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大解剖!三浦法律事務所STAFFの仕事AtoZ Vol.8:新卒採用一期生が語るM&P(後編)

2019年1月に30人の弁護士と3人のスタッフでスタートした三浦法律事務所(以下、M&P)は、2021年11月現在、弁護士66人、スタッフ26人にまで増えました。事務所の成長に伴いスタッフの増員も積極的に行っており、2020年からはスタッフの新卒採用も実施しています。

スタッフの採用活動を行う法律事務所が一定数ある一方で、法律事務所で働くスタッフの業務について知るチャンスが少ないと筆者が感じたことからスタートした本連載「大解剖!三浦法律事務所STAFFの仕事AtoZ」。

8回目となる今回は、前回に引き続き「新卒一期生」としてM&Pに入所した秘書の小林あすかさんとアドミニストレーション・グループ・スタッフの池谷朋美さんにが登場。「英語の使用頻度は?」「入所前にやっておいた方がいいことは?」「どんな人がM&Pに向いている?」などなど、事務所説明会や採用面接でよく聞かれる質問に新卒コンビが回答していきます。

【前編はこちら】

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(写真左から)
池谷朋美/アドミニストレーショングループ・スタッフ
小林あすか/秘書

――今回は就活中の学生や採用面接の逆質問でよく聞かれる質問をお二人にぶつけてみたいと思います。さっそくですが、「M&Pの研修体制」と「入所前にやっておいた方が良いこと」は?

小林:秘書もアドミGRスタッフも、入所後すぐに外部のビジネスマナー研修を受けて、次の日からはOJTがはじまります。1回目は先輩に説明してもらいながら手順を覚え、2回目からは先輩のサポートを受けながら、さっそく自分で対応することになります。それの繰り返しですね。実践投入が早い分、成長も早いと思います。

――これは結構大変だと思いますが、そこに不満とかはないですか?

小林:座学で学ぶことが実践で必ずしも使えるとは限らないので、早い段階から実践できるのは良いことだと思っています。強いて言えば、新卒向けのマニュアルがあるといいなと思っています。

――新卒向けのマニュアルとは?

小林:マニュアルがすでにあるものでも、例えば作業項目だけが列挙してあって、先輩方はそれを見れば作業できても、新卒の自分としては列挙された作業項目のやり方が分からない、といったことがあったので、一つ一つの作業手順まで詳細に記載されたマニュアルがあると助かるなと思いました。OJT期間中に自分がまとめたノートを活かして、そういったマニュアル作りをしたいなと思っています。

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(写真)小林さんがOJT期間中にまとめたというノートには、先輩秘書に教わった内容や業務を行う中で気づいたポイントなどがびっしりまとめられていました

また、入所前にやっておいたことが良いこととしては、やはりWord、Excel、PowerPointといった、基本的なアプリケーションに慣れた状態で入所できると業務だけに集中できると思います。私はMOS(Microsoft Office Specialist)の資格を入所前に取得しましたが、秘書業務に直結する内容なので、勉強して良かったと思います。

池谷:アドミGRは、弁護士のセミナー資料の修正や、プレゼン資料の作成などでPowerPointをよく使用するので、入所前に操作に慣れておくと良いと思います。また、資料修正の際には必ずダブルチェックをしてもらい、デザイン面のアドバイスをもらうのですが、自分一人で勉強しているだけではどうしたら見やすい資料になるのかが分からない部分もあったので、先日開催してもらった、「パワポ研究会」みたいな勉強会は定期的に実施してほしいです。

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(写真)アドミGRで実施した「パワポ研究会」の様子。実際に作成したプロダクトを用いて「見やすい資料の作り方」のコツを研究します

あとは、内定後にM&Pでアルバイトをしたことがかなり大きなアドバンテージになっています。

――希望する内定者には、入所までの間アルバイトをしてもらう制度を導入していますよね。入所前にアルバイトするだけで違いますか?

小林:アルバイトをしていなかったら、業務に慣れるのにもっと時間がかかったと思います。入所後すぐに業務そのものに集中できるので、アルバイトしていて本当に良かったです。

池谷:入所初日から躊躇せずに電話に出られるだけでかなり負担が軽くなります。あと、すでに弁護士とスタッフの顔と名前が一致する状態で入所するので、そういったことに脳内のキャパシティを取られなくて済むのはありがたいです。

ーー「英語の使用頻度」もよく聞かれる質問ですが、どうですか?

