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太宰治

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『春の盗賊』感想文

『春の盗賊』感想文

あまり期待してお読みになると、私は困るのである。これは、そんなに面白い物語で無いかも知れない。どろぼうに就いての物語には、違いないのだけれど、名の有る大どろぼうの生涯を書き記すわけでは無い。私一個の貧しい経験談に過ぎぬのである。

……………………………

太宰治『春の盗賊』の冒頭部分です。(新潮文庫『新樹の言葉』に収録されています)

この作品、とてもおもしろかったです!

内容としては、私(お

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ヴァージニア・ウルフ、太宰、『夏目漱石』から、思考の途中経過

ヴァージニア・ウルフ、太宰、『夏目漱石』から、思考の途中経過

まとまっていないのですが、思考の途中経過を残す目的で書いています。読みづらい点、お許しください。それではどうぞよろしくお願いいたします。

ヴァージニア・ウルフ の『灯台へ』を図書館で借りてきまして、パラパラと読んでいます。

この作品は「意識の流れ」の手法で書かれた作品として知ったのでありますが、
太宰も、作品『女生徒』の中で「意識の流れ」を使っていました。

その他の太宰の作品を読んでみても

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『I can speak』感想文

『I can speak』感想文

太宰治の新潮文庫『新樹の言葉』の一番最初に、「I can speak」という、文庫にして4ページ分の掌編が収録されています。今回はそのお話をしたいとどうぞよろしくお願いいたします😊。

「くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。この世とは、あきらめの努めか。わびしさの堪えか。わかさ、かくて、日に虫食われゆき、仕合せも、陋巷(ろうこう)の内に、見つけし、となむ。」という文章から始まります。

主人公は

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『女生徒』

『女生徒』

立東舎「乙女の本棚」シリーズから、太宰治『女生徒』です。
今井キラさんの絵がとても美しく、この作品にぴったりです。
可愛くて可憐なだけでなく、ちょっと毒があるような、このひとさじのスパイスが、主人公のイメージにぴったりです。たいへん素敵でしびれます。

まず始めに、『女生徒』とはどんな作品であるか、Wikipediaから引用します。

『1938年(昭和13年)9月に女性読者有明淑(ありあけしず、

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『葉桜と魔笛』感想文

『葉桜と魔笛』感想文

「葉桜と魔笛」
太宰治+紗久楽さわ
立東舎

文豪の名作×人気イラストレーターのすばらしきコラボレーション、「乙女の本棚」シリーズの一冊です。

場面場面に合った美しいイラスト、ページによって画面の色も文章の色も変わるその意匠。
言葉が好き、カラーが好き、絵が好きなわたしには、「好きの宝石箱」を見つけたような衝撃がありました。

画面を楽しみながら、文章を書き写す作業を久々にしたくなりました。書き

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