

健康を”レベル”で分けるのは良い印象を持たない人も多くいるだろう。しかし、それぞれの原因や対処法は異なる。多くの方々と出会い、ざっくりではあるが、各健康レベルに対して予防ができると私は思った。そして、未来の健康に対する不安を予測して予防行動を取ることは決してマイナスなのではなく、人生を楽しみ、充実させるために真剣に向き合わなければならないことだと私は思う。

治療に力を入れるのは大いにありがたく、心強い。しかし、”患者”と呼ばれる人が少しでも減り、明るい人生を人々が歩めるよう、また頑張る人がキラキラしながら頑張り続けられるよう、私は「予防医療」に携わりたい。

日本人の性格上、早期に悩みをアウトプットすることや、弱みをさらけ出すのは苦手という人も多いだろう。

潜在する悩みを打ち明ける場所。悩みを口にして助けを求めることは恥ずかしくないというマインドを持つきっかけ。聞き手の受け止める力を養う場所。自分の心を丁寧に扱う習慣。

このような変化を世の中に広めていく活動をしていきたい。人々が自分に優しくなれるよう、周囲の人々に優しくなれるよう、互いに認め合い優しい社会を作る活動をしていきたい。

個人の資産を築くことも大切だが、私はそのような活動が広がることで人生がより充実すると感じられるのではないかと思う。
そして個人の賃金も大切だが、"予防"の意識を広げることで家族や周囲の友人たちが生きやすい社会を作っていきたい。

今、まさに予防医療を広げていく活動が始まっている。今までの多くの方との出会いに感謝して、新たな世界にチャレンジしてみようと思う。きっと楽しい世界や今まで経験していない新しい世界が見えるはず。その中でも自分を貫き通しすぎず、意思を持って流されながら、でも対等に。自分を信じながら疑って、より良いものを創造していきたい。

私の周りには介護が必要な方、障害という個性を持って生活している方、そのサポートをする家族。多くの壁を乗り越えながら生活している方々がいる。彼らがより生きやすくなるような社会になるよう私も活動していきたい。そして昔出会った”大人”に私も近づきたい。と、改めて感じた。

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