小林:どの秘書も、電話対応で英語を使用することはあると思います。それ以外は、担当する弁護士次第ですね。英語の請求書の作成や、英語の契約書のプルーフ作業などは海外案件を手掛ける弁護士の担当になると発生します。

池谷:アドミGRの業務の中では、広報業務で使用する頻度が高いです。英語が得意なメンバーは、海外メディアが主催する賞レースに提出する書類を英語で準備したり、英語でプレスリリースを作成する業務などを担当します。また、メディアとのミーティングでは英語で事務所の方針を説明したりすることもあります。

――最初は新卒2人とも、英語の電話に手こずっていたと思いますが、慣れましたか?

小林:まだ慣れないです(笑)。でも、池谷さんと2人で対応マニュアルを作成して、英語が堪能な先輩秘書にチェックしてもらったものを活用しています。

池谷:最近も電話対応をした結果、修正が必要だなと思った箇所をアップデートしました。最初のころは焦ってうまく対応できないこともありましたが、回数を重ねることで少しずつ対応できるようになってきたと思います。

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――英語での電話対応は、英語が堪能でなければ消極的になりがちですが、頑張って積極的に電話に出ようとする姿勢を隣の席で見ていて頼もしく思います。これも採用面接でよく聞かれる質問ですが、どんな人がM&Pに向いていると思いますか?

池谷:アドミGRは、粘り強く対応できる人、事務所の成長に携わりたいという意欲のある人が向いていると思います。新卒でも事務所の成長のためにできることはたくさんあるので、向上心を持って取り組むことが大切だと思います。

――たしかに、新卒でもベテランでも等しく前例のない業務を担当する機会が多いので、困ったことが発生しても答えが用意されているわけではないし、投げ出すこともできないので、解決するために粘り強さは必要ですね。

小林:秘書は、チームで協力できる人、気遣いができる人が向いていると思います。秘書はチームで業務を共有することが想像以上に多かったですし、特に今はリモート勤務と事務所勤務で分かれて作業しているので、その重要性を強く感じます。

――コロナ禍でリモート勤務と事務所勤務を両立させなければいけなくなったこともチーム制が強化された要因かもしれませんね。ちなみにチーム制の強化は小林さん的に良かったことですか?

小林:非常にありがたいです。協力体制が整っているからこそ、フォローをお願いしたいときに連絡しやすいので、自分で抱え込まずに済んでいます。

ーーさて、どんどん行きましょう。次の質問は「入所前後でギャップを感じたことは?」です。

池谷:私は「法律事務所=固い」というイメージがあったのですが、M&Pは弁護士が良い意味でフランクなので、そこがギャップでした。アドミGRは弁護士と相談しながらプロジェクトを進めることが多いのですが、分からないことも質問しやすい雰囲気です。

――これまでの話の中で「雰囲気の良さ」「コミュニケーションがとりやすい」といったキーワードが出ていますし、個人的にもM&Pは「風通しの良い職場」を実践できていると思います。それが伝わるようなエピソードって何かありますか?

小林:拡大FFM* が象徴的だなと思います。自分も事務所の一員なんだなと実感できるので、また開催してほしいです。

*FFMとは:Friday Firm Meetingの略。M&Pでは月に1度、パートナーからアソシエイトまですべての弁護士が参加して事務所の業績や議題について議論する機会を設けています。「拡大FFM」は参加範囲をスタッフにまで広げ、全員で事務所に関する方針を議論します

池谷:弁護士がどんなことを考えて事務所運営をしているかを知ることができたり、検討している課題について細部まで知ることができて、M&Pをより身近に感じることができますね。

――事務所の意思決定や議論の場にアソシエイトを参加させることさえ珍しいのに、スタッフまで参加OKとしている事務所はさらに少ないと思うので、確かに「風通しの良さ」を象徴するイベントですね。最後に、2人の個人的な目標を教えてください。

小林:私はプルーフ作業が苦手なので、今はまだ先輩にダブルチェックをしてもらわないと弁護士に提出できないですし、ダブルチェックの段階でミスを指摘されることもあってチームに迷惑をかけていますが、指摘された点は反省しつつ、積極的にプルーフ作業を引き受けることで苦手を克服していきたいです。それに加えて、他の業務についても正確かつ迅速にこなせるようになりたいと考えています。最終的には秘書業務に加えて、パラリーガル的な業務も担当できるようになりたいです。

池谷:今は与えられた業務をこなすことで精いっぱいですが、将来的には事務所の成長のための戦略を考えられるようになりたいです。そのためには、一つ一つの作業の精度を高め、経験値と知識量を増やさないといけないと考えています。

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Author

平川 裕(三浦法律事務所 PRマネージャー兼アドミニストレーション・グループ マネージャー)
PROFILE:大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年からファッション業界紙「WWDジャパン」の編集記者として、同紙におけるファッションロー分野を開拓する。同時にバッグ&シューズ担当としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材も行う。19年6月から三浦法律事務所のPRマネージャーを務める傍ら、フリーランスのファッションジャーナリストとしても活動する

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