南アフリカ篇ーその2ー|三浦自伝⑤
(写真:ジンバブエ・ビクトリアの滝にて姉と)
寮生活にも慣れて不味いメシの中に美味さを見出すレベルになると、大概のことは上手くいくようになった。
寮のルームメイトに持ち物を盗まれたり、クラスメイトにいじめられたりと多少のトラブルはあったが、いい友人や先生に恵まれ、うまくやり過ごすことができた。
不味い不味いと繰り返し言っている食事だが、中にはおいしいものもあった。敷地内に牧場があったので牛乳やバターは新鮮だったし、トウモロコシの粉を練ったパップという主食はもっちりとして好きだった。
そういえば朝、ブタの断末魔が聞こえるとお昼に豚肉が出てくるという法則があったのを思い出した。
学校では絵を描き、歌を歌い、サッカーやバスケなどクラブにも入って体を動かした。特に、教室で誰か一人が歌い始めるとすぐにみんなが歌い出し、自然にハーモニーが生まれるのが大好きだった。
授業の中で印象的だったのはアフリカーンス語とズールー語。授業中はその言語しかしゃべれず、今やほとんど忘れてしまったが当時は結構身についた。
学校はかなり広く、キャンプや森歩きをするとサルや野鳥に出会うなど、自然いっぱいだった。隠れる場所もたくさんあり、実は悪い友人にそそのかされてちょっとだけタバコを吸ったこともあった。
休日は外食や各地で開催されていたフリーマーケットなどに行って過ごした。長期の休みにはケープタウンやクルーガー国立公園(四国よりも広い鳥獣保護区)など国内各地、またジンバブエやナミビアなどの周辺国に旅行した。
野生動物にたくさん出会えるゲームドライブが特に好きで良く行っていたが、一度クルーガー国立公園内で母の運転するカローラがエンストした時は大変で、救援を待っている間に巨大なゾウが目の前に現れ、踏みつぶされるのではないかと恐い思いをした。
そんなこんなでたくさんの貴重な経験をした南アフリカでの3年間も終わり、久しぶりに帰国したのは13歳の冬だった。
<つづく>
※三浦編集長 Vol.5(2015年5月発行)より転載