『葉桜と魔笛』感想文
「葉桜と魔笛」
太宰治+紗久楽さわ
立東舎
文豪の名作×人気イラストレーターのすばらしきコラボレーション、「乙女の本棚」シリーズの一冊です。
場面場面に合った美しいイラスト、ページによって画面の色も文章の色も変わるその意匠。
言葉が好き、カラーが好き、絵が好きなわたしには、「好きの宝石箱」を見つけたような衝撃がありました。
画面を楽しみながら、文章を書き写す作業を久々にしたくなりました。書き写すと言葉の美しさが体感できるんですよね…✨
中学生や高校生が文豪の作品に初めて触れるときに、このシリーズと出会ってくれたら嬉しい。
画集として楽しむところから入って、文章や言葉の美しさ、豊かさに触れてくれたらいいなと思います。
そして文豪の作品をたくさん読んできたという大人の方々にも、ぜひ手にとっていただきたいと思う本です。
太宰の放つ薫りに、イラスト・本の意匠という現代文化の薫りをのせて生まれた香水みたいに、太宰の魅力が新たに感じられる一冊です。
わたしは個人的趣味で音読をしまして、太宰の文章の色気にぐっときて、酔ったようになってしまいました。太宰恐るべしです。
そして、巻末エッセイは最果タヒさん。感性ほとばしる文章が素晴らしく、読みごたえがあります。