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自己嫌悪はしないでね ーアン・ハサウェイ

ハリウッドスターのアン・ハサウェイはある日、駐車場で10歳くらいの小さな女の子とその母親の口論を目撃しました。

女の子は口論の中で、自分で自分を批難していました。

「私なんて・・・!」

まだ幼い子が自分を憎むような言葉を聞き、アン・ハサウェイは10年前に自分におきた出来事を思い出しました。

***

アン・ハサウェイは名だたる映画賞を授賞するようになった頃、誹謗中傷に悩んでいました。

アメリカでは「ハサヘイト」という言葉がメディアで飛び交うほど、世論を巻き込んだ酷いバッシングを受けていたのです。

その理由は、彼女が「良い子過ぎる」ということでした。

見た目の美しさ、演技も上手く、人当たりもいい。非の打ち所がない。

そんな彼女がアカデミー授賞式でしたスピーチが物議を醸すきっかけになりました。

『レ・ミゼラブル』で助演女優賞を受賞したアン・ハサウェイはスピーチで

「なぜ私が?  信じられない!   本当に?  どうして私なの?!」

と、やり過ぎなくらいに驚きと感嘆のコメントをしました。

前哨戦とされるゴールデングローブ賞でも授賞していた彼女は、世間から見れば大本命。

そんな状況でそのリアクションは、全く周囲の空気を読めていませんでした。

むしろ、無邪気さをアピールした嘘っぽいスピーチとして、非難の的になってしまったのです。



それをきっかけに「わざとらしい」「あざとい」「空気が読めない」というレッテルを貼られたアン・ハサウェイ。

何をしてもバッシングされるという辛い時、もう女優を辞めてしまいたいとさえ思いました。

そんなどうしようもない時期、インターネットを見ていて自分へのバッシング記事を発見してしまいます。

それを見たアン・ハサウェイは不思議なことにこう感じました。

「自分に与えていた痛みが、突然インターネットの中でフルボリュームに増幅されて返ってきている・・・」

当時を振り返ってアン・ハサウェイはこう言っています。

「その言葉(バッシング)は、7歳の頃から自分に対して使っていたものでした。」

みんなが自分に向ける批難の言葉は、これまで感じてきた”自己嫌悪”の内容そのものだということに気が付いたのです。



幼い頃から感じていた自分の嫌いな部分。

それを自分で受け入れることができないまま、いい子ぶればいい子ぶるほど世間を混乱させてしまっていたのでした。

私が自己嫌悪に陥り、虚栄を張れば張るほどこの騒動は大きくなる。

まずは自分から、この不毛な争いつまり自分を傷つけることを終わらせようとアン・ハサウェイは決めました。

それはつまり、自分の嫌なところも受け入れ愛することでした。



彼女へのオファーは減っていましたが、『オーシャンズ8』という大きな仕事が決まりました。

なんとその役は「芝居がかったわざとらしい女優」という、自らのイメージをパロディ化するような役柄だったのです。

これまでなら躊躇するであろうその役も、吹っ切れたアン・ハサウェイはナルシスティックに大胆に演じ切り、世間からも高評を得ました。

その後は自然とバッシングは減っていき、彼女の発言は素直に世間に受け入れられるようになっていきました。

***

「憎しみの言葉は自分に向けることから始まる」

とアン・ハサウェイは言っています。

誰かが自分のことを批難したり、憎んだとしても、それを受け入れるかどうかは自分で決められる。

でも、自分が自分を憎んでしまったら誰があなたを守るのでしょうか?

「どうか憎しみの言葉を覚えないで。
あなたの口が、大切な人にキスをする日がきます。
あなたの素晴らしい考えを語ることもあるでしょう。
だからどうか、憎しみを言葉にせずに、自分の人生を愛してください」

これは、アンハサウェイが駐車場で見かけた女の子へ向けたメッセージです。

参照:
「アン・ハサウェイ、過去の「#ハサヘイト」と自分を愛することを語る」 ELLE
「アン・ハサウェイ|優等生キャラとそこから生まれる苦労からの脱却」Precious.jp

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