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MIURA流 登山塾「ippo」

ミウラ・ドルフィンズでは鹿屋体育大学の山本正嘉教授をはじめ三浦雄一郎・豪太親子とともに、より快適に、より安全な登山を行うためのデータを測定し、登山者のための実践的なトレーニング方… もっと読む
毎週月・水・金曜日の12時に更新!このippoマガジンでは、科学的な根拠のあるMIURA流のトレー… もっと詳しく
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2020年6月の記事一覧

登山中に消費するエネルギー

1.登山中は上手なエネルギー補給が大事登山中にエネルギー不足になると、行動が続けられなくなったり、低体温症などの危険性も高まります。そのような状況にならないためにも、エネルギー補給を上手に行うことが必要です。「上手に行う」ということは、①計画している登山ルートで消費するエネルギーを予め知っておくこと(以下2)、そして②それに見合うだけの食事計画を立てること(次回公開予定)、です。 2.登山で使われるエネルギー量を知る登山を計画する際に、そのコースを歩いた際に消費するエネルギ

三浦雄一郎の「歩く技術」から山の歩き方を学ぶ②

人が「立つ」「歩く」場合に体を支える重要な働きをしているのが「足の裏」です。「足底(そくてい)」と言われます。では、「足底」はいくつの骨から成り立っているでしょうか?片方の足底には26個の骨があります。全身の骨の数は大人で206個なので、約4分の1が足の裏にあることになります。そして、人はその骨をたくさんの筋肉や腱で支えることによって、長時間歩くことができるのです!さて、とても重要な働きをする「足底」をしっかりケアしていますか?今回は、足底の重要性とケアについて、三浦雄一郎の

三浦雄一郎の「歩く技術」から山の歩き方を学ぶ①

山を歩く場合は、普段のウォーキングよりも長い時間歩くことがあります。また、平地ばかりではなく、砂利道や土の道、岩の段差などの不整地を歩くこともあります。登山では疲れない歩き方=省エネ歩行が重要です。今回は、2011年に発売された“60歳からの街歩き・山歩き 三浦雄一郎の「歩く技術」”から、山の歩き方の技術をお伝えします。 1. 人は長時間歩くことができるもし、人が昔のように四足歩行だったら・・・?と想像して、試しに四つん這いで動いてみると、腹筋・背筋・腕にかなりの負担がかか

「山と渓谷」の自宅トレ特集(^^)

2020年6月15日発売、雑誌「山と渓谷」の“自宅トレ”特集ページの監修、執筆、トレーニングモデルをさせていただきました。 お話をいただいたのは4月末でした。ちょうどCOVID-19の感染拡大防止のための緊急事態宣言が発令され、様々な活動が自粛された頃でした。山と溪谷社の編集者から「自粛期間に仕事や登山の在り方が変わり、自宅にいることが増えて運動不足になってしまうことでの問題と、自宅でできるトレーニング方法について記載してほしい」と連絡がありました。 まさにその頃!私の働

クールダウンの重要性について

スポーツにおける場面でのことですが、ウォームアップの実施率よりも、クールダウンの実施率は低いという結果があります。その理由は「時間がない」「そのような気分ではない」「場所がない」などです。登山でも、下山後には帰宅の準備に取り掛かり、クールダウンをついつい忘れがちではないですか?翌日以降に疲労を残さないためにも、クールダウンも是非取り組んでください! 1. クールダウンの目的 ・心臓や肺、脳の負担を徐々に減らす ・疲労物質を身体の外に出す ・筋肉のバランスや柔軟性を整える ・

ウォームアップとクールダウンには何がいいの?

