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大学編入記4-大学に入ったら魔王になった話-

 魔王は晴れて編入試験に合格し、大学からの脱出に成功しました。編入先の大学は国際基督教大学、通称ICUです。

 大学の図書館に夜まで残って編入試験の勉強と期末試験の勉強を並行し、バイト先の塾で受験生に教えながら、踏み固められてつるつるになった雪道を歩いて通学していたのは今となっては良い思い出です。雪で人前で盛大に転んだことも何度もあり屈辱的な思いもしましたが、全てはICUに合格するためです(?)。誰にも編入のことは言っていなかったので友人達には大変驚かれましたが(ごめん)、意気揚々と退学届けを出して魔王は春にICUへと編入しました。ちなみに、合格が通知されたことに喜びながら雪道を歩いて帰った日の魔王のLINEがこちらです。

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逞しすぎますね。

 ICUで魔王は衝撃をたくさん受けることとなりました。まずは英語の授業です。ICUの一年生及び編入生は、最初の一年を通して英語の授業を受けます。英語力によってクラス分けされるので、英語の授業がどのくらいあるのかは生徒によって異なりますが、主に英語でレポートを書いたり論文を読むことができるようになるためのカリキュラムです。そのためライティングやリーディングもまあ大変でしたが、魔王は何よりも授業がディスカッション中心であることに驚きました。もちろん、全て英語です。そんな中でみんな割と普通に発言します。前の大学では当てられない限り授業中に発言したことなんてありませんでしたし、思い返してみると高校・中学でもそうだったと思います。授業中に発言するという習慣がなかったので、自然と学びに対して受動的になっていたということに気付かされました。

 また、百人は入るであろう大きな講義室の一番前の席に生徒が当たり前のように座っていることにも驚きました。

「最前列って座ってもいい席なんだ」

実際こう思いました。座ってはいけない席などあるわけがないのですが、何だか嬉しくなって魔王も一番前の席に座りました。前の大学にいた時は、授業に積極的な態度で臨むのは至極真っ当なことなのに、なぜかそのような人が異端であるかのような空気が存在していたような気がします。ですから、ICUで授業を受けながら、

「自分は勉強をしに大学に来ている」

ということを強く実感するようになりました。

 さらに、予想はしていましたが、ICUには英語が堪能な生徒が本当に多いのです。もはやみんなバイリンガルなのでは?と一瞬錯覚するときがあります。実際は違います。典型的な日本人である魔王が相対的に英語できないだけです。ICU生は、インターナショナルスクール出身、海外在住経験あり、長期留学経験あり、親が英語話者であるなど、生徒のバックグラウンドも多様です(英語が得意で海外向きの思考を持った学生が多いという点では多様性はむしろないのかもしれませんが)。魔王はというと、日本の英語教育の賜物でしょうか、リーディングとライティングはやった分だけ伸びましたが、スピーキングとリスニングはいまだに苦労しています。センター試験の英語はまじで役に立っていません。魔王は責任を持って日本の英語教育に警鐘を鳴らしておきます。魔王はスピーキングにフォーカスしたイングリッシュのエデュケーションを受けてこなかったのでルー大柴みたいになることがメニメニタイムズあるんです。

 なんやかんやでICUで刺激を受けながら勉強をするに伴って、周囲の人や物事を斜に構えて見ることは減り、魔王は次第に人間へと戻っていきました

次回:魔王ついに人間に戻る!デュエルスタンバイ!!

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