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ゲームとプロダクト、通底するデザイン哲学あり 〜桑沢デザイン研究所で講義しました〜

こんにちは!MIXI デザイン本部 デザイナーリレーショングループの関です。

渋谷にある日本で最初のデザイン専門学校「桑沢デザイン研究所」で、弊社デザイン職の福原がプロダクトデザイン専攻の学生さん向けにビデオゲームをモチーフにしたUI/UXの講義を行いました。

講師をすることになった背景、カリキュラム制作の狙い、講義を通して学生さんに何を伝えたかったのかをインタビューします。

「UI/UX講座」全6回概要

ビデオゲームをモチーフにした
「UI/UX講座」カリキュラム

なぜ桑沢デザイン研究所で講義をすることになったのか

━━ゲームUI/UXを教えることになったきっかけを教えてください。

学生時代からの友人であり、桑沢デザイン研究所でプロダクトデザインを教えている本田先生とのつながりがきっかけです。

本田先生とは、『身体性が取り払われるデジタル上で、どんなデザインだとユーザーに伝わりやすいか』をよく話していました

例えば、ドアに取っ手が付いていなくても『開くドアだ』と理解してもらえるデザインとは、どういうものなのかと。

ユーザーにとって分かりやすいデザインを設計するには、身体記憶やメンタルモデルから想像できることが大事。

その観点からみると、ゲームのUI/UXデザインもプロダクトデザインも通底するデザインの哲学があるのではという話になり、講義を担当することになりました。

━━プロダクトデザインの学生がゲームのUI/UXを学ぶ。一見あまり関連がなさそうですが、こういった学びのアプローチはよくありますか?

私の知る限りですが、あまりないと思います。

プロダクトデザインを学ぶ学生がUI/UXのお作法(人の目線の誘導や情報の整理など)を学ぶことはありますが、ゲームのUI/UXやゲームデザインの視点から人の振る舞いを学ぶことは少ないかも知れません。

なので今回の講義ではゲームのUI/UXを学ぶことで、プロダクトデザインをする際にユーザー体験を捉え直すきっかけにしてもらいたいと思いました。

桑沢デザイン研究所での講義

Connecting the dots - 発見した視点を繋げていく-

━━学生さんに教えるために、具体的にどのような準備をしましたか?

普段から仕事に必要なことや自分が好きなことについて情報を収集し、体系化し、自分なりの解釈を入れて発信していました。

興味を持った本を読んで学んだり、Web記事を拾い集めたりしているうちに、自分の中で情報が繋がっていく。そうすると『この視点は俺しか気が付いていなのでは!?』という発見が生まれ、誰かに聞いて欲しくなるんですよね(笑)。

自分で繋げた観点を色々なところで語っていると、もっとよく分析している人が現れる(笑)。次は、その人達の観点も取り入れつつ、自分が拾い集め繋がった情報をまとめ直す。

そんな工程でカリキュラムを作成していきました。

新しい視点を誰かに聞いて欲しくなる!と福原

ゲームもプロダクトも同じデザイン哲学

━━本職のゲーム制作の経験を活かしたカリキュラムになったのでしょうか?

ゲーム制作以外の経験からも、たくさんの気付きを取り入れられたと思います。

以前、プロダクトデザインの会社からゲームのUIに関するレポート執筆の依頼がありました。
執筆にあたってプロダクトデザイナーと対話をしていくなかで、自分がゲーム制作で培ってきた知見とプロダクトデザインの現場で求められるものには通底する考え方があることが見えてきました。

操作を迷わせない/機能を分かりやすく伝えるなど、ユーザー体験を向上させるためにやるべきことが一緒だったのです。

今まではゲーム画面とコントローラーやスマホ画面だけでUI/UXを考えていたのですが、タッチパネルのついた券売機をはじめ、街中にあるさまざまなプロダクトがどういうユーザー体験をさせようとしているかも意識するようになりました。

こうした視点が生まれてから、自分の中のゲームのUI/UXデザインやプロダクトデザインへの解釈がどんどん広がっていきました。

最終回の講義はMIXIオフィスで実施

第6回(最終回)の講義は、桑沢デザイン研究所の学生さんをMIXIオフィスに招待して実施しました。

最終回はMIXI本社のセミナールームで学生さんに講義

━━全6回の講義を終えて、いかがでしたでしょうか?

最初は疑問形から講義を聞き始めたと思います。学生の皆さんが生まれる前に発売されたビデオゲームや知らないゲームキャラクターをモチーフにしたUI/UXの話に、普段学んでいることとの関連性がすぐには見えづらかったかもしれません。

・UIとは人の振る舞いをベースに行動を導くデザイン
・プロダクトデザインにおけるシグニファイア(人の行動を正しく誘導するためのサイン)


の2つがリンクするようにビデオゲームをモチーフに講義を進めました。

今回の講義が、デザインをする上で【ユーザーの体験を捉え直す】きっかけになってくれたらうれしいです。

最後に、桑沢デザイン研究所の本田先生からメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

桑沢デザイン研究所
プロダクトデザイン分野 本田 圭吾先生

ゲームUI/UX、プロダクトデザイン、両者とも根っこは一緒で、機能が載っているメディアがデザインだと思います。つまりプロダクトもメディアだし、ゲーム体験もメディアです。

プロダクトセマンティクスProduct Semantics:製品意味論)という考え方があります。プロダクトにはそのものが持っているかたち、記号があります。体験が変わるとまた新しいかたちを作っていく必要性がある、それを学生に上手く伝える方法がないかと考えていました。その答えを、今回の授業で福原さんが以下の図のように見事に示してくださり、私の視点を追記しました。

今回の講義にあった、「ゲームの体験が変わることでゲームを操る道具の形が変わっていく」ことは、これからのプロダクトデザインにとても重要な視点です。ゲームとプロダクト、バーチャルとリアル、両者の関係性が伝わり、これからもゲームデザインとプロダクトデザインの領域は共にお互いが学びあっていけるのではと思っています。

Product Design(PD)は、手段と目的を果たす機能を載せるメディアである
画像提供:桑沢デザイン研究所

編集後記

プロダクトもメディアだし、ゲーム体験もメディア、との本田先生の言葉に「なるほど!」と思いました。さまざまな領域のデザインの知見が相互に活かせると良いですね。今回の授業が、デザイン業界の未来を担う学生さんにとってユーザー体験を捉え直すきっかけの一つになっているとうれしいです。

以前、福原にインタビューした記事もあわせてご覧ください。


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