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端的に言うと髪を切ったって話

表も裏も、上下左右もなく、タイトル通りの話を長ったらしくします。
お暇なときにお付き合いください。

人間ってどうして「やってはいけないこと」をやりたくなっちゃうのでしょうか

「できない」とか「やってはいけない」と言われたことって急に魅力的なものになったりしませんか。
例えば「外出自粛」中の「お出かけ」だったり、「押すな」と書かれた「ボタン」だったり。
おうち大好きで別に出かけなくても十分満ち足りていてそもそも出かけるつもりなど露ほどもなかったし、そういうボタンは押しても碌なことにならないって分かってるくせに、ダメと言われた途端に急に出かけたいところが思いつくし、ボタンは押したくなっちゃう、みたいな。

私はその典型的なタイプです。今まで興味もなかった場所にまで出かけたいし、勢いよくボタンは押したい。

そして、そんな私はつい先日まで「髪切りたい、切っちゃいけない」葛藤と永遠に戦っていました。

「髪くらい好きに切ればええやん。」
そうお思いかと思います。もちろんそうでしょう。私も全くその通りとそう思いますが、一応私の方にも理由はありました。

【髪を切れない(伸ばさなければならない)理由】
〇結婚式を控えている(しかも延期になった)
以上

結婚することを決めたあの日から私の髪は伸ばされることを余儀なくされたので、通算2年、私は自身の髪の成長を見守ってきました。
けれども、「伸ばさなければならない=切ってはならない」となった途端、むくむくと湧き上がる「髪切りたい!」な欲望。
「それまでだって長い髪で過ごしてきていたくせしてなんでなの。」と自分で自分に憤る日々。
延期される結婚式と合わせて延期される断髪式。
こんなにも髪のことで葛藤することは今後ないと思います。
なお、成人式前にも全く同じことを考えた思い出も蘇りました。
あの頃は若かったなあ。

やっと髪を切れる・・・! はずだった

そして今年の春、煩悩に打ち勝ちって無事に長いままの髪でやっとこさ結婚式を終え、とうとう私は断髪の権利を得ました。
にも関わらず、なぜ私は今頃この記事を書いているのか。
そうです。切れなかったんです。

【あんなに切りたがっていたのにそれでもまだ髪を切れない(伸ばさなければならない)理由】
〇ヘアドネーションの規定の長さに足りない
以上

正確には、ヘアドネーションができる長さはあったのですが、結婚式の延期に伴って想定以上に伸びた髪を有効活用すべく、私はロングのウィッグが作れるという50センチを目指していました。
しかしながら、結婚式を終えた時点の私の髪では50センチには数センチばかり届かず、さらに伸ばしていく必要に迫られたのです。

「そこまでせんでもええやん。」
そうお思いでしょう。もちろんそうだと思います。私も全くその通りとそう思います。
けれども、「結婚式の延期」という経験は私にとっては大変苦い思い出となりました。それでも「そのおかげでできたこともある」という何かであの日の気持ちを昇華させたいという自分のエゴのため、私は自身の髪にさらなる規制をかけることとなったのです。
ドMか。
こんなにドSですねってみんなに言われて生きてるのに。
でも後悔はしていないのでやっぱりドMかも。

切るために伸ばされる髪と日常生活

私の人生では、短髪よりも長髪で過ごした期間の方が長いのですが、今回ほどに長く伸ばした(伸びた)ことはありませんでした。
先ほどは格好つけてみたくて「昇華」とか言ってみましたが、「もうこんなに伸ばすこともないからロングウィッグ用のヘアドネーションに参加できるのはこれで最後っぽい」というのも、ロングヘア生活続行の理由のひとつでもあります。

ただ、ロングヘアも過ぎると日常生活に支障が起きます。
私も自身がそうなるまで知らず、そしてチリツモ方式で私の精神を蝕んだロングヘアの不便を御紹介いたしましょう。

【ロングが過ぎたヘアの不便な点】
〇お風呂上り、ドライヤーに死ぬほど時間がかかる。腕が痛い。
(私は途中であきらめることもしばしばでした。)
〇アレンジ不可
(長すぎると取り扱いに困るんですって胸を張って言ってはみたものの、私が不器用すぎるかつ面倒くさがりすぎるという点に考慮が必要。)
〇寝返りをうつたびに顔にバサリし,かつ自分で踏みつける。
(いちいち目が覚めるので、平安貴族スタイルで寝るのがおすすめ。)
〇背もたれに背中を付けるたびに頭皮が引っ張られる。
(対処法:腹筋と背筋を鍛えて背もたれを使用しない。ただし、私は猫背が酷すぎるし、どんなに気をつけていても気が付いたら背もたれしているしで対応不可でした。)
〇肩から掛けたバッグのファスナーに巻き込まれる。
(財布を取り出したいだけなのに、バッグを開けるときも閉めるときも必ず髪の巻き込まれ事故発生。「一日に複数回」を毎日繰り返すため、あっという間に毛先はボロボロになります。)

ほかにもいろいろあったような気がしますが、私を特に困らせてきた事例です。

「嘘だろ?」
そうお思いかと思います。もちろんそうでしょう。私も全くその通りとそう思いますが、すべて私の実体験です。
まさか髪が邪魔だと思いながら生活する日が来るとは想像もしたことがありませんでしたし、「髪長いね。伸ばしてるの?」という問いかけに対し、「はい!切るために伸ばしてるんです!」と答えて、沈黙とともに首を傾げられる会話も想定していませんでした。

なお、ロングが過ぎた私の髪の毛はバッグのほか洋服のファスナーは言わずもがな机の引き出し等空間という空間には見境なしに巻き込まれに行きますし、私は最後まで自分の髪の長さを把握しきれず、ちょっとしゃがんだら毛先が地面とこんにちはしていることも日常茶飯事。
髪の毛に何かあるたび(特にファスナーに巻き込まれたときと安眠を妨害されたとき」)に「キーッ!どうしてお前はいつもいつも・・・!」と自分の髪に向かって怒り狂う私だったのでした。

そしてついに・・・さよならの日

そしてそして、つい先日。
私は断髪の日を迎えました。
いざ切れるとなったら急に惜しいような気がしてくる不思議。
けれども精神を蝕まれた日々を思い起こし、そしてまだ見ぬどなたかの助けに少しでもなればよいと、担当の美容師さんに「本当に行くのね?」と3回確認されながら(そんなに念入りに確認されたら揺らぐのでやめてほしい)、「ひと思いにイッちゃってください!」とオーダー。
諸々ありつつも一応大事に伸ばしてきたので後悔するかもなと思いましたが、切る前も最中も後も特段の感慨等もなく、今は大変すっきりした気持ちです。長いのが良けりゃまた伸ばせばいいしね。
ちなみに、髪を切った瞬間に物理的に頭が軽くなったのが「髪の毛にも重さってあるんだ」という当然のことを実感できて感動的でした。

さようなら、私の長い髪。
さようなら、苛立ちの日々。
こんにちは、寝癖の朝。

髪を切った今の私は、「またそのうち伸ばすのかもしれないけれど今は短い髪を楽しみたいな」とワクワクしていますし、でも顔の丸さとデカさが際立つからちょっとダイエットはした方がいいかもなと考えていますし、眠たい目を擦りながら必死に寝癖を伸ばす毎朝にげんなりしつつもそれでも今までにシャンプーとトリートメントとドライヤーにかけてきた手間とお金と時間は返してほしいなと思っています。

【Before】ファスナーと戯れてきた髪がこちら


【After】イッちゃった後の髪がこちら