赤いバイクの男はどこに行った?
時は高校生の頃。どうしてもどうにかしたい、一個年下の男の子がいた。
その子は彼女持ちで。その彼女ともあたしはそれなりに仲良くしていた。
あるクリスマスの日、仲間内みんなでお泊まり会を決行することになり、男女入り乱れ、保護者なしの一軒家貸し切り闇鍋パーティーをすることとなった。
闇鍋パーティーと言っても、食べれないものは入れるなと言うことで、あたしはなめこを持っていった。それはそれは大変な不評だった。
その夜、その男の子の彼女も参加していたのだが、彼女はお泊まりは出来ないので帰らなければいけなかったらしい。
名残惜しそうに彼女は彼氏にプレゼントを渡し、帰っていった。
「ヤバイ、これはチャンスじゃね?」
あたしの悪い欲望が騒ぐ。
そしてみんなが各それぞれ適当な場所で寝付く頃、もちろんあたしは彼の側にいた。
しかも手を握って。
手を握って、一晩中彼と話をしていた。
…それだけ。
はっきり言って、その彼の動じなさに彼女へのきちんとした想いを感じた。
高校生の男子なんて夜夜中に一晩中手を握ってれば、堕ちると思っていたあたしが恥ずかしい。
どうでもいいけど、彼女からのクリスマスプレゼントはコンドームだったらしい。もしやそれが逆に警告になっていたのかもしれない。やるな、彼女。
その朝はその彼に家の途中まで送って貰った。その道中も二人きりだった。でもちゃんと何もなかった。
あたしの方が年上だったので、一年先に卒業する時。
「俺、バイクの免許取るから。その時は赤いバイクに乗って迎えに来るよ。」
その言葉に思わず、ついにあたしの想いが実を結んだのかとめっちゃ喜んだ。
その頃には彼女との仲も曖昧になっていたし、これは確実にいける。そう思っていた。
半年後。彼をファミレスでみかける。知っている顔と一緒に楽しそうにおしゃべりをしていた。その顔は彼の1コ下の可愛がっていた女の子の後輩。あたしもその子とは少し仲がよかった。
その雰囲気に「はーん、そういうことね。そっちの清楚なワンピースの似合う彼女が良くなったのね。」と思うものの、心の中では上手く処理出来ず。
いつか彼が赤いバイクに乗ってあたしの事を迎えに来てくれる事を願っていた。
…来るはずねーじゃん!!
そもそも付き合ってもいねーから!
よく考えたらクリスマスの夜中中、手を握ってただけの女だから!
次に彼にあったのはすでにあたしのお腹に長男が宿ってからだった。
「これじゃあ、口説けねーじゃん!」
「バイクにも乗れねーじゃん!」
…ってかいい加減に諦めろや、あたし。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!
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