登山を開始する前にウォームアップ、下山したらクールダウンを行なっていますか?ウォームアップは、登山前に身体と心の準備をするため。クールダウンは下山後に身体と心をおだやかな状態に戻すために大事です。今回は「ウォームアップの方法」についてお伝えします。 1. ウォームアップの目的・心臓や肺の機能を高めておく ・神経系を活発にすることで、筋肉への信号が早く伝わる ・筋肉を温めることでエネルギー効率アップ、怪我の防止、スムーズな筋力発揮ができる ・集中力を高める 2. ウォームア

登山ガイド資格取得のための講習

今年は、登山ガイドの資格を取得しようと決意しました。 資格取得のためには様々な試験をクリアしなくてはならないのですが、そのための一つ「無雪期のルートガイディングの講習」を6月15日〜17日で受けてきました。 梅雨の中休み。講習前日までは梅雨空だったのにも関わらず、講習の3日間は雨に降られることもなく、晴天に恵まれました。国際山岳ガイドの長岡健一さんのもとで、登山ガイドとしての心得、ガイディングの行い方を学んできました。 ブリーフィングの仕方、ハザードとリスクの関係、プロ

登山と水分摂取方法

1. 登山中の脱水量を計算してみる前回、水分の摂取が足りない=脱水が身体に与える影響をお伝えしました。では、登山を行う際はどのくらいの水分を摂取すればいいのでしょうか。登山中の水分消費量=脱水量は、エネルギー消費量の式と同じく以下の式で算出されます(図の①)。また、縦走などの場合は、登山を行っていない状態(小屋やテントでの生活)での脱水量も知っておく必要があります(図の②)。 ①、②の式より一日の脱水量を求め、それを補うだけの水分補給をしっかり行うことが必要です。登山中には

水分補給が足りなくなると?

人間の身体は性別や年齢で差はありますが、胎児で約90%、新生児で約75%、子供で約70%、成人で約60%、高齢者で約50%の水分量があると言われています。水を飲まずに運動を行うと運動能力や体温調節能力が低下し、脱水や熱中症を引き起こすリスクが高まります。 人間は体重の2%の水分が失われると、血液中の水分量が減って血圧が下がり、筋への燃料や酸素の供給が円滑にできなくなるために、心拍数は上昇し、持久力は10%も低下します。3%失われると、ぼんやり、食欲不振などの症状が現れ、4〜

Dreamers Summit NO1.小木曽光利さん

Dreamers Summitについてミウラ・ドルフィンズの低酸素室では、たくさんの「夢」を持った方々とお会いすることができます。低酸素トレーニングを行なって、高所登山・トレッキングへ出発、そして無事に帰国された後に、今までの取り組みや山旅の報告を聞く「Dreamers Summit」を昨年から開催していました。今までの「Dreamers Summit」の様子については、ホームページをご覧ください。 またイベントの開催も行なっていきたいと思っていますが、今はここのページで、

エネルギー消費量を計算して登山をしてみた

1. 登山計画を立てる際に、エネルギー消費量を計算する前回、「登山を計画する際に、そのコースを歩いた際に消費するエネルギーも予め知っておくと、どのくらいの行動食を準備したら良いかがわかります。」とお伝えしました。そこで、今回は私が実践した内容を書いてみたいと思います。 登山コースは、神奈川県箱根の金時神社登山口〜金時山〜火打石山〜金時山・明神ヶ岳・宮城野分岐〜金時神社登山口としました。このコースのコース定数を調べると、「29」でした。そこで、登山中のエネルギー消費量を算出す

クライミング中の気づき

今日はクライミングの話を少し。 クライミングをはじめて2年半ほど。クライミング仲間の中には、週末になるたびに外岩に出かけ、平日も仕事が終わるとクライミングジムに通う友人もいます。なので「クライミングもやっています」というほど熱心に取り組んでいるか、と言われると自信を持って「やっています」と言えるかは微妙なところです。 でも山を登ることも好きだけど、岩を登ることも好きなので、クライミングのためのトレーニングも行なっています。手指や腕の力や、足の力だけではなく、全身のバランス

運動とエネルギーの関係

1.エネルギーが足りなくなるとどうなる? 身体に蓄えられたエネルギーが枯渇し、食べ物からのエネルギー補給も足りなくなると様々な身体活動が制限されます。初期の症状としては疲労感、眠気、集中力の欠如、めまい、ふらつきなどです。エネルギー不足、低血糖、ガス欠、シャリバテ・・・などと呼ばれます。登山中にこのような症状が表れると、重大な事故につながる可能性もあります。実際に、エネルギー不足が急速な低体温症を引き起こした遭難事故もあります。(トムラウシ山遭難事故報告書) エネルギーは身