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わたしの旦那さんは変だ。〜健康と運動と欲望の狭間〜中編

中編の今日は、(私的には不可思議な)運動に励む旦那さんの話。


前編(体育会系の妻の話)はこちら。


彼は、決して瘦せ型ではない。

しかし、彼は私以上に健康に気を遣っている。毎日の納豆、ヨーグルト、牛乳、そしてもずく酢はマスト。

結婚当初に、毎日食べるものがあって・・・健康のために!と彼にしては珍しい主張までして、毎日摂取を続けている。

そしてダイエットのため、かつ健康のため、彼もまた毎日運動に励む。


仕事から帰ってきた彼は、まず部屋着に着替え、オレンジ色のヨガマットを用意する。

そして筋トレの開始だ。私はそれを横目に夕食の準備を進める。

今日のご飯は・・・と冷蔵庫から食材を出し、米を研ぎ、炊飯器のボタンを押す。

ここまで5分弱。

やれやれ、と振り返ると彼はもういない。

オレンジのヨガマットは寝室に収納され、彼はお風呂タイムである。


初めてこの状況に直面した時、(それなりに真面目に筋トレに取り組む体育会系の)私は動揺した。

落ち着け、私。

今日は疲れていたんじゃない?

毎日定時に帰ってくるし、特に人事異動等の環境の変化があったとも聞いていないし、昨日も一昨日も、ていうか私が知る限り毎日22時30分には就寝していたけど、何かあって今日は手抜きだったのかもしれない。

よく様子を観察しておかなくちゃ。


と思って以降、毎日同じことが繰り返されている。


5分足らず、やらないよりはまし・・・か?と思って黙認している。強制するようなことでもないし。


とある日、振り返るとまだ彼はそこにいて筋トレに励んでいた。(まだ3分しかたっていなかったらしい!)

その日のメニューはどうやら腕立て伏せ。

しかし、腰が落ちていて、どこにも効いてなさそうだし、そもそもそのまま続けたら腰を痛めそうである。

その点指摘したところ、彼から意外な答えが返ってきた。


「腰の位置ちゃんとしたらきつくない?」


いや、きつくない筋トレに一体何の意味が?

私は何も言わず、へらりと笑った。


そしてとある休日、彼は走りに行ってくると私に告げた。

私は大いに喜んだ。

健康かつダイエットのため、最も有効とも思える有酸素運動の申し出だったからだ。

決して一人の時間が確保されるからではない。

私は優しく、行ってらっしゃいと答えた。


やれやれ、私は本がちょうどいいところまで読めたから、この間に先にお風呂入っちゃおうかなと考えた、「先に・・・」のあたりで玄関が開く音がした。

行ってらっしゃいからここまで15分。

嘘だろと思い振り向くと、彼はいた。

私は思った。

どこまで行ってきたん?




後編(夫の止まらない欲望の話)はこちら。